牛ふん堆肥とは? どのような効果がある? 正しい使い方や注意点、選び方などについて【畑は小さな大自然vol.85】

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牛ふん堆肥とは? どのような効果がある? 正しい使い方や注意点、選び方などについて【畑は小さな大自然vol.85】

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牛ふん堆肥とは? どのような効果がある? 正しい使い方や注意点、選び方などについて【畑は小さな大自然vol.85】
最終更新日:2020年09月11日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。今回は質問されることの多い牛ふん堆肥(たいひ)の特徴と使用するときの注意点についてです。牛ふん堆肥はホームセンターでも手に入りやすく、土づくりには使いやすい堆肥です。しかし、その使用目的や品質や使い方、量、タイミングなどを間違えると、逆に土壌環境を悪くしてしまうこともあります。牛ふん堆肥の特徴やその使い方を正しく理解した上で、ぜひ土づくりに使用してみてください。

牛ふん堆肥とは?

牛ふん堆肥とは牛ふんをベースとして作られた堆肥で、もみ殻や稲わらなどの植物性資材も合わせて堆肥化されていることもあります。牛ふんがメインのため、臭いものだというイメージの人も多いと思うのですが、しっかりと完熟したものであれば全く臭くありません。

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牛ふん堆肥の特徴と効果~土づくりに良い~

牛ふん堆肥が作られる過程で、空気を好む微生物の働きによって、牛ふんの中に一部含まれる分解されやすい有機物が分解されて無機化し、野菜が吸収しやすい状態になります。この無機化された栄養素の中には、野菜の三大栄養素と言われる窒素、リン酸、カリウムがバランス良く含まれています。しかし、化成肥料はもちろんのこと他の家畜ふん堆肥である鶏ふんや豚ぷんと比べてもその量は少なく、効き目も遅い点が牛ふん堆肥のデメリットとなります。

逆に牛ふん堆肥の特徴で重要なのは「分解されにくい有機物を多く含んでいる」という点です。分解されにくい分、肥料の効き目が数年にわたって少しずつ発揮されていきます。また分解されにくい有機物の働きによって、それが土の素材となって残り続けますので、土をフカフカにする団粒化が進み、保肥性・排水性・保水性が高まる、微生物を増やすなどの効果が期待できます。土づくりに有用な土壌微生物を増やすことは、連作障害や土壌病害虫が発生しにくい土壌をつくることにもつながります。

つまり牛ふん堆肥を入れることで野菜に栄養を補給するというよりも、土そのものの環境を良くすることがその使用目的として最適であることが分かります。

牛ふん堆肥はどのように作られる?

牛ふん堆肥の作り方を簡単にご紹介します。

1. 牛ふんと副資材を混ぜ合わせる

副資材とは、稲わらやオガクズ(広葉樹)、もみ殻などの植物性素材のこと。牛ふんだけだと炭素率や含水率が高くなりすぎて、良質な堆肥ができにくいため、これらの副資材と混ぜ合わせます。
副資材を混ぜる理由は2つです。

炭素率を上げ、悪臭を防ぐ
炭素率とは原料に含まれる窒素量に比べた炭素量の割合で、C/N比とも言います。これが低いと分解が早く進む一方、アンモニアガスが大量に発生するため、悪臭が強くなります。

水分量を調節し、腐敗を防ぐ
また牛ふんはそのままですと水分量が多すぎて、腐敗しやすくなります。堆肥の管理は雨の当たらない場所で行ったほうがよいでしょう。

2. かき混ぜて空気を入れる

良質な堆肥にするためには好気性細菌の働きが欠かせないため、1週間に1回程度を目安に定期的に中に空気を入れ込む必要があります。空気が不十分だと分解が遅くなるだけでなく、悪臭や虫がわく原因になる可能性があります。空気が入り細菌の働きが活発になると堆肥の温度が60〜80度まで上がり、セルロースなどの繊維や病原菌、雑草種子なども死滅、分解されていきます。

3. 完熟しているかしっかり確認

牛ふん堆肥の完成にはおおよそ半年ほどかかると言われていますが、出来上がりまでの期間にはその製造方法や管理の仕方、季節などによって違いがあります。さらさらして原形のないものになっているか、臭いがしないかなどを確認してから使用するようにしましょう。ちなみに完成時のpHは8.0〜9.0が良いとされています。

堆肥の作り方の詳細はこちらの記事をご覧ください
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牛ふん堆肥の正しい使い方と注意点

牛ふん堆肥はポピュラーな堆肥で、土づくりにはとても有効ですが、正しい使い方をしないと病害虫の発生や生育障害の原因になるなど注意が必要です。牛ふん堆肥を使う際の注意点と正しい使い方を説明していきます。

未熟堆肥はハイリスク! 完熟したものを選ぼう

牛ふん堆肥を選ぶ際は、「完熟したものを選ぶ」のが重要。完熟していないものは、野菜の病原菌や寄生虫の卵、雑草の種子などが残存している可能性があります。また土に入れることで、その堆肥を分解するために土から窒素を消費してしまう窒素飢餓という現象が起こりやすくなる他、アンモニアガスなども発生し、野菜に障害を起こすことがあります。特にプランターなどで使用する場合は、野菜に影響がはっきりと出やすいので未熟なものは選ばないようにしましょう。
未熟な堆肥はアンモニア臭がするため臭いで判断するのが最もわかりやすいです。

使いすぎに注意。使う量に気をつけよう

牛ふん堆肥は窒素成分の割合が多くないため、牛ふん堆肥だけで土に窒素を供給し、作物を大きく成長させようとすると他の栄養素の過剰障害が起こりやすくなります。特にリン酸とカリウムが過剰になりやすく、これによって他の栄養素の吸収を阻害するなど、栄養素のバランスが崩れやすくなります。一度入れすぎてしまった堆肥はもう抜くことはできませんので、次回以降の作付けで調整していくことになります。また、牛ふん堆肥に含まれる窒素成分は全て野菜に吸収されるだけでなく、水分に溶けて地下水に流出していきます。これによる環境汚染なども問題になることがあります。

家庭菜園での使用量としては1平方メートルあたり2〜8リットルほどが目安となりますが、堆肥の素材や作られ方などによって異なりますので、製品に記載してある使用量をご確認ください。

使うタイミングに注意しよう

牛ふん堆肥は肥料効果が表れるまでに時間がかかるため、追肥のような目的で野菜の栽培途中で追加しても効果はほとんど得られません。使用する場合は野菜の植え付け、種まきの2週間程度前に入れて、土と一緒に耕し、土になじませておきましょう。完熟で品質の良いものであれば、堆肥を入れてすぐに植え付けが可能なものもありますが、逆に未熟なものは1カ月程度前に入れておくなど、堆肥の発酵具合によって投入するタイミングは調整します。

根菜類や芋類は堆肥使用時に注意が必要

これは牛ふん堆肥に限った話ではありませんが、根菜類や芋類など地下にできる野菜は特に、堆肥を入れる量やタイミング、品質に注意が必要になります。堆肥が少しでも未熟だとその周囲に発生するカビや細菌によって、野菜の根や芋の部分に障害が出やすく、根分かれや肌荒れのような症状が表れることがあります。根菜類や芋類を植える際は特に、堆肥がきちんと熟しているものであるかどうか注意し、最低限の量の使用に留め、できるだけ早めに土に入れてなじませておきましょう。

牛ふん堆肥でじっくりと健康的な土づくりを

牛ふん堆肥はその質や量などに注意して使用すれば、土づくりにとても適した堆肥です。肥料効果は薄く、効き目も少しずつ表れるため、即効性があるわけではないですが、長期間にわたってその畑での野菜づくりに貢献してくれるものです。効果が
表れないからといって大量に使用せずに、長い目で見て少しずつ土質改善をしていきましょう。

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