小松菜200キロなど 農産物を無料で提供

江戸川区の圃場で収穫作業を行う小原さん(2月下旬、小原さんの圃場にて)
子ども弁当の無料配布は、4月12日(日)に初回を行い、18日(土)、26日(日)の計3回実施予定。参加店舗には、小原さんと区内の小松菜農家・門倉周史(かどくら・しゅうじ)さんが、各日200キロまでの小松菜を無料で提供。小原さんの東京農業大学での同級生農家(千葉県木更津市)や市場から仕入れた、ジャガイモ、玉ねぎ、プチトマト、長ネギ、米、鶏卵なども無料で提供する。
中学生までの子どもが対象で、各店舗の営業時間内に取りに行く仕組みだ。1家庭に複数の子どもがいる場合は、人数分を受け取れる。(※配布時間は要確認)
食料品など生活必需品の購入は対象ではないが、不要不急の外出自粛要請下に開催するため、弁当を受け取った後は速やかに帰路へつくよう呼び掛ける。希望者が多い場合は整理券を配布し、行列ができないように対策するという。
休校や在宅勤務で家事が増えた両親らの負担を少しでも減らすこと、また自粛要請で苦境に立たされた居酒屋などの飲食店が、昼間の弁当販売を開始したことをアピールすることも目的に掲げている。
3月の苦境を救ってくれた 地元住民への恩返し

収穫を迎える前の小松菜
きっかけは「恩返し」だった。都内の学校給食を主要な販路の一つとしていた小原さん。しかし3月、新型コロナウイルスの影響で学校給食が休止となる。畑には納品できなかった6トン分の小松菜が残り、途方に暮れた。
しかし、すぐに立ち上がる。門倉さんら近隣の小松菜農家とともに、江戸川区役所前の広場で全8日間の即売会を行った。SNS上の告知を見た地元住民らが購入してくれ、一日あたり約500束を完売した。

江戸川区役所の協力を得て、区役所前広場で農家仲間と即売会を行った(小原さんのFacebookページより)
また3月上旬には、小松菜販売と休校期間の子どもたちへ学び場の提供を兼ねて、「小松菜狩り」を門倉さんと共同開催。入場料500円で畑に入ってもらい、収穫体験した小松菜1キロ当たり500円で販売。1時間入れ替え制で2組までに入場制限し、デリケートな葉物の触り方やきれいに収穫するコツなどを丁寧に教えた。都の自粛要請が出るまでの1ヶ月足らずで、親子連れらのべ70組350人が来園したという。なかには子どもが気に入ってしまい、3回訪れたというリピーターもいた。
こうして、地域の飲食店に無料提供した分も合わせ、6トン全ての小松菜を捨てずに乗り切ることができた。
3月末に都から外出自粛要請が出ると、小松菜狩りの営業はストップ。国が緊急事態を宣言してからは、社会に不安やストレスが蔓延し、徐々にピリピリとした雰囲気を感じるようになった。
「人と人がいがみ合うのではなく、支え合うことが大切。そんなことは誰でも分かっているはずなのですが、それが一番薄れてはいけないはずなのに薄れそうだと感じました。3月に助けてもらった分を、何かに使いたいと思ったことがきっかけです」。
誰かを思いやる余裕の連鎖を、苦境を救ってくれた地元に生み出したい―。子ども食堂や食品ロスの対策を行うフードバンク運営団体への寄付に加え、志を共にする協力者とともに子ども弁当無料配布の活動実現にこぎ着けた。
飲食店の売上アップも 目指せ1000食、参加店を募集
小原さんは「初回は好評で、合計100食ほどを配布できた。参加店舗からは大人用の弁当も売れたと聞いています。全3回で1000食の配布を目指したい。他の地域でもふさわしい形にアレンジされながら、広まることを願っています」と話した。
現在、江戸川区内の参加店舗を募集しており、18日分は15日まで、26日分は23日までのエントリーを受け付ける。詳細はこちらから。
▼参加店舗の情報などはこちらから。
こども弁当無料配布|飲食店と小松菜農家がハギュットつながる会
●主催「飲食店と小松菜農家がハギュットつながる会」
小原 英行(代表):農家
門倉 周史:農家
二代目TATSU酒場~龍~:飲食店
パティスリーカフェひばり:飲食店
幸家 義太郎:飲食店
ヤキ肉マン:飲食店
冨岳:飲食店
一般社団法人ハギュット協会:子育て支援団体