【生産者に聞く】酪農・畜産に打撃か 新型コロナウイルスによる影響とは

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【生産者に聞く】酪農・畜産に打撃か 新型コロナウイルスによる影響とは

【生産者に聞く】酪農・畜産に打撃か 新型コロナウイルスによる影響とは
最終更新日:2020年04月15日

新型コロナウイルスの影響で、学校給食の牛乳需要がなくなったり、外食産業や外国人観光客による消費が落ち込んだりと、打撃を受けていると報じられる酪農・畜産の現場。実際に牛乳や牛肉を供給している農家はどう感じているのだろうか。

休校、インバウンド需要の落ち込み……。酪農・畜産への影響は

2月末の休校要請の影響で牛乳が余るのではないかという予測から、各方面で「牛乳を消費しよう」という動きがみられた。大量消費のためのレシピの公開など、多くの消費喚起の機運が高まっていた。
前年の2019年3月の学校給食用牛乳はは約2万2,135キロリットル(農林水産省牛乳乳製品統計より)。2020年3月も通常通り学校給食があったとすれば、同様の消費があったと見込まれるが、加工用に回されるなど廃棄は免れたようだ。

また、和牛枝肉の価格の低迷も報道されている。和牛の枝肉卸売価格は日本でも新型コロナウイルスの影響が大きくなった2月中旬から落ち込み、東京での和牛(去勢)のA4ランクは3月末時点で2101円と 、今年1月下旬の2309円 と比較すると200円以上の落ち込みが見られる。今後、東京オリンピック・パラリンピックの延期の影響も出てくると予想される。

コロナの影響に揺れる酪農・畜産の現場について、埼玉県秩父郡小鹿野(おがの)町で酪農を営む吉田恭寛(よしだ・やすひろ)さんに話を聞いた。


■吉田恭寛さん
吉田牧場の3代目で、1987年就農。現在は乳牛70頭(うち経産牛50頭、育成牛20頭)と、肥育牛50頭を飼育。

酪農現場での混乱は

――新型コロナウイルスの影響による学校休校で牛乳の需要が落ち込んだと報道されています。今、現場での生乳の生産の状況はどうでしょうか。

現場でそれほどの混乱はありません。うちは農協出荷ですが、農協から「生乳を出荷しないでくれ」と言われたことありません。そもそも牛は毎日乳を出すもので、搾乳しなければ乳房炎の危険もあります。「生乳を生産しないでくれ」と言われても無理。今のところ、農協を信頼して全量出荷しています。もちろん廃棄したことはありません。

――ではメーカーの方の状況はどうでしょうか。

我々より乳業メーカーの方が学校給食がなくなった影響で困っているのでは。通常、学校給食は最も優先する安定した出荷先。それがなくなるのは影響が大きいと思います。もちろんメーカーは生乳を廃棄せずに済むよう頑張ってくれています。ただ、学校が再開したらすぐに納入しなければなりません。再開の時期がわからないのでは先の計画も立てられず、大変なのではないかと思います。

――一方で、一般消費への期待はありますか。

休校中でお子さんが家にいるので、家庭で牛乳を飲んでいただければありがたいですね。

子牛の価格が落ちている

――今回の新型コロナウイルスによる酪農家の廃業の危機などもあるのでしょうか。

そういう声も聞くことはあります。そもそも、酪農家の収入源は生乳の出荷だけではありません。乳牛にお乳を出してもらうために子牛を生ませ、その子牛を肥育農家に売ることも大事な収入源なんです。酪農家がどうにか持ちこたえているのは、牛乳が売れるからではなく、小さな家族経営規模の酪農家でも子牛が売れて収入があるから。2頭売れれば50万円ぐらいでしょうか。しかし、今はその価格もピーク時の半分ほどになっていますから、これではやっていけないと考える酪農家もいるかもしれません。

――牛肉が売れないと、酪農家も打撃を受けるということですね。

酪農家の仕事は子牛の供給も大きい。この価格が下がるとやっぱりモチベーションが下がりますよね。和牛はもっと値下がりしていると聞きます。
飲食店の牛肉需要が減ったというのもあると思いますが、東京オリンピックに向けて業者が在庫を持っていたのがだぶついたというのもあるのではないでしょうか。

国の施策への期待は

――4月7日に新型コロナウイルス感染症緊急経済対策で補正予算が組まれました。国の施策に期待することはありますか。

給食向け牛乳がなくなったことで飲用から加工用に回された分の補償などもあるようです。飲用向けに比べて加工用の生乳の価格は安いですから。
売上の減少などによる資金繰りに関しては、今回のこと以前から国の補助事業などで使える制度もありましたので、当面は問題ないと思います。
個人的には、もっと和牛を一般消費向けに振り向けてほしいですね。今まで輸出向けやインバウンド向けの対策が目立っていましたが、この機会にもっと内需に目を向けて、国内で日本の牛肉を食べてもらえるようになると良いなと考えています。

――今後、心配なことなどはありますか。

今はまだ問題ありませんが、感染が広まって流通がうまく回らなくなったら、牛乳を市場に出すこともできなくなってしまうのではないかと心配です。そうならないように祈っています。

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