腐葉土とは
腐葉土とは落ち葉を発酵させて作られるもので、主に土壌改良のために使われます。腐葉土の特徴としては、普通の土作りに使われる堆肥(たいひ)などと比べると栄養価は少ない方ですが、微生物をはじめとする土壌生物のエサとなり、ゆっくりと時間をかけて分解されていきます。土壌生物を増やす目的としても使えますし、土をフカフカにし、排水性や通気性を良くするなどの土壌の物理性を改善するのに役立ちます。また腐葉土を土の中には入れず、土を覆うためのマルチングの素材として使うこともあります。腐葉土マルチを行うことで、土の保温・保湿効果を期待できます。
腐葉土の使用目的・効果
- 土の排水性・通気性を良くする
- 土の中の微生物を増やす
- マルチングによる保湿・保温
そーやん流手抜き腐葉土の作り方
初心者には難しそう、と思われる腐葉土作りですが、ポイントを絞れば手抜きでも失敗せずに作ることができます。では早速作り方の手順を解説していきましょう。
用意するもの
- 落ち葉を集める道具(熊手、ゴミ袋など)
- 水(できれば雨水や塩素の含まれていないもの)
- 米ぬか(なければ油かすや生ゴミでも)
- スコップ
①落ち葉を集める
材料になる落ち葉を集めます。腐葉土に使用するには落葉広葉樹の落ち葉が適しています。また、木の枝はなるべく入れない方が質の良い腐葉土になりますので取り除きましょう。
②場所の確保
まずは場所選び。腐葉土を作る場所を選ぶ重要なポイントは2つです。
・風通しが良い場所
・水がたまりにくい場所
上の条件が整った場所に、1メートル四方を目安に場所を確保してください。
風通しや水はけが悪い場所だと、腐葉土の水分量が多くなりすぎてうまく発酵せずに腐ってしまいます。
③土の確保~穴を掘る~
一番最後の工程で、積み重ねた落ち葉の上に土をかぶせることになるため、土の確保が必要です。土に含まれる微生物の力によって、落ち葉の発酵を進ませる目的なので、できれば山の落ち葉の下の土や畑の土がよいですが、茶色や黒色の土であれば庭の土でも大丈夫です。宅地の造成に使われるような砂質の白っぽい土はあまり適していないので、その場合は別に用意してください。購入する場合は黒土を用意します。
庭の土を使う場合は、上の写真のように土を掘り出す際にできた穴の部分を腐葉土作りの場所にしても構いません。1メートル四方ほどの穴を掘り、出た土をとっておきます。穴が深すぎると、後のかき混ぜる作業が大変になりますし、水もたまりやすくなるので、深さは20センチほどにしておきましょう。
被せるための土を別に確保できる場合は、穴を掘らずにそのまま山積みした方が失敗は少ないです。
④落ち葉を積み重ねる
用意した場所に落ち葉を積み重ねていきます。発酵を促すために、積み重ねる途中で米ぬかと水を全体に少しずつ行きわたるようにかけ、足で踏んで圧縮し、また落ち葉を積んで……を3〜4回繰り返し行います。米ぬかは微生物を増やす目的もあるので、加熱したものでなく生のものを使いましょう。代わりに畑や山の土、油かす、鶏ふん、生ゴミなどでもよいです。最終的な落ち葉の高さが40〜90センチほどになるまで積み上げます。できるだけ量が多い方が温度が安定しやすく、失敗が少ないです。
⑤土を被せる
積み上げた山の上に、満遍なく落ち葉が隠れるように土を被せます。さらに最後に雨に濡れないようにビニールシートを被せると温度が上がりやすいですが、雨ざらしでも構いません。
⑥定期的に土をかき混ぜる
腐葉土作りを失敗しないために最も大切なのが、かき混ぜる作業です。月に1回程度、腐葉土の山の全体に空気が行きわたるように混ぜます。穴を掘って行う場合は特に水分が多くなりやすいので、かき混ぜる頻度を増やしましょう。途中で落ち葉や生ごみを追加しても構いませんが、量を少しずつにし、最初の3カ月程度まででやめておきましょう。
⑦完成の判断
この腐葉土の作り方ですと、完成までに5〜9カ月ほどかかります。腐葉土が完成しているかどうかは、まずは匂いを嗅いで判断することが大切です。
発酵の過程で、まずは落ち葉を分解するために糸状菌と呼ばれるカビの仲間が優先的に増えていきます。この糸状菌は土の中で増えすぎると野菜の病気の原因にもなるので、発酵途中の腐葉土を土に入れるのはよくありません。しかしさらに発酵が進むと放線菌という細菌が増え、糸状菌は減っていきます。するとだんだんと森の土のような良い香りがするようになります。この放線菌は空気のあるところを好むため、かき混ぜる作業が大切なのはここに理由があります。逆に空気が少なく、水分が多すぎる状態だと腐敗する菌が増え、ドブのような臭いになってしまいます。このように発酵の進み具合を判断するのに、匂いは重要な判断材料になりますので、少しずつ匂いを嗅ぐ癖をつけておきましょう。
また発酵が進むにつれて、葉の形はどんどん小さくなっていき、最終的には土のようになっていきます。どの程度の大きさまで分解を進めるかは、使用目的によって変えていきます。土の水はけや通気性の改善の目的で使う場合は、葉の形が多少残っているうちに使用します。すでに水はけの良い畑の場合は、できるだけ土のようになるまで分解を進めた方が、土になじみやすく、野菜の生育のためには良いです。
腐葉土を使う際の注意点
腐葉土は土作りによく使われる資材ですが、使いすぎには注意が必要です。腐葉土は土作りに使われる堆肥の中でも炭素率が高いのが特徴です。炭素率とはその堆肥に含まれる窒素量に比べて炭素がどれくらいあるかを示すもので、C/N比と表現されることもあります。堆肥の炭素率は20以下が良いとされていますが、腐葉土は炭素率が30以上あることもあります。もともと畑の炭素率がどの程度あるかにもよりますが、腐葉土を大量に土に入れすぎると、それを分解するために野菜の病害虫の原因ともなる糸状菌やセンチュウ、ネキリムシなどが増加しやすくなるので注意しましょう。また土壌生物の増加に伴って、窒素が土から消費される窒素飢餓という現象も起こりやすくなります。
もし炭素率の低い腐葉土を作りたい場合は、しっかり発酵を進ませることと、落ち葉だけでなく、生ゴミや雑草の葉などを混ぜると多少改善されます。この時の雑草は葉の細長いイネ科のものではなく、葉が広くて柔らかいものの方が炭素率が低いので適しています。市販の堆肥や腐葉土にもこの炭素率(C/N比)が記載してあることが多いので確認してみましょう。
失敗しないヒケツは適度な水分と空気
簡単な腐葉土の作り方を説明してきましたが、失敗しないための一番のポイントは適度な水分と空気を保つために定期的にかき混ぜることです。温度を上げた方が発酵が早く進み、良質のものができますが、温度管理はなかなか初心者には難しいのであまり気にしなくても大丈夫です。温度は低くても水分が多すぎず、空気が中にあれば、時間はかかりますが失敗はしません。以上の点に注意して、落ち葉が手に入るようであればぜひ腐葉土作りにチャレンジしてみましょう。
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