作業機付きトラクターの公道走行の規制が緩和
国土交通省が保安基準を緩和
ロータリーやハロー、ブロードキャスターなどの作業機を装着したトラクターについて、公道を走ることが認められるようになりました。
これは、国土交通省が農耕トラクターに関わる法令の運用を見直し、道路運送車両の保安基準が緩和されたことによるものです。
公道とは何を指す?
そもそも公道とは何を指すのでしょうか。
公道とは一般的に、国や都道府県、市町村などの自治体が管理している道路のことです。
つまり、今回の規制緩和により、こうした道路を作業機を付けたままのトラクターで走れるようになったことで、離れた農地への移動がしやすくもなります。
対照的なものに私道があります。農地などの中にある道路はこれに当たります。
私有地である農地や、私有地内の道路を走ることは、これまでと変わりありません。
公道を走る際の4つの基準
公道を走るには、以下の4つの基準をクリアしている必要があります。
詳しい基準については、下記の記事を参考にしてください。
ここでは基準のポイントだけを簡単に挙げます。
- 灯火器類の確認
- 車両幅の確認(1.7メートル、2.5メートルに注意!)
- 安定性の確認(15キロ毎時以下で走行しましょう!)
- 免許の確認(大型特殊免許が必要になる場合があります)
大型特殊免許が必要なケース・不要なケース
すべてに大型特殊免許が必要なわけではない
ここまで見て、農家にとって無視できないのは「大特免許(大型特殊免許)が必要になるの?」ということではないでしょうか。
と言うのは、公道走行が可能となった一方で、今まで小型特殊免許や普通免許で運転できていたものが、作業機を付けることにより大型特殊免許が必要になる例があるからです。
しかし、一概に大型特殊免許が必要になるというわけではありません。その基準を、しっかり押さえておきましょう。
線引きは“横幅1.7メートル”
大型特殊免許が必要になるケースは、作業機を付けたときに横幅1.7メートルを超えるトラクターです。
作業機をつけていない状態で、車体の大きさが長さ4.7メートル以下、幅1.7メートル以下、高さ2.0メートル以下(安全キャブや安全フレームの高さ2.8メートル以下)で最高速度が15キロ毎時以下のトラクターであれば、小型特殊免許や普通免許だけで公道走行は可能です。
しかし、作業機を付けて上記の基準を超えてしまうと大型特殊免許が必要になります。長さ・高さなどの基準もありますが、まずは作業機を付けたことで横幅1.7メートルを超えていないか確認しておきましょう。
大特免許は無いけど、すぐに走らせたいなら…
作業機を取り外して移動する方法
すぐには免許を取得できない人でも公道を走らせたいなら、いくつかの方法があります。
一つ目は、作業機を取り外すという方法です。作業機を外し、横幅を1.7メートル以下に収めることで、大型特殊免許は必要なくなります。
しかし、作業効率を考えれば、現実的でないと考える人も少なくないかもしれません。
代行業者に依頼する方法
二つ目の方法は、農作業代行サービスに依頼する方法です。
代行サービスを提供している会社に相談しながら、必要範囲の作業を依頼するというのも一つの手でしょう。
先々に向けて免許取得も検討
上記に挙げたのは一例であり、地域の仲間同士で助け合うことも大事。そして長い目で見れば大型特殊免許取得も検討しなければならないかもしれません。
普通免許を持っている人の場合、指定自動車教習所で技能の教習を受講後に卒業検定に合格し、都道府県の免許センターで適性試験に合格することで取得できます。指定自動車教習所に通わなくても、実技試験を免許センターで受けることもできます。
また、農業大学校で取得コースを設けているところもあります。
ただし2020年4月20日現在、指定自動車教習所や農業大学校は、日本政府による緊急事態宣言を受け、自治体からの休校要請などにより、2020年5月6日まで臨時休校としているところがあります。
免許センターは開いていますが、東京都の場合、4月15日からやむを得ない事情で取得が必要な場合を除き受験の自粛を求めています。
今後も地域の情報を得ながら、適切な対応を検討してください。