キャベツの栽培時期
キャベツの発芽温度は15〜30度、生育適温は15〜25度で、比較的涼しい気候を好みます。関東以西では一年中栽培できますが、梅雨時期や夏場に結球させる春まきは難度が高いので、家庭菜園でのおすすめは夏まきと秋まきです。特に秋まきは冬場に成長させるため虫の食害が少なく、うまくいけば農薬を使わずに育てることも可能です。品種により播種(はしゅ)時期が大きく異なるため、必ず種袋に書いてある播種時期をきちんと守って栽培してください。また、食味が良い、肥大が良い、病気に強いなど特性もさまざまなので、どのようなキャベツが作りたいかを自分で考えてから品種を選ぶといいでしょう。
キャベツの土づくり
土壌pH5.5〜6.5を目標に石灰を散布して耕しておきます。pH5以下では根こぶ病が発生しやすくなるほか、カルシウムが足りないと葉先が枯れてしまうので、カルシウムを吸収しやすい石灰資材を使うといいでしょう。
それから1週間あけて、元肥を施します。土壌の状況にもよりますが、目安としてキャベツ栽培には10平方メートル当たり窒素、リン酸、カリウムがそれぞれ200グラム程度必要です。年内に収穫する場合はその3分の2、年明けと春どりは半分を元肥とし、残りは追肥しましょう。キャベツは乾燥には割と強いのですが過湿を嫌うので、深耕して畝を立て通気性と排水性を確保します。排水の悪い土地では高畝にするといいでしょう。
キャベツの播種
セルトレイ、ペーパーポットにまく場合は、1〜2粒まきとし、発芽したら1本立ちとします。ポリポットの場合は2〜3粒まいて、その後1、2回の間引きをして1本立ちにしておきます。
播種箱を使うこともできます。専用の物がなくても、発泡スチロールの底に穴をあけたものなどで十分です。3センチ間隔に種をまき、本葉が2枚出たらポットに鉢上げ、もしくは畑に移植してさらに大きく育てます。
播種が難しいのは夏場です。気温が高いと発芽率が悪くなるので、種まきをしたらなるべく涼しく風通しの良い軒下や寒冷紗(かんれいしゃ)をかけたところに置きましょう。芽が出るまではぬれた新聞紙をかけておき、発芽直後に取り除いてやります。発芽後は水をやりすぎると徒長して茎が細くて弱い苗になります。茎が太くて葉が厚いがっしりとした苗を育てるためには、午前中に水やりをして夕方には土が乾くくらいがちょうどいいです。苗箱は地面に置かず、できるだけ棚やコンテナの上に置き通気性を良くしておきましょう。
キャベツの定植
セルトレイとペーパーポットの苗は本葉3〜4枚、ポット苗と地床苗は本葉4〜5枚で定植します。キャベツは根がちょっとくらい切れてもまたすぐに生えてくるので問題ありません。夏の暑い時期は朝植えると昼の日差しで枯れることがあるので、夕方涼しくなってから植えましょう。
キャベツは株間の幅によって小さいキャベツになるか、大きいキャベツになるかが左右されます。小さいキャベツをつくりたい場合は株間30センチ、大きく育てたい場合は45センチくらい間隔をとって植え付けましょう。品種によっても適切な株間があるので、必ず植え付け前に種袋の表記を確認してください。栽培中に農薬を使わずに育てたいならすぐに防虫ネットをかけておきます。ただし既に虫がついている場合は一度農薬をかけるか、難しいですが手で取り除いてから防虫ネットをかけるようにしましょう。
キャベツの中耕・除草・追肥
定植から2週間くらいたったら除草をかねて中耕し、追肥します。中耕は土の中にすきまを作るので、通気性が良い条件を好むキャベツには大切な作業です。追肥の際、2条植えでは畝の中央に溝を掘りその中に肥料を入れます。このとき上から土をかぶせておくと大雨が降っても肥料が流出しにくくなります。畝の肩を削ってかぶせれば肩の除草もできて一石二鳥ですが、腰はけっこう痛くなります。
冬どりのキャベツはゆっくりと肥料を吸収するので、結球開始までに追肥を終わらせます。春どりのキャベツは結球した状態だと寒さに弱いのと、花芽がつく恐れがあるので、年内の追肥は控えめにして越冬後の追肥に重点を置きます。ただし、暖かい時期は肥料が多すぎると玉が急激に成長して割れてしまうので注意しましょう。
キャベツが結球しない原因
キャベツが結球しない、結球したがものすごく小さいということがあります。キャベツの結球は結球開始までの外葉の成長にかかっています。
結球するためのエネルギー源は外葉から供給されます。つまり、外葉が大きく元気に育っていれば、キャベツは十分な光合成をすることができ、結球を始めます。逆に肥料が足りず外葉がとても小さかったり、虫に食われて葉がほとんどなくなっているような場合は結球することができません。追肥と防除をきちんと行えばキャベツも人間の期待に応えて大きい結球を作ってくれますよ。
キャベツの収穫
キャベツの頭を手で軽く押して硬くなっていたら中身が詰まっている証拠です。冬どりは特に病気などになっていなければ、急いで収穫しなくてもあまり傷んだりしません。食べる分だけその都度取りましょう。春どりのキャベツは暖かくなるにつれ虫も病気も増えますし、成長により玉が割れるので、早めに取った方がいいでしょう。早生系はぎっしりと詰まっている必要はないので8割程度結球していれば収穫します。外葉をはぐって株もとから包丁でざっくりと切って収穫します。冬場は切り株からまたキャベツが生えてくることもありますよ。
キャベツにつく主な病害虫
害虫はアオムシ、ヨトウムシ、コナガ、ダイコンシンクイムシ、アブラムシ、ナメクジなどが発生します。特に苗の段階でアオムシ類がつくと苗がなくなるほどに食べられてしまうので、夏まき、秋まきでは特に注意が必要です。苗にかける農薬や、定植後すぐに株元に散布する粒剤などで一定期間被害を抑えることができます。また、育苗段階から防虫ネットをかけたり、化学農薬のほか生物農薬のBT剤も効果的です。結球し始めると虫が中に入ってしまい農薬が効きにくくなるので、結球開始までに防除するようにしましょう。春どりキャベツは収穫期にアオムシ類やナメクジの発生が多くなります。ナメクジには畝間や畦に駆除剤をまいておくといいでしょう。
病気はべと病、菌核病、黒腐(くろぐされ)病、軟腐(なんぷ)病、黒斑細菌病などが発生します。特に春は菌核病が発生しやすく、多雨でさらに増加します。発病部位である地際にしっかりと農薬がかかるようにするため、結球開始期の対策が重要になります。
病気のキャベツを見つけたらすぐに畑から持ち出して処分しましょう。病気が出てからの防除は効果が低いので、できるだけ早め早めに手を打ってください。
日本の主要野菜にも含まれ、消費量も常にトップクラスのキャベツ。年々品種改良が進み、現在日本には数百種類の品種があると言われています。やわらかでおいしい春キャベツに、甘みの強い冬の寒玉キャベツ。他にも紫キャベツやグリーンボール、さらに葉がちりめん状になったサボイキャベツや青汁にも使われる非結球のケールまで個性豊かなメンツがそろっています。ぜひお家でいろんなキャベツの栽培を楽しみましょう。