北海道産の食材でつくるイタリア料理
地産地消というワードが、まだ一般的ではなかった2003年にオープンした『イタリア料理イルピーノ』のオーナー川端さんは、料理人になる前は銀行勤めをしていたという異色の経歴の持ち主。「食べることが大好き」という川端さんが、料理の道に進むきっかけとなったのは、旅行中に訪れたイタリアでした。イタリアは、地元で採れた旬のものを地元でいただく、いわゆる地産地消が当時から当たり前に行われており、欲しい食材がいつでも手軽に手に入る日本との違いに驚いたそう。地元の素材を楽しむ地産地消スタイルを、北海道でできないのか、模索しました。前職で築いた人脈も活用し「いろいろな人に、いい食材はない?と聞いて歩いた」と言います。自ら生産地を巡り、生産者と会い、自分が美味しいと思う食材を探し歩く中で、えりも町の「えりも短角牛」や北海道産の小麦で作る生パスタなど、お店の看板メニューとなる道産食材との出会いを経て、常連のお客様に愛される地産地消レストランとなりました。
飲食店の自主休業により、高単価食材があまる状態に
そんな中、発生した今回の新型コロナウィルス。3月下旬以降、目に見えて来店数が減った頃に、生産者からも「外食用に出荷していた食材の消費先がない」という声が届き始めました。「こういったときに、真っ先に余ってしまうのが単価の高い食材」と肩を落とす生産者のために動き出したのがプレミアムお弁当企画です。外出できない時でも、お家で地元の味を楽しんでもらいたい。こういう時だからこそ、美味しいもので笑顔にしたい。そんな思いで始まった企画です。一つ3,800円のお弁当には北海道産の食材がふんだんに使われており、週替わりで素材が変わります。
(例)4月20日の週に提供されている「ワタリガニのパエリア弁当」の場合…
■大空町の極太アスパラ(とっても甘い!)
■七飯町の王様しいたけ(肉厚でステーキみたい!)
■道南のワタリガニ(数年前から北海道にワタリガニがいます!)
など、北海道に長年住んでいても初めて食べる食材があるほどバラエティ豊かな素材がふんだんに使われています。
プレミアムお弁当で、笑顔をテイクアウト
単価は少し高めではありますが、常連のお客様などを中心に1日30食くらい販売する日もあるというプレミアムお弁当。予約制で、お仕事帰りなどにピックアップされる方も多いそう。「日常生活で制限されることが多い時期だけど、お弁当を開いた時に、家族が笑顔になってくれたり、食事中の会話が弾んだり…単調になりがちな日々の彩りになってくれたら嬉しいです」。
北海道に対する愛情と、生産者への思い
「まだまだ、北海道で知られていない食材はあります。生産量が多くなかったり、収穫時期が短かったりして有名ではないけど、本当に美味しいものがあるんです」川端さんの北海道に対する愛情はとても強い。その理由をきいてみると、ここでもイタリアでの経験が息づいていました。イタリアの人々は郷土愛がとても強く、それ故に自分たちの暮らす地域で採れる食材にもこだわりがある、その姿に共感を覚えたそう。「私たちが出来ることは、小さなことかもしれないけど道産食材と消費者の架け橋をつなげ続けることで、生産者さんを支えたい」という川端さんの取り組みに共感する生産者の輪が出来始めています。
Withコロナ時代に向けて
1回目の緊急事態宣言が発表されてから、2ヶ月が経とうとしているいま。新型コロナウィルスの恐怖を感じると共に、人々の間には新型コロナウィルスとの戦いは長くなりそうという予感が漂い始めており、川端さんもその一人。「メニューを絞って、より厳選した素材で調理するなど、いままでと変えないといけないことはあるかもしれない。でも、いいものを循環させていくというサイクルは止めないようにしたい」と話します。暗いニュースに塞ぎ込みがちですが、いま自分たちにできることを考えて実践してみる、ポジティブな思考でコロナ後の未来を待つことが大事だと川端さんのお話をお伺いして感じました。
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