栽培時期
ブロッコリーは暑さ寒さに比較的強い野菜ですが、つぼみを付けるには冷涼な気候が適しています。春まきと夏まきがあり、春まきは温床設備が必要なため家庭菜園では夏まきがおすすめです。夏まきでは気温が徐々に下がり、つぼみの生育に適しているため質の良いブロッコリーが収穫しやすくなります。極早生(ごくわせ)から晩生(おくて)までさまざまな品種があるので、種まきの時期や収穫したい時期を決めてから種を選ぶといいでしょう。種袋に書いてある種まき時期を守らないとつぼみができないことがあるので要注意です。
ブロッコリーの土づくり
植え付けの半月〜1カ月前に堆肥(たいひ)と石灰を入れて畑を耕しておきます。土壌酸度はpH6.5前後が理想です。それから1週間あけて、元肥を施します。ブロッコリーは肥料をよく吸収するので、化成肥料(8-8-8)は1平方メートル当たり150グラムが目安です。苗の植え付け1週間前までに高さ10センチ程度の畝を立てておきます。ブロッコリーは過湿に弱いので、排水の悪い土地であれば25センチくらいの高畝にするといいでしょう。
ブロッコリーの播種(はしゅ)
ブロッコリーの種を買うと100粒くらい入っています。小さな家庭菜園ならばホームセンターで苗を買う方が断然コスパがいいでしょう。ちょっと手間がかかりますが自分で種からやってみたい人は挑戦してみるのもありです。
種をセルトレイやペーパーポットにまく場合は1、2粒まきとし、発芽したら間引きして1本立ちとします。ポリポットの場合は2〜3粒まいて、発芽後1本立ちにしておきます。
大きい鉢や発泡スチロールの底に穴をあけたものに種をまくこともできます。その場合は3センチ間隔に種をまき、本葉が2〜3枚出たらポットに鉢上げ、もしくは畑に移植してさらに大きく育てます。
種をまいたら5ミリ程度覆土し、たっぷり水やりしてからぬれた新聞紙をかけておきます。2、3日で発芽するので、芽が出たら必ずすぐに新聞紙を取り除きましょう。忘れてしまうと貝割れ大根のようになってしまい、良いブロッコリーができないので注意です。
ブロッコリーの種まきは夏場なので、暑さの厳しい地域では対策が必要です。気温が高すぎると発芽率が悪くなるので、種まきをしたポット等はなるべく涼しく風通しの良い軒下や寒冷紗(かんれいしゃ)をかけたところに置きます。双葉が開いた後は日差しの当たるところに出してさんさんと太陽の光を浴びせ、しっかりした苗を作りましょう。
水やりは午前中にして夕方には土が乾くくらいがちょうどいいです。曇りの日はしおれていなければする必要はありません。水をやりすぎると徒長して茎が細くて弱い苗になるためその後の成長も悪くなります。また湿気を防ぐため、苗箱は地面に置かず、できるだけ棚やコンテナの上に置き通気性を良くしておきましょう。
ブロッコリーの定植
セルトレイとペーパーポットの苗は本葉3〜4枚、ポット苗と地床苗は本葉4〜5枚で定植します。夏の暑い時期に植える場合は朝植えると昼の日差しで枯れることがあるので、夕方涼しくなってから植えましょう。苗と、苗を植える穴の両方にたっぷり水をあげておくのがコツです。
ブロッコリーの株間は極早生・早生種で35〜40センチ、中生・晩生種で40〜45センチです。見た目に反して意外と広いスペースがいるので驚くかもしれませんが、外葉の成長に必要なのでケチらないで株間をとりましょう。
栽培中に農薬を使わずに育てたい場合は植え付け後すぐに防虫ネットをかけておきます。ただし既に虫がついている場合は一度農薬をかけてからネットをしたほうがいいでしょう。
夏場は虫の発生が多い時期です。苗の時期に虫食いがひどいとその後の生育が著しく悪くなるため十分に対策してください。ネットを外す時期は地域にもよりますが、11月頃「最近チョウチョが飛ばないな」と思ったら外していいでしょう。
ブロッコリーの中耕・除草・追肥
定植から2週間くらいたったら除草をかねて中耕し、追肥します。中耕は土の中にすきまを作るので根の酸素の吸収が良くなり、成長をぐっと促進します。ブロッコリーはひょろひょろしていて倒れやすいので土寄せも一緒にしてあげましょう。追肥は1条植えの場合は畝の肩に、2条植えでは畝の中央に溝を堀りその中に入れます。肥料の上には土をかけて大雨で流れないようにしておきます。さらに2〜3週間後に2回目の追肥、中耕、土寄せをします。
ブロッコリーのつぼみを大きくするためには初期生育が重要です。きちんと中耕・追肥を行うことで初期生育が良くなるので、この作業は遅れずにやるようにしましょう。秋は長雨や台風が重なり畑に行けない日も多い時期なので、タイミングを逃さないことです。
ブロッコリーの宿敵・台風対策
夏まきのブロッコリーは、ちょうど定植したころから台風の脅威にさらされます。キャベツや白菜に比べて背が高いので、強い風が吹くとぐるぐると振り回され地際からちぎれて飛んでいってしまうことがよくあります。
対策としては株元に土を寄せる、寒冷紗などをトンネルがけして強力に固定するなどがあります。固定が弱いとトンネルも風で破壊されてしまうので、これでもかというくらいに固定しておきましょう。また、台風が過ぎた後はトンネル内が蒸すので、できるだけ早く外してあげましょう。
ブロッコリーの収穫
ブロッコリーのつぼみは寒い間にゆっくりと大きくなっていきます。つぼみがかちかちの時はまだ早く、しばらく待つともっと大きく成長します。手のひらでさわって、すこし柔らかさを感じるくらいが取り時です。
暖かい日が続くと一気につぼみが膨らみます。つぼみが飛び出してきたり黄色くなったりすると収穫遅れです。よい頃合いを見分けるのはちょっと難しいかもしれませんが、いろんな時期に収穫してみて自分がおいしいと思ったときの様子を覚えておきましょう。家庭菜園なので、自分の好みに合わせて取るのが一番です。
さて、わき芽をたくさん収穫したい人は最初のつぼみを取る時期をちょっと工夫します。ブロッコリーに限らず、植物には頂芽優勢という性質があります。読んで字のごとく、一番てっぺんの芽(頂花蕾)が一番強いのです。そのため頂上のつぼみを切ってやると、今まで二番手だったわき芽(側枝花蕾)が一番上になるので、とたんに元気づいてぐんぐん成長していきます。
わき芽をたくさん取りたい人は頂上のつぼみが直径10センチくらいになったときに収穫しましょう。このとき茎はできるだけ長く残したほうがわき芽が多く育ちます。もちろん長く収穫するためには肥料が必要なので、わき芽の出が悪くなったなと思ったらすぐに化成肥料を入れてあげます。また、わき芽の多い品種(頂・側枝花蕾兼用型)を選ぶのも重要です。てっぺんのつぼみは包丁、わき芽ははさみが切りやすいでしょう。
わき芽がたくさん出てきたところ。写真は特にわき芽の多い「アレッタ」という品種。ブロッコリーとケールの掛け合わせで葉も食べることができるキャプション>
ブロッコリーが紫に、これって病気?
安心してください。病気ではありません。ブロッコリーは寒さにあたるとアントシアニンという紫色の色素成分を作りだします。アントシアニンはワインやブルーベリーにも入っているポリフェノールの一種で抗酸化物質です。ちなみにゆでると緑色になるので、食卓に並ぶ際には気にならなくなりますよ。
主な病害虫
害虫はアオムシ、ヨトウムシ、コナガ、アブラムシなどが発生します。特に苗の段階でアオムシ類がつくと苗がなくなるほどに食べられてしまうので注意が必要です。育苗段階から防虫ネットをかけたり、化学農薬のほか、有機JASにも認定されている生物農薬のBT剤も効果的です。大きく成長してからは寒い時期に入ることもあり、虫に関する悩みはほとんどなくなるでしょう。
病気は根こぶ病、モザイク病、育苗時の立枯れ病などがあります。根こぶ病は土壌が酸性の時に起こりやすいので植え付け前に石灰でpHの調整をしたり、苗専用の農薬をかけると効果的です。また、病気のブロッコリーを見つけたらすぐに畑から持ち出して処分しましょう。
ブロッコリーは栽培に広いスペースを必要とするので、家庭菜園で育てるならば側枝花蕾型を育てた方が収穫量が多く楽しめるでしょう。茎ブロッコリーも長期間収穫できるのでおすすめです。冷凍して保存しておけば夕食の小鉢や弁当の彩りにもとても便利で重宝します。茎は捨てる人もいますが、つぼみよりも甘く栄養価も高いので、ぜひ残さず食べてくださいね!