けん引タイプの作業機付きトラクターも公道走行可能に 条件やルールなどを解説

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けん引タイプの作業機付きトラクターも公道走行可能に 条件やルールなどを解説

けん引タイプの作業機付きトラクターも公道走行可能に 条件やルールなどを解説
最終更新日:2020年06月08日

農耕トラクターにロータリーなどの作業機をつけたまま公道を走れるように規制が緩和されています。このたび、さらに、けん引タイプのものについても公道走行が可能となりました。これによってトラクターでマニュアスプレッダーやロールベーラーなどをけん引した状態のままでの、農地間の移動も可能となりました。ただし、走行の際のルールも規定されているため、注意も必要です。どのようなルールがあるのか、解説していきます。

農耕作業用トレーラーをけん引する農耕トラクターが公道走行可に

けん引タイプの作業機の例

直装タイプの作業機付きトラクターに加え、けん引タイプも基準緩和

国土交通省がけん引タイプの農作業機を道路運送車両法上の自動車に位置付けたことにより、トレーラーやマニュアスプレッダー、ロールベーラーなどをけん引した状態のままで農耕トラクターが公道を走れるようになりました。ただし、農耕トラクターは、けん引タイプの農作業機をけん引していない状態で道路運送車両の保安基準に適合したものでないと、基準緩和は適用されません。

一定要件があることに注意

けん引タイプの作業機付きトラクターも公道を走れるようになりましたが、ロータリーなどを直装するタイプと同様、一定要件があるため注意が必要です。なお、私有地である農地や、私有地内の道路を走る場合は、これまでと変わりありません。
参考までに、直装タイプの作業機付きトラクターの要件は、以下のページを確認するといいでしょう。

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課税対象のチェック

今回の基準緩和は、けん引タイプの農作業機を、新たに「農耕作業用トレーラー」という小型・大型特殊自動車に位置付けたことによります。

小型特殊自動車に分類された場合は、軽自動車税の課税対象となり、市町村への申告が必要です。また、大型特殊自動車の場合は、引き続き固定資産税(償却資産)の課税対象です。
農耕作業用トレーラーは、けん引車である農耕トラクターの最高速度により車種区分が決まります。それぞれの区分については以下の表を参照してください。なお、農耕トラクターと農耕作業用トレーラーの連結全長が12メートルを超過する場合、道路管理者(地方整備局、地方自治体等)から、特殊車両通行許可を受ける必要があります。
さらに、農耕トラクターと農耕作業用トレーラーとは、けん引の際に連結装置が分離するなど万一の場合に備えて、チェーン等の丈夫な装置でつなぐ必要があります。

農耕作業用トレーラーの種別と手続き

農耕トラクター 農耕作業用トレーラー
種別 種別 手続き
小型特殊自動車または大型特殊自動車(自動車検査証にけん引時の速度制限の基準緩和を受けた旨の記載があるもの) 小型特殊自動車 全幅2.5メートル、全長12メートル、全高3.8メートルを超えない 無し
全幅が2.5メートルを超える 道路管理者(地方整備局、各都道府県、各市町村等)に対し、個別に特殊車両通行許可を受ける
全長12メートルまたは全高3.8メートルを超える 個別に地方運輸局長から基準緩和の認定を、道路管理者から特殊車両通行許可を受ける
大型特殊自動車(上記以外のもの) 大型特殊自動車 全幅2.5メートル、全長12メートル、全高3.8メートルを超えない 管轄の運輸支局等で検査登録する
全長12メートルまたは全高3.8メートルを超える、その他オーバーハング等の基準を超える ・個別に地方運輸局長から基準緩和の認定を、道路管理者から特殊車両通行許可を受ける
・管轄の運輸支局等で検査登録する

公道走行のチェックポイントは主に4つ

上記の前提を踏まえて、けん引タイプの作業機付きトラクターが公道を走る際には以下の4つのポイントがあります。

・灯火器類の確認
・車両幅の確認
・安定性の確認
・免許の確認

以下、詳しく解説していきます。

灯火器類の確認

はじめに、灯火器類を備える必要があります。下図を参考に、それぞれ前、後ろ、横から見えるかどうかを確認しましょう。
連結全長が6メートル未満の場合は、農耕作業用トレーラーの後面方向指示器は不要です。

前・後ろ・横から見えなければならない灯火器類

定められた距離の確認位置から視認性を確認する(車幅灯は夜間に前方300メートルから、尾灯は夜間に後方300メートルから、など)

なお、特定小型特殊自動車(全長4.7メートル以下、全幅1.7メートル以下、全高2.0メートル以下、かつ最高速度が時速15キロ以下の農耕トラクター)だけでけん引する場合は、一部灯火器類を備える必要はありません。ただしその場合でも、前部反射器、後部反射器及び方向指示器は備える必要があります。

特定小型特殊自動車のみでけん引する場合(車幅灯、尾灯、制動灯及び後退灯の取り付け義務はない)

車両幅の確認

特定小型特殊自動車のバックミラーの基準は幅1.7メートル

けん引する農耕トラクターが特定小型特殊自動車であっても、農耕作業用トレーラーの幅が1.7メートルを超えている場合には、農耕トラクターの左右両側にバックミラーを備える必要があります。

農耕作業用トレーラーの幅が2.5メートルを超える場合の対応

農耕作業用トレーラーの幅が2.5メートルを超える場合、特殊車両通行許可を得るほか、以下の対応が必要です。

・農耕作業用トレーラーの前後の両側の可能な限り最外側に、外側表示板を備える
・農耕作業用トレーラーの後面に、全幅を表示する
・農耕トラクターの運転者席に、農耕作業用トレーラーの全幅を表示する
・保安上の制限を受けていることを示す標識を農耕作業用トレーラーの後面に表示する

農耕作業用トレーラーの幅が2.5メートルを超えている場合のイメージ

保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識

安定性などの確認

安定性については、農耕トラクターと、何も積んでいない農耕作業用トレーラーを連結して、最大安定傾斜角度が30度以上または35度以上(車両総重量が車両重量の1.2倍以上または積載により重心高さが上がるもの)である必要があります。また、農耕作業用トレーラーには基準に適合した制動装置を備える必要があります。
この基準を満たさない場合には、以下の4つを順守することで公道を走ることができます。

・時速15キロ以下で走る
・農耕作業用トレーラーの後面に、運行速度が時速15キロ以下であることを表示する
・農耕トラクターの運転者席と後面に、けん引時の運行速度が時速15キロ以下であることを表示する
・保安上の制限を受けていることを示す標識を農耕トラクターと農耕作業用トレーラーの後面に表示する

最大安定傾斜角度に満たない場合や、制動装置が未装備の場合のイメージ

免許の確認

4つ目のポイントは、運転免許の確認です。
全長4.7メートル、全幅1.7メートル、全高2.0メートル(安全キャブや安全フレームの高さ2.8メートル)、また最高速度が時速15キロのいずれか1つでも超える農耕トラクターで公道を走る際には大型特殊免許(「農耕用に限る」を含む)が必要になります。また、大型特殊免許が必要となる農耕トラクターで車両総重量が750キロを超える農耕作業用トレーラーをけん引して公道を走る際には、大型特殊免許に加え、けん引免許(「農耕用に限る」を含む)が必要になります。

まとめ

けん引タイプの作業機付きトラクターについて、上記4つのポイントを押さえることで公道走行が可能となります。
なお、農耕作業用トレーラーは、農作業や運搬作業のための特殊自動車と位置付けられるため、けん引車は農耕トラクターに限られます。また、積載物品は農作業に必要なもののみとなります。
また、公道に出れば、道路交通法などを守る必要があります。公道走行の際にも、くれぐれも安全には気をつけて運転しましょう。

【画像提供・監修】
一般社団法人日本農業機械工業会

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