農業労働力確保緊急支援事業とは
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、人の移動が制限されています。
外国人の入国にも制限がかかり、農業者にとっては労働力として見込んでいた技能実習生や特定技能外国人の来日がかなわなくなるなど大きな影響が生じています。
こうした人手不足についての支援が、農林水産省の「農業労働力確保緊急支援事業」です。代替人材の確保に必要な経費や、代替人材を育てるための研修などの費用の助成を行い、将来の農業生産を支える人材の育成にもつなげる事業です。
以下の3つの支援事業からなり、申請対象期間は2020年4月1日から12月31日までです。各支援事業は、対象者や対象経費が異なります。
・援農者緊急確保支援事業
・人材呼び込み支援事業
・研修等支援事業
以下、それぞれのポイントについて、紹介します。
援農者緊急確保支援事業のポイント
人手不足経営体が代替人材を雇う際の掛かり増し経費を助成
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、海外から受け入れ予定だった技能実習生などが来日できず人手不足に陥った農業者への支援が援農者緊急確保支援事業です。
農家などの経営体が、外国人技能実習生の代わりに人を雇ったり、派遣会社に人材派遣を依頼した場合などに、当初見込んでいた経費以上にかかった差額(掛かり増し経費)について、助成されます。
主な要件と助成対象経費
新型コロナウイルス感染症の影響によって、予定していた人材が来られず、人手不足になった場合は、幅広く対象になります。
上記のように技能実習生が来日できなくなった場合や、従業員の子どもの小学校が休校になったことで従業員自身も休まざるを得なくなった場合も含まれます。
助成対象経費には、賃金や交通費・宿泊費、また保険料や研修費なども含まれます。例えば、賃金の場合、1時間500円以内(1日10時間以内)が助成経費となります。
詳細は以下を確認してください。
人材呼び込み支援事業のポイント
人手不足経営体や関係協同組合などの人材募集にかかる経費などを助成
人材呼び込み支援事業では、新型コロナウイルス感染症拡大から人手不足となった農家などの経営体や関係協同組合などに対し、代替人材を募集するための求人媒体への掲載費やチラシの作成費などが助成されます。
主な要件と助成対象経費
対象は、農家などの経営体などです。助成対象となる経費は、人材募集のための求人情報誌や、ウェブ上などの人材紹介サービスへの掲載費や、求人チラシの作成費、マッチング費用などです。5月28日現在、これら経費の1/2が助成されることになっています。詳細は以下を確認してください。
援農者向け研修の可能性広がる
研修機関・団体などが代替人材に研修を行う経費などを助成
研修等支援事業は、研修機関・団体などへ助成される事業です。講師謝金や教材費等の経費、また、実習や契約のない援農の際の経費などについて、助成されます。農業者は対象ではありませんが、この制度を利用した研修機関、ボランティア団体、JAスタッフ等が、農業者に対し研修などの支援をする可能性が広がります。
主な要件と助成対象経費
助成対象者は、研修機関・団体、農業高等学校、農業大学校、都道府県知事が認める民間団体が運営する研修機関やJAなどです。詳細は以下を確認してください。
農家と働き手をつなぐ、求人サイトが公開
援農者緊急確保支援事業の対象求人は、全国農業会議所が管理する特設サイトにも掲載されます。全国農業会議所の審査を通過したものが自動で掲載されますので、掲載料もかかりません。応募者の管理や勤怠管理もシステム内で対応可能で、助成金の交付申請をスムーズに行うことができます。
求人を掲載することで、短い期間だけでも援農したい人や、就農希望者など多くの人にアプローチすることが可能です。
新型コロナウイルスにより、暮らし方や働き方など、あらゆる場面で新しいやり方を求められることになっています。今までは農業に携わっていない人でも、1次産業の大切さに改めて気づかされ、農業という仕事に興味・関心を持った人もいることでしょう。
この機会に、事業の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
サイト運営:全国農業会議所