サボイキャベツってどんなキャベツ?
サボイキャベツはフランスが原産で、縮れた肉厚の葉っぱが特徴です。その見た目から別名「ちりめんキャベツ」とも呼ばれています。フランスやイタリアでは広く愛されてきた野菜ですが、日本ではまだまだ簡単に手に入らない冬野菜です。国産品が出回るのは11~2月。普通のキャベツよりも水分が少なく、生食よりも加熱料理に向きます。葉は硬く弾力性がありますので、それがクッションとなり輸送にも適しています。最近では日本から香港やシンガポールに野菜が輸出されていますが、サボイキャベツはそのような状況にまさにぴったりな品種です。

葉脈が美しいサボイキャベツ
煮込むほどにおいしくなるサボイキャベツの魅力
サボイキャベツは葉が硬いので千切りなどの生食には向きませんが、煮崩れしにくいため、加熱料理に適しています。長時間煮込むことによって甘みが増し、味がよく染み込みます。この煮込み時間が普通のキャベツではできないサボイキャベツの魅力です。煮込むほどに味が深まる秘密は、特徴でもある縮れた葉っぱの葉脈にあります。この凹凸に素材の味がよく絡み、冬の寒い日にぴったりな料理となります。おすすめは、ロールキャベツ、煮込み料理やポトフなどのスープ。畑でとれた冬野菜と鶏肉や豚肉と一緒に煮込んで、味付けは塩だけとシンプル。大きめの鍋にたっぷり作って、翌日はトマト缶やカレー粉を入れて味を変えても。寒い冬の日にポカポカと温まるスープは絶品です。

煮込み料理は素材のだしが染み込みます
レストランにも人気の冬野菜で、プロの手にかかればおしゃれな料理となります。

シェフが作ったサボイキャベツの一皿
フレンチやイタリアンのレストランでもよくメニューに登場する、シェフご用達のサボイキャベツ。なかなかスーパーでは見かけませんが、時々百貨店などで目にすることがあります。驚くのはその値段。タケイファームで卸している価格は1個800円ですが、インターネットなどでは1個2000円くらいで販売されているものもあります。そうなのです、サボイキャベツは高級野菜なのです。自分で買うには少し考えてしまいますが、一度食べたらはまってしまうその味。食べてみたくなったら自分で育ててしまいましょう。栽培方法は普通のキャベツとほとんど変わりません。
品種を選べば栽培が成功する確率大幅アップ!
サボイキャベツの種は意外と簡単に入手できます。私はヨーロッパの品種や日本の種メーカーが販売している品種をいろいろと栽培してきました。その結果、現在栽培している品種にたどり着きました。野菜作り成功のポイントは品種選びです。初心者でも見事なサボイキャベツを作ることができるおすすめの品種を紹介します。
それは「Chou Frisē®(シューフリーゼ)」。
栽培にチャレンジしようと思う人はぜひ試してみてください。

シューフリーゼの栽培要点(画像提供:株式会社増田採種場)
栽培は普通のキャベツとほとんど同じ
タネまき時期は7月後半~8月前半(一般地)。一般的なキャベツの「夏まき」の時期にあたります。
セルトレイに1~2粒まきで発芽したら1本に間引きます。鉢上げをし、本葉8~10枚で株間40~50センチで定植。定植のタイミングは9月中旬。収穫は11月以降、頭が硬くなってきたら収穫します。私はこぶし大ほどの大きさから収穫し、丸々1個のサボイキャベツを鍋に入れてポトフを作ります。
定植の時期は台風の時期と重なります。せっかく育てて、せっかく植え付けた大切な苗を守るため、台風が近づく前に防鳥ネットをかけます。記憶に新しい昨年の「令和元年房総半島台風」の際にもこの対策をしてしのぎました。この対策は、ブロッコリーなどにも使えます。

台風対策として苗の上に防鳥ネットを張った

台風をしのいで見事に成長
収穫した後も続くお楽しみ
収穫は付け根から包丁で切り取ります。その後、根を残していたキャベツからわき芽が出てきます。このわき芽がタケイファームの次なるレストランへ出荷する野菜となります。わき芽の食べ方はボイルやソテーがおすすめです。

収穫した後に出てきたわき芽
下の画像のように手のひらぐらいのサイズで収穫するとお皿にちょうど良いサイズとなり、お皿を彩る飾り野菜としておいしく食べることができます。わき芽まで楽しめるのは、自分で栽培するメリットの一つです。

カッコイイ、サボイキャベツわき芽
まとめ
同じキャベツを作るなら、自分で買うのはためらってしまう高級野菜にチャレンジするのも野菜作りの醍醐味でもあります。暑い夏の時期から種まきをし、寒い冬に食べるサボイキャベツの煮込み料理を想像してみてください。種まき作業の汗が、熱々料理を食べる汗に変わるのです。今年の冬は、体がポカポカになるサボイキャベツの魅力をぜひ楽しんでください!