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農水省も視察したソーラーシェアリング未来型農園とは?人気の背景に農業経営コンサルタントの存在

農水省も視察したソーラーシェアリング未来型農園とは?人気の背景に農業経営コンサルタントの存在

AgriTech(アグリテック)の進展により、農業経営には、生産性・収益性を上げ長期の利回りを考える視点が不可欠になっています。こうしたなか注目を集めているのが、食とエネルギーのビジネスを融合させることで安定した農業経営を実現する「ソーラーシェアリング」です。今回は、日本のソーラーシェアリング事業を牽引し、農業経営コンサルタントとして多くの企業へのアドバイスに携わってきた一般社団法人ソーラーシェアリング協会の生津賢也氏に、「農業経営が向かうべき未来像」についてお話を伺いました。

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経営再建ビジネスから農業の世界に転身、ソーラーシェアリングを事業化

ソーラーシェアリング協会で経営コンサルタントを務める生津氏は、長い間海外で企業再建に携わっており、農業とは異なる分野で活躍してきました。とはいえ、子どものころに両親の故郷で見た田園風景がずっと心の中の原風景として焼き付いており、マネービジネスに身を投じている最中も、農業分野の動向については常に気を配らせていたといいます。

「海外で20年以上経営再建ビジネスに携わってきましたが、子どものころ帰省先で慣れ親しんできた自然のイメージが心に残っており、異なるフィールドで生きていることにわだかまりのようなものを感じていました。そこで帰国を機に原点に立ち返り、農業の世界での仕事を考えるようになりました」

生津賢也(いくつ・けんや)氏。視察や講演などで国内外を飛び回っており、「映画『男はつらいよ』の“寅さん”スタイルを地で行っています」と笑います

2018年を前に日本へと帰ってきた生津氏は、以前から興味を抱いていた農業分野への挑戦を開始します。そこでソーラーシェアリングの存在を知り、農業とエネルギーの組み合わせに大きな可能性を感じたといいます。日本におけるソーラーシェアリングの活動を調査した生津氏は、ソーラーシェアリング協会と出会い、2018年初頭から経営コンサルタントとして事業に携わることになります。

ソーラーシェアリング協会は、株式会社エーピーシーメンテナンスを母体としたAPCグループにより、2013年に設立されました。屋根上パネルの設置業者でもあったエーピーシーメンテナンスは、早くからソーラーシェアリングの可能性に気付いていましたが、ビジネスとして事業化を成功させるところまでは到達していませんでした。

そこで生津氏は、海外の企業再建で培ってきたノウハウと英語力を生かし、ソーラーシェアリングの事業化を推進。主にメディアとコンサルティングを担う組織として協会を再編し、2019年に黒字化を達成しました。海外の外資系企業からの問い合わせも多く、コロナ渦で多くのビジネスが停滞を余儀なくされた2020年も、順調に売上を伸ばしています。

儲かる農業のノウハウを蓄積。営農を軸にした千葉・市原の試験農場には見学希望者が殺到

千葉県市原市にある『SUN FARM市原』

ソーラーシェアリングは、農地の上に太陽光パネルを設置して作物へ降り注ぐ日差しを調整し、適切な太陽光で作物を育てながら、太陽光発電でエネルギーを得るという仕組みです。

農業を営むうえで太陽光はなくてはならない存在ですが、すべての作物が100%の太陽光を必要とするわけではありません。ソーラーシェアリングを導入すると、不要な分の太陽光から生み出した電力をFIT(固定価格買取制度)で売却したり、農地の電力として利用したりでき、適切な日差しで作物を育てられるため収穫量も安定するなど一石二鳥のメリットをもたらします。

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「ソーラーシェアリングの軸はあくまで農業で、農地の上を立体的に活用してエネルギーを生み出す取り組みです。メガソーラーのように土地を占有して100%太陽光発電に使うのではなく、あくまでも農業経営を安定化するための仕組みとして作用します」

立体的に組まれ、等間隔に並ぶパネル

パネルの下で栽培されているブルーベリー。陰樹の代表格であり、ソーラーシェアリングとの相性は抜群です

生津氏は、こうしたソーラーシェアリングの仕組みや効果を正しく伝えるため、メディア的な活動を強化。ホームページでさまざまな情報を提供するほか、千葉県市原市にある試験農園『SUN FARM市原』を展示会場のように活用し、未来型農業に興味のある農家や企業に見学の場として解放しました。こうした周知活動は着実な成果をあげており、現在は週に2~3回、多いときは1日3組の見学者が来訪するようになったといいます。

もちろん、試験農園である『SUN FARM市原』は、ソーラーシェアリングを使った栽培事業のノウハウを蓄積するという役割も担っています。現在稼働しているのは約2000㎡、そのうちの1000㎡がブルーベリー菜園、残りの1000㎡がトマト栽培のハウスと、キクラゲの栽培スペースとなっています。

トマトの養液栽培の様子。遮光率を10%に絞り、地面には反射シートを敷き詰めることで、ハウス内は非常に明るくなっています

最適な遮光率と育成方法は作物によって異なるため、試験農園の一角でさまざまな果実や樹木を育て、ノウハウを蓄積していると生津氏は語ります。

「『SUN FARM市原』はコンサルティングにも活用しており、どの作物が適していて、どれだけの利益が想定できるのかも見学者に説明しています。例えば1000㎡のブルーベリー菜園に40%程度の遮光率でソーラーシェアリングを導入すると、年間の売電収入は約100万円。ブルーベリーが収穫できるようになると、フルで収穫できれば現在の価格で年間約300万円の利益が出ます。1000㎡の土地から年間400万円の利益が生まれると考えると、非常に効率的です。天候不順で収穫量が落ちても、売電収入という“保険”があることで、営農活動を安心して続けることができます」

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自動潅水養液栽培で、作業負担を軽減しています

脱FITへ! 売電ビジネスではなく、営農の安定化と地域の活性化でSLOCの実現を目指す

生津氏は、ソーラーシェアリングを世の中に浸透させるには、ソーラーシェアリングで人と人、地域と地域がつながる社会を目指すことが重要と語り、「SLOC(Small, Local, Open, and Connected)」というキーワードを挙げます。

「単に儲けることだけを考えるのではなく、農業を安定させるためにソーラーシェアリングを活用し、確保した食料・エネルギーを地域社会で共有して地域全体を豊かにしていくというSLOC的な発想を持つことが大切です。最近では、地方の自治体からのソーラーシェアリングに関する問い合わせも増えてきており、グローバルではなく個人個人がつながって地域社会を活性化しながらビジネスを展開していくSLOCの時代が近づいてきていると感じています」

SLOCのイメージ図

ソーラーシェアリング協会では、現在までに日本全国で約100件のソーラーシェアリング事業の立ち上げを手がけているといいます。日本において、セールス・マーケティングからコンサルティング、水耕栽培をはじめとしたノウハウの提供、EPCまでを一気通貫でサポートする組織は他にはみられません。現在は未来型農業に注目する企業からのアプローチが主流ですが、SLOCの実現を目指す地方団体や農家が導入を検討し、地域社会の活性化につながってほしいと生津氏は期待しています。

「地域を活性化する取り組みを支援したいという投資家は少なくありません。ソーラーシェアリングで地域に貢献するビジョンがあれば、クラウドファンディング等を活用することで、大企業でなくても事業を継続していくための投資は集められると思っています」

2020年2月には農林水産省の担当者も視察に訪れました

グローバルから個の時代へと変わりつつあるビジネスの世界で、単なる利益だけでなく地域を生かすための農業を実践できるソーラーシェアリング。興味を持った個人・団体・企業は、ソーラーシェアリング協会の試験農園を見学し、農業+エネルギーが生み出す次世代の営農を体感してみてはいかがでしょうか。

一般社団法人ソーラーシェアリング協会(エーピーシーグループ)

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生津賢也/経営コンサルタント
……大学卒業後、投資銀行におけるトレーダーを経て海外に渡りさまざまな業界で企業の経営再建業務に携わる。2018年よりソーラーシェアリングビジネスに従事。金融、メーカー、商社、ITサービス、メディア業界における経営再建の経験、知見を生かし、国内外の企業や投資家に対してコンサルティングを行っている。

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