【プロに聞く】ハクサイの栽培方法とおすすめ品種は? よくある失敗対策も

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【プロに聞く】ハクサイの栽培方法とおすすめ品種は? よくある失敗対策も

連載企画:ブリーダー直伝!売上アップの栽培方法

【プロに聞く】ハクサイの栽培方法とおすすめ品種は? よくある失敗対策も
最終更新日:2020年08月21日

これから栽培できるハクサイの育て方を、野菜のプロであるタキイ種苗のブリーダーが教えます。「結球しない(葉が巻かない)」「ゴマ症・縁腐れ(ふちぐされ)・芯割れを防ぐには?」など、よくあるお悩みにも答えます。家庭菜園ファンも必読のテクニック集です。

ハクサイの播種(はしゅ)

品種ごとの播種日を厳守します。播種適期より早まきすると、軟腐(なんぷ) 病・菌核(きんかく)病などの病害が発生したり、外葉ばかりが多くなり結球態勢に入るのが遅くなったりします。逆に遅まきすると、株張りが悪くなり結球しても小玉になり、さらには不結球になる場合もあります。

ハクサイの育苗

ハウス内で育苗する場合は、定植の3日以上前から屋外に苗を移動して順化し、強い光と風、気温の日較差を利用してがっちりとした苗に仕上げます。
順化する際には、苗を「サンサンネット」でトンネル被覆して、強い雨に打たれないようにします。

ハクサイの定植

定植適期の若苗。根鉢が崩れず、根張りもほどよい

若苗定植すると早期に活着して生育初期に根が深く入り、乾燥条件でも水分を吸いやすくなります。ほどよく根が張って苗を抜いても根鉢が崩れないようになれば、定植適期の若苗です。根が回った老化苗を定植すると、活着不良を起こしやすくなるので注意します。また、定植後は十分にかん水し、苗が活着するまでは乾燥に注意します。

ハクサイの肥培管理

追肥は品種に合わせ、株の生育状況を見ながら行う

早生種・中早生種は、早い時期に結球態勢に入るので、元肥主力の施肥設計で初期から旺盛な生育を促します。草勢の強い中生・中晩生種は多肥にすると、株が大きくなりすぎます。元肥を抑え、追肥を数回に分けて行うことで肥効を持続し、じっくり肥大と玉じまりを進めます。
1回目の追肥は、活着して新しい根が伸び始めるころの定植後7〜10日目に行います。10平方メートル当たり窒素成分量で30グラム程度の速効性の化成肥料を条間に施します。その際、除草を兼ねて畝の表面を軽く耕して中耕をします。2回目の追肥は、生育状況を見ながら結球が始まるころに行います。

ハクサイの結束・収穫

厳寒期収穫では、球頭部を軽く縛り寒さ傷みを防ぐ

厳寒期に収穫する場合は、寒さ傷みを防ぐために、球頭部をひもなどで縛る結束作業を行います。霜に2〜3回あたり、外葉がしんなりとやわらかくなったときが、結束のタイミングです。

プロがお答え! 栽培Q&A

Q. ゴマ症・縁腐れ(ふちぐされ)・芯割れを減らすには?

A. これらの生理障害は、生育がごく旺盛なときに発生しやすく、その原因は①土壌の窒素過多、②高温、③過熟です。
①窒素過多
化成肥料だけではなく、堆肥(たいひ)も含めて窒素施肥量を計算し、過剰にならないように適量の施肥を行います。
②高温
温暖化で秋の気温が高くなってきているので、天候を見計らい、播種期を遅らせてじっくりと生育するようにします。遅い時期に定植を行う場合には、老化苗定植は厳禁とし、必ず若苗定植を行ってください。
③過熟
収穫遅れは過熟や老化を引き起こすので、適期収穫を心掛けます。

Q. 結球不足、どうすればいい?

結球不足になってしまったハクサイ。生育初期に葉枚数を十分に確保することが重要

A. ハクサイが結球するには、生育初期に葉が十分に生育する必要があり、適湿時に畝立て・定植することが重要ポイントの一つです。
よくある失敗は、大雨の後に土壌が水分を多く含んだ状態で畝立てをし、ゴロ(土塊)が多くなってしまい、定植しても初期生育が順調にいかないことです。大雨の後には畑が乾くのを待って、土を握って塊ができ、その塊を指で突くとほぐれるような土壌適湿条件で畝立てをします。

【直売所向け】ブリーダーこれがおすすめ秋品種

根こぶ病に強く、育てやすさ◎

「きらぼし85」。「きらぼし」シリーズを組み合わせて大玉ハクサイのリレー収穫も可能

「きらぼし」シリーズは、幅広い根こぶ病に強く作りやすいうえ、肉質がやわらかくおいしいハクサイなので、直売所出荷におすすめです。
中間地・暖地向けでは、年内どりの「きらぼし77」、12~1月どりの「きらぼし85」、1~2月どりの「きらぼし90」の3品種のローテーションで連続して安定出荷ができます。冷涼地向けの9~10月どりでは「きらぼし65」を栽培します。

味&栄養価抜群!

従来ハクサイにはないシスリコピンを含む「オレンジクイン」

「オレンジクイン」は球内色が鮮やかなオレンジ色で、食感がパリッとしており甘くておいしい品種です。栄養価の面では、通常のハクサイに含まれるβ‐ カロテンに加え、トマトに含まれる抗酸化成分の一種であるシスリコピンを含んでいます。見た目のきれいさ・味・栄養面と、多方面からアピールできる品種です。「オレンジクイン」は外見では通常のハクサイと区別しづらいので、タキイホームページ内の「販売支援ツール」にあるPOPなどを利用して販売しましょう。

ミニハクサイ「CRお黄(き)にいり」の栽培ポイント

「CRお黄にいり」は使い切りサイズで、冷蔵庫の野菜室にもぴったりと収まるミニハクサイ。

ミニハクサイとして600~700グラムの玉を収穫するには、条間・株間は20~25センチを標準とします(下図)。

(例)左:10700株/10a、中:10000株/10a、右:11100株/10a

元肥主力の施肥設計とし、元肥量は大玉品種より3割程度減肥した量を目安とします。
早生種であり収穫適期幅が短くなる傾向にありますので、出荷量を考慮した計画的な作付けを行い、8分結球から収穫を始め、過熟になる前に収穫を終えるようにします。

根こぶ病対策のポイント

「タキイセル培土」。清潔な培土で伝染経路をしっかりと断つ

  1. 幅広い根こぶ病耐病性をもつ「きらぼし」シリーズなどの品種を栽培します。
  2. 根こぶ病の休眠胞子の混入した床土で育苗した苗は伝染経路となりますので、「タキイセル培土」などの清潔な培土で育苗を行います。
  3. 酸性土で発生し、中性からアルカリ性の土壌では発生が減少しますので、石灰を施用して土壌pHを6.5以上に矯正します。
  4. 執筆:タキイ長野研究農場 近藤 英郎(こんどう ひでお)

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