千葉市で食のブランド「千(せん)」が立ち上がった理由

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千葉市で食のブランド「千(せん)」が立ち上がった理由

千葉市で食のブランド「千(せん)」が立ち上がった理由
最終更新日:2020年09月10日

全国各地で農産物のブランド化が取り組まれ、すでに消費者から高い評価を得ている地域産品が生まれています。ただ、従来のブランド化の多くは特定の農産物を普及させる取り組みであったため、名産品に乏しい地域での成功事例は皆無に等しいと言わざるを得ません。そこで千葉市ではこのほど、新たな食のブランド「千(せん)」が立ち上がり、市内でつくられた農産物や加工品、食関連のサービスまでを対象にブランド認定して、日本全国への訴求を目指しています。

名産品がなく注目されにくかった千葉市産品

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千葉市内の落花生畑

千葉県には八街の落花生、富里のスイカ、南房総のビワなど、全国的に知られる農産物が多々ありますが、その中心地である千葉市は誰もが知るような名産品には乏しいと言えるのではないでしょうか。しかし千葉市でも、前述した落花生に関しては八街市にも引けを取らない生産量を誇るなど、従来から質の高い農産物が盛んに生産されてきました。

そこで千葉市では、市内で生産された農産物をはじめ、加工食品も含めた千葉市の「食」の認知度を高めるため、生産者・事業者との検討を経て食のブランド「千(せん)」を立ち上げることにしました。ブランド化を推進することになった経緯について、同市経済農政局農政部農政課の佐古典子(さこ・のりこ)さんは、次のように解説します。

「突出した名産品がないために、千葉市の『食』を千葉市産として他地域の皆さんに認知してもらう機会はなかなかありませんでした。幸い、大きな消費地が近かったこともあって、生産した商品が売れ残って困るようなことはあまりないようでしたが、今後、本格的な人口減少時代に突入すると、市場の縮小は避けられませんから、市内の方にも、そして市外の方にも千葉市産を選んで購入してもらえるよう、食のブランド化に取り組むことになりました。」

これまでにも千葉市では、地産地消を推奨するための取り組みである「千葉市つくたべプロジェクト」や、市内で製造された加工食品を手土産として使ってもらうための「食のギフトセレクション」が行われてきました。市民への認知度がある程度高まってきたところで、さらに取り組みを前進させて、千葉市以外の消費者にも手に取ってもらえる市産品にしていくべく、食のブランド「千(せん)」が立ち上げられることになったのです。

ブランド認定基準に持続可能性を取り入れる

こうした農産物のブランド化は全国各地で進められてはいるものの、その多くは特定の農産物を取り上げているため、例えば、糖度が何度以上あるのかといった一定の基準で農産物の品質が担保されてきました。しかし、突出した農産物がない千葉市では特定の農産物だけでブランド化を進めるのは難しいのではないでしょうか。どのような形でブランド化が進められようとしているのかを問うと、同課の石井博美(いしい・ひろみ)さんがこう説明してくれました。
  
「千葉市にはどのようなブランドが必要なのか、地域の生産者・加工業者・流通関係者などとともに検討会を開き、議論を重ねた中で、『千(せん)』のコンセプトが生まれてきました。今後、食のブランド『千(せん)』では、市内の食に関わる事業者の皆さんに応募していただき、ブランド認定した上で支援していく予定ですが、多種多様な事業者を地域として後押しできるよう、市内で生産された農産物に留まらず、加工品や食関連サービス業も認定の対象とした、従来にないブランド化を進めていきます。」

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生産者・事業者を交えて行われた検討会議

加工品や食関連サービスまで対象となると、全国各地で実施されてきた農産物のブランド化と異なり、一定の基準で認定することは難しいでしょう。食のブランド「千(せん)」の名の通り、千年先まで続けられるように…という想いから、美味しく質の高い食品であるだけでなく、持続可能な開発目標(SDGs)の視点でつくられているかどうかも基準に加えられることになりました。

そのためブランド認定の審査にあたっては、例えば、人と環境に配慮した農法で生産された農産物や、資源やエネルギーのロスをできるだけ減らして製造された加工品は高く評価されるでしょう。また、貧困家庭の子供たちに食事を提供する「子ども食堂」のような食関連サービスなども認定の対象になってくるということですから、食のブランド「千(せん)」は従来の農産物のブランド化とは異なる新しい取り組みなのです。

伴走型支援も実施して商品力アップも目指す

今後、ブランド認定を求める事業者を対象とした説明会を9月以降に実施し、11月頃から審査を行っていくことになっていますが、美味しさに加えて持続可能性を求められては、すぐに認定を受けられる方はそうそういないのではないでしょうか。この問いかけに対して、石井さんは次のように話してくれました。

「私たちが求める基準をクリアできる事業者ばかりではないでしょう。ですから、一度の申請で認定できなかったからといって終わりではなく、審査結果のフィードバックや再チャレンジに向けての商品ブラッシュアップを一緒に行う『伴走型支援』というメニューを設けていて、持続可能性を高めるためにどうすればいいのかのアドバイスや、商品力を高めるためのサポートもしていく予定です。」

その結果、認定を受けられれば、今後はブランドの広報活動で広く紹介してもらえるといいます。例えば、各地で開催される食品関連の催事で千葉市がブースを確保。そこに自分たちの食品を置いてもらうことができます。また、通販サイトに開設されたブランドサイトを通じて自慢の食品やサービスを全国に販売・広報することもできるようになります。佐古さんがこう付け加えます。

「販売チャネルの拡大に努めていく中で、私はブランド認定された事業者と事業者の化学反応を期待しています。ブランドに参加した生産者と加工業者のマッチングが進み、魅力的な加工食品ができれば、それが新たな名産品となって、行政の支援がなくても持続可能な食品生産が確立されるでしょう。」

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千葉市農政課の佐古さん(右)と石井さん(左)

 食のブランド「千(せん)」は10年計画で実施される予定で、最初は千葉市民の認知度向上に取り組まれた後、日本全国、そして、ゆくゆくは世界へと訴求の対象を広げたいとのことで、千葉市の佐古さん、石井さんの熱い想いが伝わってきました。販売チャネルの拡大だけでなく、新たなビジネスパートナーを見つけるためにも、食のブランド「千(せん)」にぜひ、参加してみませんか。


【問い合わせ】
千葉市 経済農政局 農政部 農政課
〒260-8722
千葉県千葉市中央区千葉港2番1号
TEL:043-245-5758 FAX:043-245-5884
ホームページはこちら

「千(せん)」のブランドページはこちら

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