ダンゴムシとは?
ダンゴムシはワラジムシの仲間で、ムシと付いていますが昆虫ではなく、硬い殻を持つカニやエビの仲間である甲殻類に分類されています。日本にいるダンゴムシは主に3つの種類に分けられ、庭先や畑で見られるダンゴムシは、「オカダンゴムシ」と呼ばれる種類のようです。エサとなる枯れ草や落ち葉の多い場所、植木鉢の下やコンクリートブロックの下など、日陰で湿度の高い場所でよく見られます。
ダンゴムシは益虫?害虫?
ダンゴムシは基本的には朽ちかけて柔らかくなっている落ち葉や枯れ草、そして動物や昆虫の死骸を食べているようです。自然界ではいわゆる「分解者」と言われる役割を果たし、ミミズや土壌微生物と一緒に土を作り、有機物を無機物へと分解します。畑の中でも腐葉土や枯れ草を敷いているとダンゴムシが分解し、フカフカで栄養のある土をつくる手助けをしてくれます。そのような点でダンゴムシは益虫だと言えます。
しかし、ダンゴムシは雑食性でいろんなものを食べることができるため、野菜の新芽や、イチゴの実の部分など柔らかい部分を食べてしまうことがあります。そういう点では害虫と言えるかもしれません。
数が少ない時は被害が出ることはあまりないように思います。観察していると、他の虫が食べた痕や野菜の割れ目などから中に入って食べる様子が見られますが、そこまで害虫として駆除すべき対象ではないように思います。
しかし、数が多すぎたり、他に食べるものがなかったりすると野菜にも被害が出ることがありますので、その場合は環境の改善や対策が必要になるでしょう。
ダンゴムシはカルシウムが好き?
ダンゴムシは硬い殻を作るのに多くのカルシウム分を必要としているからか、カルシウムを多く含むものに寄って来やすいという性質があるようです。古いコンクリートブロックの下などで見かけるのも、コンクリートが風化することによって溶け出てきたカルシウム成分に寄って来ているからでしょう。そう考えると畑や庭の土にカルシウム分が多いとダンゴムシも増えやすくなるということがもしかするとあるかもしれません。
ダンゴムシが増えた要因と対策法は?
うちの畑ではここ1年ほどでダンゴムシが増えてきたため、その理由を考えてみました。一般的にダンゴムシが畑や庭に多い場合、以下の3つの理由が考えられるのかなと思います。
- 風通し、日当たりが悪くなっている
- エサとなる落ち葉や枯れ草がたくさんある
- 畑がカルシウム過剰になっている
うちの畑ではどれが要因になっていそうか見ていき、その対策を考えてみます。
1. 風通し、日当たりが悪くなっている
ダンゴムシは風通し、日当たりが悪い場所を好むため、畑や庭がそのような環境である場合、ダンゴムシが増えやすくなっている可能性があります。このような環境の場合は同様の環境を好むナメクジなども多い可能性があります。しかしうちの畑の場合は風通しも日当たりも良い畑なので、この点は当てはまらないかなと思います。
風通し、日当たりが悪い場合はその障害となっているものを取り除いたり、剪定(せんてい)や草刈りを行ったりすることで、風と光の通り道を確保してあげましょう。
2. エサとなる落ち葉や枯れ草、腐葉土がたくさんある
ダンゴムシがエサとする落ち葉、枯れ草、腐葉土などがたくさんあることが、ダンゴムシが増える要因になっている可能性があります。確かにうちの畑は枯れ草をマルチとして利用しているので、この点は当てはまります。しかし、同じように枯れ草でマルチングをしている畑でもダンゴムシが多く発生していない場所もたくさんありました。枯れ草を敷いていてさらに雑草などが生い茂って、風通しや日当たりが悪いところにダンゴムシがたくさん発生するようです。
うちの畑の場合、2年前に土の中に腐葉土をたくさん入れたのですが、これがあまり良質なものでなかったこともダンゴムシが増えた原因ではないかと思っています。
良質でない腐葉土はあまり分解発酵が進んでおらず、バーク堆肥(たいひ)という木の皮を発酵させて作られた堆肥なども混ざっているので、これらを分解するために分解者であるダンゴムシなどが増えている可能性もありそうです。
これが原因であれば、追加の腐葉土や堆肥を控えつつ、以前にまいた腐葉土の分解が終わってエサが少なくなることでダンゴムシの数が減っていくのを待つのが良いのかなと思います。
3. 畑がカルシウム過剰になっている
ダンゴムシはカルシウム成分を含むものに集まりやすいという性質があります。畑の土にカルシウムが多く含まれていたり、畑や庭の周囲に古いコンクリートブロックなどのカルシウムを多く含むものがあると数が増える原因になるかもしれません。
うちの畑も実は土壌分析を行った結果、カルシウムが過剰であることが分かっているので、もしかしたらダンゴムシが増えた一因になっているのでは?と考えています。ダンゴムシが多い畑や庭ではこれを疑ってもよいかもしれません。家庭菜園で土のカルシウム量を測るのは少しハードルが高いと思いますが、カルシウムが多い畑は基本的に土壌酸度も中性(pH7)に近い値が出ると思いますので、土壌酸度を測ることで目安にしてもよいかもしれません。
薬剤で対策も
ダンゴムシへの忌避剤としては食酢や木酢液などを薄めて散布するとよいようです。原液のままですと野菜が傷むので、食酢の場合は20倍程度、木酢液は100倍程度に薄めて野菜の株元などに散布するとよいでしょう。
数が多いときは根本的な対策を
ダンゴムシは害虫にもなり得る虫ですが、基本的には分解者として畑の土をミミズや微生物と一緒に肥やしてくれる生き物です。少数であれば基本的には問題ないので、特に大きな被害がない限りは放っておいてよいでしょう。被害が大きかったり数が多いようであれば、薬剤での対策もしつつ、まずはダンゴムシが増えやすい環境になっていないかをチェックして、根本的な対策を考えてみましょう。