鋼管の1/2という圧倒的な軽さで、支柱の運搬・差し替えも楽々!
9月上旬。甲州市勝沼の雨宮観光ぶどう園では、たわわに実をつけたぶどうが頭上から房を垂らし、ぶどう狩りに訪れる観光客を待ち構えていました。
「今の時期は、ピッテロ・ビアンコや甲斐路が食べごろ。もちろん、シャインマスカットも人気です」。そう話すのは、農園長の雨宮幸雄(あめみや・ゆきお)さん。この道40年のベテラン農家です。
雨宮さんが、宇部エクシモ株式会社の『コンポーズパイプ』に出会ったのは、2020年の春のこと。
「JAに置いてあったパンフレットが目に止まったんです。ちょうど鋼管製の支柱に穴があいて取りかえ時だったもので、軽くて丈夫な支柱ならぜひ使ってみたいと、まずは数本注文してみました」と雨宮さん。実際に使ってみるとまず、その軽さに驚いたといいます。
「この辺りは盆地なので圃場が傾斜しているのですが、重いコンクリートや鋼管の支柱を1本1本抱えて運び、傾いた場所で差し替える作業は骨が折れます。『コンポーズパイプ』なら、10本わずか8kgなので、一度に20本は運べる。鉄パイプでは到底無理ですよね。差し替えも簡単で、パイプ上部の切り込みにワイヤーをはめ込んで、沈下防止のキャップを取り付けた部分を地面に差すだけ。あっという間に交換できるので、作業効率も上がりました。傾斜のきつい土地の方や、年配の方、女性の方にはぜひ使ってみてほしいですね」と、喜びの声を聞かせてくれます。
さらに、雨宮さんが軽さの他にも注目しているのが、『コンポーズパイプ』の耐久性。
「鋼管製の支柱は、土に触れた部分から腐食してやがて穴があいてしまう。『コンポーズパイプ』なら、腐食しないのでより長持ちしてくれます。鋼管製よりも数百円高いけれど、長い目で見ればコストパフォーマンスが良いと思います」。
雨宮観光ぶどう園では現在、圃場全体でおよそ30本の『コンポーズパイプ』を導入。雨宮さんは、「今後も長く観光農園を続けていくために、取り換え頻度が少なく、作業を軽量化できる『コンポーズパイプ』を順次導入していきたい」と話してくれました。
噴霧機にぶつかっても元通り!? 長持ちの秘密は耐腐食性と弾力性
そもそも『コンポーズパイプ』とは、プラスチック加工を専門としていた宇部エクシモが、独自の連続引抜成形法で生産するFRP(繊維強化プラスチック)パイプの総称。軽量で耐腐食性があるこのパイプはもともと、フラワーネットや電気柵用の農業用支柱として活用されていました。
この素材に目をつけ、ぶどう棚用の支柱の開発を宇部エクシモに提案したのが、山梨県で農薬資材の卸売業を行う株式会社アセラでした。同社の園芸資材部・部長の小林亮仁(こばやし・あきひと)さんは、提案のきっかけを「山梨県のぶどう農家の省力化に貢献したかった」と話します。
「若い人が県外に出てしまい、多くの農家は年配の方だけで切り盛りしています。重たい支柱交換を年配の方だけで行うのはとても大変です」と小林さん。
2019年から同社で『コンポーズパイプ』の取り扱いを始めると、ぶどう農家からさまざまな反響が届いたと言います。アセラ農薬部の次長・塚田岩樹(つかだ・いわき)さんは、意外なシーンで同製品の評価が上がっていると話します。
「狭い圃場でスピードスプレイヤーを使うと、支柱にぶつかってしまうのはよくあること。鋼管の支柱は曲がってしまいますし、コンクリートの支柱なら割れてしまいます。しかし、『コンポーズパイプ』は弾性があるため、スピードスプレイヤーが当たっても、ほとんど変形せず、丈夫で良いと農家の方から好評です」と塚田さん。
アセラでは現在、『コンポーズパイプ』を桃の樹形を整える支柱に応用できないかと構想を練っているのだとか。『コンポーズパイプ』は、軽量性や耐腐食性、弾性を生かしたさまざまな使い道がありそうです。
使いやすさをとことん追求して、ぶどう農家の省力化に貢献
『コンポーズパイプ』を生産している宇部エクシモの機能樹脂製品営業部 東京営業一課の速水隆憲(はやみ・たかのり)さんは、『コンポーズパイプ』の最大の魅力を「とにかく軽くて長持ち!」と話します。
「重量は鋼管の1/2以下。広い果樹棚の支柱差し作業や、傾斜地における運搬作業において、農家さんの負担を圧倒的に軽減できます。また、鉄のパイプのように錆びたり、土に触れる部分が腐食して穴が開くことがないため、差し替え頻度が減り、省力化につながります」と自信を見せる速水さん。
側面につけた滑り止めのイボや紫外線劣化を防ぐ黒い色、沈下防止のキャップなど、細部に至るまでぶどう棚での使いやすさを追求しているのだそう。
速水さんに今後の目標を伺うと、「農家が高齢化する一方、猛暑や長雨など、自然環境の変化で作業の負担は増えています。弊社の技術で、従来品に代わる新たな農業資材を開発し、農家の方の負担を少しでも減らしていきたいです」と、力強く語ってくれました。
取り換え時がチャンス!圃場の作業頻度・労力が変わる
JAフルーツ山梨・営農指導課の秋山堅斗(あきやま・けんと)さんによると、「ぶどう栽培は上を向いての作業が多く、ただでさえ重労働」とのこと。
「JAでも、普段の作業に加え、重たい支柱の運搬や差し替えを行うのが体力的にきつくなったという声は多く寄せられています。『コンポーズパイプ』を知らない農家の方はまだまだたくさんいらっしゃるので、どんどんおすすめしていきたいですね」と秋山さんは話します。
そろそろ換え時かな?というぶどう農家の方は、「とにかく軽くて長持ち」の『コンポーズパイプ』を検討してみてはいかがでしょうか。購入の際はお近くのJAにご相談ください。
宇部エクシモ株式会社 機能樹脂製品営業部
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