年商1億円まであと一歩! キュウリ農家が高級車を購入するまでの軌跡からひも解く、農業で稼ぐメソッド

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年商1億円まであと一歩! キュウリ農家が高級車を購入するまでの軌跡からひも解く、農業で稼ぐメソッド

年商1億円まであと一歩! キュウリ農家が高級車を購入するまでの軌跡からひも解く、農業で稼ぐメソッド
最終更新日:2020年11月30日

日本の農業は収入面からみて二極化の傾向にあります。しっかり収益を上げている生産者がいる一方、経営が安定せず離農の道を選ぶ方も少なくありません。栽培技術をベテラン生産者に倣うように、稼ぐ方法も成功者に倣うべき。福島県喜多方市でキュウリをメインに複合経営を手掛ける株式会社渡部ふぁーむ代表に、収益向上の秘訣を伺いました。

基礎を固めることこそが収入アップの近道

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喜多方市は雄大な飯豊連峰に抱かれた風光明媚なまちです(写真奥「飯豊山」)

良質なお米をはじめ、豊かな自然と清らかな水に育まれた農作物の宝庫である福島県喜多方市。中でもキュウリは、その品質の高さと施設栽培による安定供給の取組から市場価格が年々上がり、栽培にチャレンジする若手生産者も増えています。就農2年目で収入1000万円を超えた生産者がいることからもわかるように、同市には農業で稼ぐ『土壌』が整っているといえるでしょう。

【前回記事】就農2年目で農業収入1000万越えを実現! 福島県喜多方市の“キュウリ”でガッツリ稼ぐ農業、始めませんか?

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管内にはJA会津よつばが運営する選果施設『会津野菜館』などがあり、農業で稼ぐ土壌が整っています

そんな喜多方市でキュウリを中心に水稲、水耕トマト、雪下キャベツなどを複合経営する株式会社渡部ふぁーむ。同社の目標は「年商1億円」です。それを達成するため、代表取締役社長の渡部一(わたなべはじめ)さんは「就農当時から明確なビジョンを持って経営に当たってきた」と話します。

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(株)渡部ふぁーむ代表取締役の渡部一さん(現JA会津よつばきゅうり部会長)

民間企業を退職後、家業を継ぐ形で2006年に就農した渡部さん。「収益を上げるため、私の代から1日に2回収穫できるキュウリの施設栽培を始めました。ハウスを建てるため借金1000万円からのスタート。収量を増やすためにはまず、良い土を作ることが第一と考え、最初のうちは試行錯誤を繰り返しながら土づくりに徹しました」と、当時を振り返ります。

キュウリの根張りをよくするために、完熟堆肥や米のもみ殻を使った堆肥などを使って柔らかい土づくりを行った結果、栽培4年目頃からキュウリの生育は格段に良くなっていきました。甘くて、皮が柔らかくみずみずしいキュウリが収穫できるようになり、収量・収益ともにアップ。

「土ができれば、次は腕の見せどころ。独学に加えて、JAの部会の勉強会などで積極的に栽培技術を学んできた成果がキュウリにダイレクトに現れるようになりました。収量だけでなく味や食感など、品質にもこだわることで『売れる』キュウリを作ることを常に考えていましたね」。

土づくり、栽培技術と収益向上につながる“基礎”をしっかりと作ることに時間とお金を費やした渡部さんは、「年収が3000万円に達したら法人化」と決め、さらに邁進します。そして2016年、晴れて株式会社渡部ふぁーむを設立。就農から10年目のことでした。現在は社員、スタッフ計18名を雇用し、キュウリのほ場も73aまで拡大。JA会津よつば管内でもトップクラスの売上高を誇っており、2019年には第60回福島県農業賞(農業改善部門)における最高位の「農林水産大臣賞」を受賞しています。

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「農林水産大臣賞」受賞時の渡部さん夫婦

農業でも「経営者」の意識・感覚が大切

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リスクを取りながらも、中長期的な目線で農業に携わってきたと語る渡部さん

「農業者だって民間企業と同じように、いち経営者。きちんとした経営計画を立てることでその時に何をすべきかが見えてきます。目先のことではなく、長いビジョンを持つことが大切」と、強調する渡部さん。

同社では、ハウスの自動潅水装置や自動換気装置、水稲の密苗栽培やフレコンバッグ出荷、ドローン防除、さらにはJGAP認証取得など、作業の効率化やコスト削減のために必要と判断としたものは積極的に取り入れてきました。また、常に意識しているのは「従業員が働きやすい環境づくり」と言葉を続けます。育児休暇や有休休暇など福利厚生を整え、無理のない勤務体制を構築。オフシーズンには皆で社員旅行にも行くそうです。「仕事をしていて楽しいと思ってもらえるように。仕事中に楽しそうな笑い声が聞こえたりすると私も嬉しいですね」。

「挑戦」と「投資」のバランスを見極めることが成功のカギ

法人化を決意した頃、渡部さんは高級車の代名詞、ベンツを購入します。それに見合った収入に達したことはもちろんですが、『フラグ』としての意味もあったと当時を振り返ります。

「農業だって儲かるんだ、ということを周知させたい思いがありました。日本の農業は家族経営が多く、休みがない、儲からないといったイメージに捉われがちです。忙しいなら雇用をする、給料を払うためには収益を上げる、そのために規模拡大をする。儲からない農業からの脱却は、従来の家族経営からの脱却にあると思います」。

そう考える渡部さんのモットーは「農業法人として仕事をするからには冬場でも農業の仕事を切らさないこと」。豪雪地帯の喜多方市でスタッフを通年雇用するためには、年間を通した収入確保が課題。それを可能にする一つの答えが、2019年から着手した「水耕トマト」です。

チェリートマトを栽培していた鉄骨ハウスを買い上げ、中玉トマトの苗を3,600本定植。ハウス内の環境はスマートフォンで閲覧することができ、省力化にも力を注いでいます。栽培するトマトは糖度が高いことで知られるフルーツトマト「フルティカ」。栽培管理は奥様とスタッフの2名が専任で行っています。会津地方の冬には珍しく、しかも甘くておいしいフルーツトマトは大好評。小さい子供のいる家庭にも喜ばれる人気商品になりつつあります。

「農業で儲けるためにはある程度の投資は必要です。そのためには挑戦する覚悟や、失敗を恐れないマインドが大切。もちろん、借金だけが膨れ上がるようでは意味がありませんから挑戦と投資、そのバランスを見極める経営感覚を養わなければなりません」。

渡部さんが話す「投資」には、人材も含まれています。同社は主軸であるキュウリと水稲の管理は全て取締役の息子さんに託し、渡部さんはマネジメントに徹しています。そうすることで「若手が生産者、経営者として成長することができる」と渡部さんは言葉を続けます。

「個人経営の農家は高齢になっても農業を続けた結果、後継者が見つからず離農するケースが多いです。家族経営にこだわらず、ある程度の年齢になったら人を育てることに徹し、やる気のある若い人に事業を継承することが日本の農業を守ることになるのではないでしょうか」。

「農業にも定年を」と考える渡部さんは現在50歳。65歳になったら一線を退き、キャンピングカーで日本中のゴルフ場を巡るのが今から楽しみと、笑顔で話してくれました。

作物を豊かに実らせることが農業人としての使命

固定観念に縛られず、新しいことにチャレンジする姿を次世代の担い手に示してきた渡部さん。また一方では、リタイアする農家の田んぼを積極的に引き受けるなど、地域農業の担い手としても尽力しています。

「土地を守ることが農業人の使命。田畑に作物を豊かに実らせること。それこそが『土地を守ること』です。法人化すれば事業拡大、雇用とできることが増えていきます。新規就農者はぜひ、法人化を目指し、儲からない、過酷、そんな負のイメージを若い力で払拭してほしいですね」。

目標の年商1億円まであと一歩。そのサクセスストーリは、就農希望者、日本の農業に希望を与え、稼ぐためのお手本になることでしょう。

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