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ショウガ栽培ってこんなに大変!? フリーランス農家がショウガ収穫バイトに挑む

ショウガ栽培ってこんなに大変!? フリーランス農家がショウガ収穫バイトに挑む

全国各地の農家を訪ねるフリーランス農家コバマツです。「10月下旬からショウガの収穫の繁忙期」という情報を嗅ぎつけて、今回は高知県高岡郡四万十町に来ています。四万十町はなんと、ショウガの生産量全国1位の地域。量が取れる地域なのだから、栽培も機械化が進み、効率化されているのだろうと思いきや?! 日常的に口にしているショウガがどのように栽培されて、食卓まで届いているのか。今回はコバマツが実際に畑に入り、ショウガ栽培を体験していきます。

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高知のショウガについて

今回コバマツが訪れたのは、高知県の四万十町。日本最後の清流があることで有名な地域で、川の水がとにかく奇麗というのが印象的です。

そんな四万十町はショウガの生産量全国1位(2018年産)を誇るショウガの名産地でもあります。

高知のショウガについて ショウガ畑

一面のショウガ畑

生産量が日本で一番多いということは、生産技術も発達していて、ショウガ栽培の機械化や効率化も進んでいるに違いない。今まで見たことがない農機具が見られるんだろうな!
そんなワクワクした気持ちで、今回ショウガの収穫バイトをすることになった佐竹ファームさんにお邪魔しました。

■株式会社佐竹ファーム
最後の画像 農場集合写真 

高知県四万十町の約4ヘクタールの畑で、国内で最も流通している品種である土佐一ショウガの栽培を行っている。繁忙期には、近所の人たちや漁師、大学生等が畑に来て収穫作業を行っている。現在はショウガ茶の商品開発や、社長自らトラックでショウガを九州、関西まで卸しに行くなど、より良い農業を作っていくために試行錯誤しながら挑戦を続けている。

高知のショウガについて 社長収穫作業中1

ショウガを収穫中の佐竹ファーム社長、佐竹巖(さたけ・いわお)さん

高知のショウガについて社長作業中

一塊がデカイ

小葉松

ショウガってこんなに大きいんですね! スーパーにある手のひらサイズしか見たことがありませんでした!
4月の下旬から植え付けを始めて、ゆっくり土の中で大きくなって10月下旬にようやく収穫になるんだよ。これがこの大きなショウガになる元種だよ。

佐竹巌社長

高知のショウガについてショウガの種

ショウガ一株につき必ず一つ親種があります

小葉松

6カ月も土の中で過ごすなんて! このショウガの親種が、更に大きくなって両手で持つほどの大きさになるんですね。植えてからは手間はそんなにかからないのでしょうか?
いや、いろいろやることはあるよ。ショウガは発芽するのに、4月下旬に植えて6月上旬にようやく発芽するんだ。発芽したら、今度はわらマルチを敷く。ショウガは湿気に弱いから、わらで土が乾きにくいようにするんだ。

佐竹巌社長

高知のショウガについて 藁が敷き詰められている様子

わらがみっしり

ショウガの間にはみっしりとわらが敷き詰められていました。人の手で一カ所づつ、敷き詰めていくそうです。人手がいりますね。

ショウガは繊細な作物だから病気にならないように消毒も欠かせない。それから、追肥をしたり、土を寄せてあげたりして、ようやく、収穫になるんだよ。

佐竹巌社長

こちらが実際の収穫の様子。

高知のショウガについて全体の収穫風景

畑の収穫風景

3~4列を一直線で真っすぐ掘っていきます。
主にショウガを土から取り出す組は男性、ショウガの葉を切る組は女性と、二手に分かれて作業をします。

高知のショウガについて ショウガを引っこ抜く様子

ショウガを割らないように優しく手早く引っこ抜きます

高知のショウガについて ショウガ並べる図

切る係の人が切りやすいように、同じ方向に積み重ねて並べていきます

高知のショウガについてショウガの葉を切る様子

ショウガの葉を切る組はひたすら切っていきます! 太い根っこも切っていきます

小葉松

……!? 機械使わないんですか!?
そうだよ。全部人の手でやるんだ。だから人手が必要な作物なの。

佐竹巌社長

小葉松

日本国内生産量1位の地域なので、栽培技術の機械化が進んでいると思っていたのですが……! 佐竹ファームさんが特別使っていないということなのでしょうか?
いや、ショウガはどの農家も手作業なんだ。ショウガの大きさがバラバラだったり、割れやすかったりするからね。機械化は進んでいないんだよ。

佐竹巌社長

機械等の発達で効率化が進み、生産量が日本一なのだろうと考えていたコバマツでしたが、まさかの人海戦術による収穫風景に、驚きを隠せませんでした。

高知のショウガについて トラック

収穫されたショウガ達はトラックで貯蔵庫まで運ばれていきます

こんなに手間と時間と人手がかかっていることを知らず、スーパーでショウガを見つけて、「高い!」とは言っていられないなと感じました。これからは手間ひまをかみ締めていただこうと思います。

コバマツもショウガ収穫体験をやってみた

それでは、早速ですが、私もショウガの収穫作業を行ってみたいと思います!

コバマツが収穫してみた 作業中

皆さんが作業している中にお邪魔し、いざ参戦!

通常は男性がショウガを掘り、女性が葉を切る作業と分担していますが、今回は両方体験させてもらうことに。

使う道具はこちら!!

コバマツが収穫してみた 道具

ハサミとクワ!

コバマツが収穫してみた ショウガ引っこ抜く

まずはショウガを土から掘り起こします。このとき、ショウガの塊が割れないように気を付けて収穫します

コバマツが収穫してみたショウガ取ったど

初収穫です。これでショウガ二塊です。立派

収穫した後は、株の下に必ず、「親」と呼ばれるショウガの種が埋まっています。来年のショウガ栽培をする際の大事な種ですので、こちらも忘れずに掘り起こします。

コバマツが収穫してみた 鍬を持つ

いざ!!

コバマツが収穫してみた 土を耕す

親種にクワを刺さないように掘り起こします

コバマツが収穫してみた 親種をみつけた

親種を発見しました! これがショウガの種になります。小さい

お次は、ハサミで、ショウガの葉を切ります。

コバマツが収穫してみた ハサミ持つ

いざ!!

コバマツがショウガ収穫体験してみた 手元ズーム

この時もショウガを割らないように気を付けて作業します

コバマツがショウガ収穫体験してみた 根切り作業ズーム

根もチョキチョキ切ってあげます

これで、ようやく、ショウガの収穫が完了です!

コバマツがショウガ収穫体験してみた 収穫完了のショウガズーム

これで完了!!

コバマツがショウガ収穫体験してみた お店のショウガ

ちなみにこちらがスーパーで売っているショウガ。手のひらサイズ。こんなに違うんですね!

そのまま収穫作業のお手伝いを続けたコバマツ。女性の担当である葉切り作業をしました。

コバマツがショウガ収穫体験してみた 作業続行

葉を切る作業を続けること6時間

私の手が……!!

コバマツが収穫してみた 手痛がる様子

超痛い!!硬い葉を延々とハサミでちょきちょきしていると、手に力が入らなくなります。初日の後半は手に力が入らなくて両手でハサミを使っていました・・・。

(2日目からはコツをつかみ、全然痛くなくなりました。慣れですね!)

人手不足はショウガ栽培にとって深刻な問題

機械化が進んでいると思い込んでいた、ショウガの生産現場はまさかの人海戦術。人手がないと本当にできない作業だということを痛感しました。
しかもショウガの収穫時期は10月下旬~11月下旬という冷え込む時期。一気に収穫しきらなければショウガが寒さにやられ駄目になってしまうそうです。
人手不足はショウガ栽培にとって深刻な問題になってくるといえます。

小葉松

スタッフの方、畑にいるだけでも10人以上はいますよね。毎年どうやって人を集めているのでしょうか? この地域一帯で同じ時期にショウガの収穫を行うということは、どこの農場も人手を必要としていて、人を集めることが難しそうだなぁと感じるのですが。
求人サイト等にも出しているけど、ほとんどが近所の人や昔からの友人に声をかけて手伝いに来てもらっているよ。漁師さんとか、この時期収穫がない農家さんとかにも来てもらってる。どこもそんな感じかな。ショウガは寒さに弱いから、霜が降りる前になんとか掘り起こさないといけない。早く作業を進めるためにも人手は必要なんだ。

佐竹巌社長

地域の人たちによって支えられているショウガ栽培。

一体、どんな人が収穫のお手伝いに来ているのでしょうか。

休憩中のスタッフの皆さんに直接話を聞いてみました。

人手が足りない話 休憩中の皆さん

休憩中の皆さん

小葉松

何かの求人サイト等を見て、このショウガ収穫のお手伝いに来ているのですか?
いえ! 私はここの農場のお母さんと同級生で、「ショウガの収穫来て」と頼まれて来ています。来始めてもう10年くらいになりますかね。

農場スタッフ

小葉松

10年! もはやベテランさんですね! どうして毎年お手伝いに来ているんですか?
この時期になったら「ショウガを掘る」って私の中で毎年恒例行事みたいになっていて。10月下旬になったら当たり前のようにショウガの収穫に来ています。

農場スタッフ

他の人たちも、農場の従業員の同級生や、近所の人がほとんどでした。コバマツのように他府県から援農に来る人はごくまれのようです。
しかし、ご近所の皆さんの力だけでは足りていない現状があり、今後どのように人手を集めていくかは課題でもあるようです。

高知県のショウガ収穫バイトは、相場時給1000~1300円ほどで、中には住み込みできる農場もあります。

人手が足りない話 コバマツが宿泊した ゲストハウス

ちなみに私は四万十町のゲストハウスに滞在していました。超快適でした

高知の人々のショウガ愛に触れて

収穫のお手伝いをして2週間、
「もうずっとおればええのに」としきりに言われ、
もうずっと高知におろうかなとすら思ってしまうほどの人々の温かさ。
地域一丸となって農業を支えている姿。

更に、おいしいショウガ料理もいただき、ショウガと地域の魅力を体感した2週間でした。

今度は仲間を引き連れて、収穫のお手伝いに来たい、そんなふうに思いました。

最後の画像 農場集合写真 

未経験でも、温かい地域の皆さんが優しく丁寧に教えてくれます!

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