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室内で野菜栽培できるLEDライトとは? 選び方のコツをプロに聞く!

千田 一徳

ライター:

連載企画:アラフォー主夫の窓際菜園

室内で野菜栽培できるLEDライトとは? 選び方のコツをプロに聞く!

前回、窓際菜園の光量不足に気づいた僕。ならばと勇んで栽培用LEDライトを購入し栽培実験をしてみたものの、なんかライトの効果が感じられないような。栽培用ライト、選ぶのめっちゃ苦労したのに。
そんな時に出会ったのが「誰もが安全で新鮮な食をつくり分け合える社会を作る」をミッションに家庭内野菜栽培用LEDキットを生産、販売している自給ラボという会社。今回は「栽培用LEDのプロ」からアドバイスしてもらいました。

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都会の家の中でも野菜を作ろう! 自給ラボとは?

前回の記事で、窓際菜園の致命的な日照量不足を痛感しました。
そこで急きょLEDライトを導入して栽培実験を始めてみたのです。

LEDを使って育ててみた野菜

こちらがLEDを照射している野菜たち

LEDを使わないで育ててた野菜の比較写真

こちらはLED「なし」の野菜たち

うん

どちらも順調に徒長してる雰囲気!!

このライト、某ショッピングサイトでは「野菜の栽培にも使える」と書いてあったのだけどな。

なんか、畑で野菜を育てていた時のグングン感が感じられないんですよね。

せっかくお金を(安いけど)投資したのに全然うまくいかないなんて。
心が折れかけたそのとき、ワラにもすがる思いでGoogle検索してみると、なんとも面白そうなスタートアップを見つけました。

その名も自給ラボという会社。

すぐにTwitterで連絡を取り、事情を説明して取材できることになりました。(SNSの力はすごい)

そこで、自給ラボさんに僕のやったことの何が悪かったのか、そして室内で野菜を育てる時のコツを聞いてみました。

誰もが家で野菜を育てられる社会を! 自給ラボの目指す世界

自給ラボ株式会社

「誰もが安全で新鮮な食をつくり分け合える社会を作る」ことをミッションに2019年設立。
ミッションを実現する一つの手段として「押入れ農園」を提唱。自宅で簡単に新鮮な野菜が栽培できるLEDキットの生産、販売などをしている。

枡田純(ますだ・じゅん)さん

大阪大学工学部卒業。小学生の時に炊飯器を分解し、その中にあったLEDに一目ぼれ。同級生が理科の実験で豆電球を光らせている時にLEDを光らせていた。中高生時はLEDを研究している大学の先生の元へ足を運んでいたほど。
現在は自給ラボのCEO兼CTO(最高技術責任者)として「誰もが自給自足できる社会」のため日々研究開発、ビジネスにまい進している。

窓際菜園は光量不足?

僕がやろうとしていることをすでにビジネスとして展開している枡田さん。
これはとても良いアドバイスをもらえそうです。

今の窓際菜園の写真を見てもらいました。

窓際で野菜を育てている写真

窓際菜園の弱点は、洗濯物を干すと光が入らなくなることだ

はい、ぱっと見光量不足ですね。

枡田さん

ガビーン

ツ、ツライ……

わかってはいたんです。

だって、LEDライト当ててるのに昼間照度を計測したら3793ルクスだったんだもん。

窓際で野菜を育てている写真

ちなみに、前回計測時は3622ルクス。窓から入る光量が違うとはいえ、あまりライトの効果を実感できない

しかし、枡田さんはその瞬間の光量だけを切り取って結論を出すべきではないと言います。

気をつけるべきなのは「光の積算量」です。どのくらいの光の量が、どのくらいの時間当たっているかを理解する必要があります。

枡田さん

難しい話になってきましたよ。でも、です。
これから「野菜を家で育ててみたい」という人はきっと増えるはず。
そんな人に僕と同じ失敗をして、室内野菜栽培をあきらめてほしくない!

良い機会とばかりに、枡田さんに根掘り葉掘りしてみました。

窓際は光の強さ、量が安定しない環境ですよね?
LEDは常に一定の強さと量の光を供給できるので、あとは照射時間を最適化してあげればよいだけなんです。LED栽培のアドバイス、しますよ!

枡田さん

本当に野菜が室内で育つ? そのヒケツは?

自給ラボのホームページを見ると、室内にもかかわらず青々とした野菜が育っているのがわかります。

室内の押し入れ農園ですくすく育つ野菜

実際の「押入れ農園」の写真。窓際菜園と育ち方が全然違う!

僕だって同じ室内(なんなら、光が当たる窓際)で光も照らしているのになぜこんなに違いが出るのでしょうか。

室内でなんの野菜が育てられる?

ちだ

室内では、どんな野菜が育てられるのでしょうか?
理論上は「どんな野菜」でも育てられます。が、多量の日照が必要な野菜を育てるのはコスト面からも現実的ではないので、いわゆる植物工場などで育てられている葉物類がメインになります。

枡田さん

以前僕の記事でも自給ラボのホームページから引用させてもらいましたが、やはり「光補償点、光飽和点が共に低い野菜」が良いようです。

具体的には、自給ラボさんの実績がある順に

  • サニーレタス
  • リーフレタス
  • ルッコラ
  • クレソン
  • バジル
  • ミツバ
  • セリ
  • サラダ菜
  • シソ

などをあげてくれました。

ちだ

やはり、半陰性か陰性の植物が良さそうですね!
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室内で野菜栽培をするときには、どのライトを選べばよいの?

今回、僕は「ライトが必要だ!」と感じて栽培用のライトを探しました。

そのときに感じたのは

種類多すぎ!

選び方わからなすぎ!

ということでした。

具体的に迷ったのは

  • ワット数
  • 光の色

の2点です。

自給ラボで販売している室内栽培用のLEDライトは100Wです。光の量はおおよそワット数に比例しますね。
4本セットのライトで、畳半畳分に対しておおよそ7000~13000ルクスの光を照射することができます。

枡田さん

ちだ

僕が買ったのは30Wです。全然足りませんね。
また光の色ですが、栽培用のLEDライトは白色に見えますが赤、青、緑の色が含まれています。それぞれの色に役割がありますので、自給ラボが販売しているライトの色は白ですね。

枡田さん

※ それぞれの光の役割
赤色:光合成に必要、この色がないとほぼ育たない。
青色:光合成に必要、開花などの生理作用、光の方向を植物に教えてあげる役割
緑色:植物体の形に影響、発芽の補助的役割

ちだ

僕が持っているのは赤と青だけで、ライトの色は2色合わさって紫なんです。
自宅では、ライトの色は紫よりも白が自然で良いなぁ。
家庭内野菜栽培用の白色ライト

自給ラボが販売している栽培用LEDライト。確かに光の色は白に見える

家庭内野菜栽培用の紫色ライト

こちらは僕のライト。「室内に紫ライト」は僕的にちょっとミスマッチ

それに、発芽前から青と赤のライトを使うのもイマイチですね。苗以降だったら青と赤でいいですが発芽から苗までは緑の成分があったほうが成長が良いですし、緑がないと発芽率が低下する品種もあります。

枡田さん

ちだ

もう、僕の菜園、全然ダメじゃないですか
さらに、光の「量子密度」(光合成有効光量子束密度)も重要です。これは、光を発するLEDチップの質に依存します。
この密度が低いと、野菜がうまく育たない、ということにもなります。

枡田さん

ちだ

難しい話になってきた……
その「密度」は購入前にどうやって判断すればいいんですか?
購入前に、というのは難しいですね。光の色と照度などから逆算して理論値を出すか、専門の機械を使って計測するか、が必要です。

枡田さん

ちだ

ということは、栽培用のライトはどうやって選べばいいのでしょう(涙)
白・青赤問わず、そのライトの消費電力と光の密度は比例します。一つの目安として、栽培面積1平方メートルあたり白なら100W、青赤なら70Wの消費電力であれば葉物類は十分育ちます。

枡田さん

ちだ

なるほど!それはとてもいい基準になりますね!
基本的に、良いLEDチップは高価です。よって、ライトの性能はある程度値段に比例する、と思ってください。
ちなみに、自給ラボで販売しているLEDは十分な性能と栽培実績がありますよ。

枡田さん

押入れ農園で育った野菜

押入れ農園で実際に育った野菜たち。僕もこんなふうに青々とした野菜を育てたい!

まとめると

  • 光量はライトのワット数に比例。自給ラボが販売するライトは100W。
  • 色は、赤、青、緑が混ざった白が良さそう。
  • 「光の密度」も重要。だけど買う前にはわからず。密度はLEDチップのクオリティーに依存していて、チップのクオリティーは価格に比例する。

ということでした。

今回、僕が購入したのは3000円ほどの安いライトでした。
光源から20センチ離したところで光量を計測すると4000ルクスほどなので、光量は不足しており、価格から推定するに光の密度も低い可能性があります。
さらに、そもそも発芽時に緑の光がないのもマイナスでした。

つまり!

ちだ

やっちまった!!!!!

ということですね。

コロナ禍で見直される都市部の食料自給率。野菜の室内栽培はこれからのスタンダードになるかもしれない。

室内でLEDを利用して野菜を栽培、収穫している写真

今回の取材では

  • 僕が買ったLEDは野菜栽培をするためにはスペックが不足していた
  • 栽培用LEDライトの質は価格に比例する

ということがわかりました。

そして、室内栽培の道がとても険しいことも……。

しかし、コロナ禍で「家でも野菜を栽培できるようになりたい」という人は多くいるのではないでしょうか。

そんな人のためにも、自給ラボさんのように室内で野菜を栽培できるようにするぞ!

と決意を新たにいたしました!

アラフォー主夫の窓際菜園、次回をお楽しみに!

自給ラボ

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