個人間の農地売買の基礎知識
まず、個人間で農地を売買する場合の基礎知識を確認しておきましょう。
農地とは
農地とは、その名のとおり農業のための土地のことです。土地は、その用途によって「地目」が決められています。例えば建物の敷地は「宅地」で、農地は「田」や「畑」として登記されているのです。
ただし、実際に農地であるかどうかは地目によらず、現在農業のため使われている土地であれば農地と見なされます。なお、家庭菜園などは農地に含まれません。
農地は誰でも買えるわけではない
農地は日本国内の食料自給率に関わるという理由から重要な土地として扱われているため、誰でも売買できるわけではありません。農地を購入できるのは、「売買の時点で実際に農業に従事している人」です。
この条件をクリアしているかどうかを判断するため、農地を売却する前に農業委員会に申請して許可を得る必要があります。農業委員会の許可を得ずに売買された土地は、その契約自体が無効となるため注意が必要です。
農地を売買する方法は2つある
農地の売却には、以下の2つの方法があります。
- 農地のまま売却する
- 宅地に転用して売却する
それぞれ必要な条件などが異なるため、注意が必要です。
農地のままで売却する
農地を購入できるのは実際に農業を営んでいる人だけですが、以下のような細かい条件が定められています。
- 農地取得後50a(約1,512坪)以上の面積を所有(ただし北海道の場合は2ha)
- 実際に農業が継続して行われている
- 農地に必要な機材や人材を所有している
上記の条件を満たしているかどうかを農業委員会が審査します。
農地を転用して売却する
農地を宅地に転用して売却することも可能です。宅地に転用すれば一般の人でも購入できるため、売却先がかなり広がります。ただし、宅地に転用する際は農業委員会の許可が必要です。また、「立地基準」と「一般基準」もクリアしなければなりません。
立地基準とは
立地基準とは、農地をエリアごとに以下のように区分けしたものです。
基本的に第3種農地ほど市街地に近く、上に行くほど農地転用が難しくなっていきます。
一般基準とは
一般基準とは、申請者の資金力や転用後の用途などが審査されるものです。具体的には、以下のようなことが問われます。
- 申請者に資金力や信用力があるか
- 転用後は申請した用途に利用されるか
- 目的の用途のために必要な広さやアクセスを備えているか
宅地として売却するケースでは、買主の住宅ローンの承認書など、早めに準備しておくべき書類もあります。具体的な必要書類は農業委員会によって異なる場合があるため、不動産会社に確認しておくとよいでしょう。
農地の売却を依頼する不動産会社は、農地の売却実績が豊富なところを選ぶことをおすすめします。その際は、不動産一括査定サイトを利用するとよいでしょう。売却する農地の情報を入力するだけで、複数の不動産会社を紹介してもらえ、その中から気に入った会社を選べるからです。
特にリビンマッチは全国1,700社の不動産会社と提携しているため、売却したい農地にマッチした不動産会社を紹介してもらえるでしょう。
個人間の農地売買の流れについて
ここからは、個人間の農地売買の流れを見ていきましょう。
個人間で農地売買する際の流れ
農地のまま売却する場合、買い手を見つけるのが難しいものの、買い手が見つかれば個人間で農地を売買することもできます。個人間で農地売買する際の流れは、以下のとおりです。
- 買い手を見つける
- 必要書類を準備する
- 農地の権利取得を申請する
- 価格交渉をし、売買契約を結ぶ
- 農地を引き渡す
個人間売買の場合は、売買契約書などをすべて自分で用意しなければなりません。売買契約書自体はインターネットで検索すればテンプレートを見つけられますが、大きなお金が絡むことなので、書類に問題があると後々トラブルに発展する可能性があることには十分な注意が必要です。
また、農業委員会への許可申請には以下の書類が必要です。
- 登記簿謄本
- 土地の位置図
- 住民票
- 農家申請書
農業委員会によって必要書類が異なる場合があるため、事前に管轄の農業委員会のサイトなどで確認しておきましょう。これらの手続きは、司法書士に依頼して代行してもらうこともできます。
個人間の農地売買にメリットはある?
個人間で農地を売買する最大のメリットは、不動産会社に仲介手数料を支払う必要がないことです。仲介手数料は不動産売買契約を仲介してくれた不動産会社に支払う手数料で、法律で以下のように上限が定められています。
1,000万円の農地の売買の仲介手数料の上限は以下の通りです。
-
1,000万円×3%+6万円+消費税=39.6万円
あくまでも上限なので、それ以下であればいくらでも構いませんが、上限額を支払うケースが多いです。農地の価格が高い場合は仲介手数料も高くなるため、個人間売買のメリットが大きくなります。
個人間で農地売買する際の注意点
個人間売買では仲介手数料がかからないというメリットがありますが、注意しなければならないこともあります。ここでは、以下の注意点について見ていきましょう。
- 手間や時間がかかる
- 権利関係のトラブル
- 価格設定のトラブル
手間や時間がかかる
個人間で農地を売買する場合は、売買契約書などを売主側が作成する必要があります。売買契約書は慎重に作成する必要があるため、時間や手間がかかります。
不動産会社に仲介を依頼しない場合でも、費用を支払えば不動産会社に売買契約書を作成してもらうこともできます。その意味でも、まずは不動産会社に相談したほうがよいといえるでしょう。
権利関係のトラブル
特に問題になりやすいのが権利関係です。農地の売却では、実際の所有者や土地の境界線といった権利関係で気をつけなければならないことがたくさんあります。
不動産会社に依頼すれば、これらを不動産会社の責任で対応してもらえますが、個人間売買ではすべて自ら対応しなければなりません。売買時には問題が起こらなくても、将来トラブルが発生した場合は自ら対処することになります。
このような部分だけを、司法書士などの専門家に依頼することもできます。その場合は、農地に強い司法書士などを不動産会社に紹介してもらうとよいでしょう。
価格設定のトラブル
一般的に売主は、保有している土地を相場より高く見積もるものです。一方で土地を買う人は、できるだけ安く買いたいと思っています。
このことから、個人間売買では価格交渉がうまくまとまらないことも少なくありません。その場合は、プロである不動産会社に仲介を依頼すれば、交渉がまとまりやすくなります。
個人間で売買する場合よりも高額で売却できることも
農地を個人間で売買する方法やメリット、注意点などお伝えしました。農地を個人間で売買すること自体は可能ですが、将来トラブルが発生する可能性もあるため、十分注意しなければなりません。
不動産会社に仲介を依頼すると仲介手数料が発生するというデメリットがありますが、個人間売買では価格交渉がまとまりにくいため、不動産会社に仲介に入ってもらったほうが高額で売却できることもあります。
特に農地を売却する際は、農地の売却実績が豊富な不動産会社を見つけることが大切です。そのためには、農地の情報を入力するだけで複数の不動産会社の紹介を受けられる不動産一括査定サイトを利用するとよいでしょう。
特にリビンマッチは全国の約1,700社から紹介を受けられるため、自分の農地に合った不動産会社を紹介してもらえる可能性が高いのでおすすめです。