フレッシュな作物の紹介で、冒頭から不穏な言葉を使うのがためらわれますが、「ミントテロ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ミントの強靭(きょうじん)な繁殖力によって意図せず庭一帯がミントに埋め尽くされて他の植物は蹂躙(じゅうりん)されてしまい、駆除が困難になることから、そのように呼ばれることがあります。
実際は駆除もできますし、一番駆逐したいイネ科の雑草には負けます。山を覆いつくす竹などに比べると可愛いテロだなと筆者は思いますが、それでもその繁殖力の高さは目を見張るものがあります。
つまり栽培はとても容易。枯らそうと必死になっても枯れなくて困るくらい強い植物です。
小さなプランターで、水さえ与えておけばずっと元気でいてくれますので、ちょこちょこっと葉っぱをちぎって食事やデザートに添えるだけで生活が豊かになりますね。
では栽培についてみていきましょう。
ミントの植え付け
ミントは容易に株分けができるため、苗からの植え付けをすることが一般的です。
植え付け時期は特に細かく気にする必要はないですが、猛暑時期と極寒期は避けるようにしましょう。
栽培カレンダーには最も適した4月植え付けの流れを記載しています。
ミントの土
鉢植えの場合は、園芸用の培土(pH調整済みのもの)をそのまま利用しましょう。
ミントは土壌の適応力も高く、それほど土づくりをしなくても十分成長することができます。どちらかといえば酸性土壌は苦手なので、地植えの場合は苦土石灰を1平方メートルあたり50グラムほど混和しておきましょう。畝をたててもすぐに畝以外の場所にまで繁殖するのであまり意味がありません。
ミントは地下茎で伸びて増殖していくので、地面に30センチ以上の板状の障害物を埋め込んで意図しない場所まで広がることを防いでおかなければなりません。
もしくはピートモスなどの強酸性の土で囲っておくと繁殖は緩やかになります。
ミントの種まき
ミントを種から育てる場合は、暖かくなってきた3~4月、もしくは涼しくなってきた9月頃の春まきと秋まきの2回のタイミングになります。
一つのポットに3~5粒くらいまいて、乾かないように水やりをおこなえば1週間程度で発芽し、成長を始めます。
本葉が5枚程度になったら植え付けましょう。
ミントの収穫・剪定(せんてい)
ミントは欲しい時に欲しい分の葉をちぎって収穫していても問題なく栽培を続けることができます。しかし、しっかりと量を収穫したい、長く収穫を続けたい場合は、高さが20~30センチになったら1/3くらいまで切り戻してあげましょう。
特に7月くらいに放置していると花が咲いてしまい、葉は食用に適さなくなるので、長く収穫したい人は、花を咲かせないためにも一度は剪定してしまいましょう。
切り戻すとさらに生き生きとした芽が分岐して出てきます。
逆に花を見て楽しみたい人は剪定しないようにしましょう。
ミントの株分け
挿し木なども容易にできますが、ミントを挿し木するメリットはあまりないように思います。それよりもずっと重要なのが株分けで、基本的には鉢植えされることの多いミントは、特に根の勢いが強いため、放っておくと鉢の中で根がギッチリ詰まってしまい根詰まりしてしまう可能性があります。
増殖のためではなく、毎年ミントを栽培し続けるためにもこの株分け方法は覚えておきましょう。
タイミングは3月と10月の2回がもっとも適しています。一度鉢をひっくり返して根鉢を取り出し、手でバリバリと分割します。手で切れない時はノコギリでケーキのようにカットしてもよいでしょう。根が数センチだけでもついていれば十分成功します。
その分割した根鉢を、新しい土を入れた同じ鉢に植えなおすことでミントはリフレッシュされ、次の年もまた元気に成長します。
以上がミント栽培になります。気軽に試してみてくださいね。