【岡山県8】二人三脚で夢を追う!「晴れの国おかやま」でモモ農家になった夫婦の物語|マイナビ農業

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【岡山県8】二人三脚で夢を追う!「晴れの国おかやま」でモモ農家になった夫婦の物語

【岡山県8】二人三脚で夢を追う!「晴れの国おかやま」でモモ農家になった夫婦の物語

総社市(そうじゃし)は、「くだもの王国」と呼ばれる岡山県の代表的なモモの産地で、約100戸の農家が栽培に取り組んでいます。その中でも総社もも生産組合は、『岡山自然流』と呼ばれる独自の栽培手法を導入し、高糖度で高品質なモモを生産しています。同組合に所属し、2020年春に新規就農を果たした長谷川夫妻に、Iターン就農のきっかけやモモづくりへの取り組みについて伺いました。

新規就農を考えてIターンで岡山に

大阪で家具メーカーに勤めていた長谷川 伸さん(38歳)が、農業を志したのは東日本大震災がきっかけで、日本全体が混乱に陥る中で「過度に効率や便利さに依存した生活の危うさを痛感した」と話します。

モノづくりが好きで選んだ仕事に不満は無かったものの、「都会の便利な生活よりも、多少不便でも人と人が助け合えるコミュニティがあり、穏やかに安心して暮らせる地方へ移住したい」と考えるようになりました。そんな時に移住先として脳裏に浮かんだのが岡山県です。

岡山県

「岡山で農業をしている友人がいて、観光がてら何度か農園の手伝いに行ったことがあり、自然の中で働けることをうらやましく思っていました。震災以降に移住と就農を真剣に考えるようになり、5年ほど前に友人を頼って単身で総社市に移住しました」と、当時を振り返る伸さん。

就農希望者は県が主催する「就農セミナーや相談会」、「現地見学会」などに参加し、その後、農家生活を体験する「農業体験研修(1カ月)」を経て、実践的な「農業実務研修(2カ年以内)」を受けて就農するのが岡山県の一般的なステップなのですが、伸さんは移住してすぐにはこのステップに進まず、まずは「岡山暮らし」をじっくりと体感することからスタートします。

「30歳を超えての転職で、しかも就農となると、必然的に一生ものの仕事になりますからね。出身は三重で、友人がいるとはいえ、岡山は縁もゆかりもない所なので、まずは地域に溶け込むことを優先したかったんです。もちろん就農予定で移住してきたので、何かしら農業に関わる仕事を体験しておこうと、農家の友人から紹介を受けてモモの袋かけ作業や選果場での出荷作業、その他にも重量野菜の収穫作業などにも挑戦しました」と穏やかに話します。

移住後にパートナーとの運命の出会いが

そこで出会ったのが、パートナーである千恵子さんです。伸さんの移住生活も2年目の夏を迎え、モモの選果場で管理業務に携わるようになっていたころ、給食センターの仕事が夏季休業で選果場のアルバイトに来ていた千恵子さんと知り合い、交際がスタート。

岡山県

「家が兼業農家だったということもあり、農業に関心はありましたが、実家は岡山県南西部の山の中で生活するには便が悪く、かといって新天地で就農を目指すほどの勇気はなく、半ばあきらめていました。そんな時に彼と出会い、縁もゆかりもない所に移住してまで農業に挑戦しようとするバイタリティに心を動かされ、私にできることがあるなら精一杯応援したいと思ったんです」と、千恵子さんは笑顔で話します。

そんな二人に転機が訪れたのは、「無事に就農できたら入籍を…」と考えはじめた矢先のこと。

総社もも生産組合に、伸さんが就農に向けた「農業実務研修」の相談を行ったところ、組合長が「いずれ一緒にやるつもりなら、研修も二人で受けたら」と提案してくれたのです。その話を、千恵子さんも「挑戦したい」と前向きに受けとめ、入籍を待たずに二人で「農業実務研修」に参加することになりました。

生産技術に惹かれて総社もも生産組合に

モモは3月下旬から花が咲きはじめ、畑が桃色に染まると授粉のシーズンです。5月上旬になれば、徐々に実が膨らみ、形が優れない実や、病害虫の被害を受けた実を間引く摘果を行います。その後、実が直径4~5cmほどに生長すると、一つひとつの実に袋をかけて直射日光と病害虫を防ぎます。収穫期は6月から9月で、収穫期の異なる品種ごとにリレーしながら最盛期をむかえます。

モモ農家は「摘蕾」、「授粉」、「摘果」、「袋かけ」など、地道な手作業が続くのですが、高品質なモモづくりにはその一つひとつが欠かせない重要な作業。袋かけや出荷の作業は伸さんにも経験がありましたが、秋から春にかけての仕事は全く経験がなく、2年間の研修中は発見と驚きの連続だったといいます。

研修・就農先に総社もも生産組合を選んだのは、「高度で丁寧な生産技術に惹かれたから」と、伸さん。

肥料を抑え、木の力を最大限に引き出す『岡山自然流』と呼ばれる独自の栽培手法を行う総社もも生産組合では、木の基部まで十分に太陽が当たるよう木の間隔を広くとり、短果枝中心の木となるよう剪定は最小限に留めます。また、冬に蕾の9割を落とすという摘蕾も県内屈指の厳格さ。さらに、モモ本来の風味や甘みを引き出すために、木成りで完熟させ、極限まで糖度を高めてから収穫・出荷しているのも特長です。

岡山県

「跡継ぎ農家を含めて若手が多く、平均年齢は30代。移住者の私にとっても溶け込みやすい雰囲気があるのも魅力的でしたね」と話すように、伸さんと千恵子さんの研修受け入れ農家の吉富達也さんは、伸さんの同年代。どんなことでも気兼ねなく相談ができ、2年間の研修を通じてとても良い関係が築けたと話します。

組合メンバーのサポートもあり、勉強の毎日

そんな充実した研修を修了し、2020年春に就農。農家デビューと時を同じくして入籍し、名実ともに“夫婦二人三脚”でのモモづくりをスタートさせました。

手ごたえを伺うと「研修で栽培のイロハは学べましたが、研修先の成木とは、木の状態も違えば、土や気温、日照時間もその年ごとに異なります。研修中はどの枝、どの蕾、どの実を剪定、摘蕾、摘果すれば良いのかということや、収穫のタイミングは師匠が一つひとつ判断してディレクションしてくれたので、安心して作業ができたのですが、独立した今はそうはいきません。個々の木の状態を自分の目で見極めるのは想像以上に大変で、日々迷走しています。判断に時間がかかれば、作業に遅れが出るので、全体のスケジュール感も研修中のようにはいかず、事前にこうしておけば良かった…と反省することばかりでしたね」と、伸さんは苦笑い。

岡山県

次の収穫を控える長谷川夫妻の園地

けれど千恵子さんは「そんな状況だからこそ、組合の存在が大きな支え」とも話します―「迷ったり困ったりしたときも、師匠である吉富さんはもちろん、組合のメンバーが必ず手を差し伸べてくれるんです。『頼ってばかりじゃいけない』と思う気持ちもありますが、いつも組合の方たちが気にかけてくれるので、結果的には助けられることばかり。だからこそ、『高品質なモモづくりを!』というモチベーションも高まるし、将来的に組合のブランド力をけん引するような農家になるためにも、今は学べることをしっかり学んで、成長しようと思っています」

岡山県

味に魅せられ、栽培が難しい品種『陽だまりの詩』にも挑戦

そのためにも、「日ごろから組合のメンバーと密にコミュニケーションを取るように心がけている」という二人。

「農業は個々の農家が淡々と作業するイメージで、面倒な人間関係から解放されると考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは全く違います。農業こそ、仲間との連携や助け合いが重要です。特に新規就農者の場合は、周囲のサポートなしには経営を軌道に乗せることはできません。私のような新参者も快く受け入れ、手を差し伸べてくれる組合は、本当にありがたい存在なんです」-そう話しながら嬉しそうな笑顔を見せる長谷川夫妻は、駆け出しの苦労さえも楽しみつつ、就農の喜びをかみしめているようです。

<取材協力>
総社もも生産組合

〒719-1156 岡山県総社市門田85
TEL:0866-93-7841
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<イベント情報>

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会場:岡山県立青少年農林文化センター 三徳園(〒709-0614 岡山県岡山市東区竹原505)

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岡山県農林水産部 農産課 担い手育成班
〒700-8570 岡山県岡山市北区内山下2-4-6
TEL:086-226-7420

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