とってはいけない!? 春まで残しておきたい冬の雑草たち【畑は小さな大自然vol.95】

マイナビ農業TOP > 生産技術 > とってはいけない!? 春まで残しておきたい冬の雑草たち【畑は小さな大自然vol.95】

とってはいけない!? 春まで残しておきたい冬の雑草たち【畑は小さな大自然vol.95】

連載企画:畑は小さな大自然

とってはいけない!? 春まで残しておきたい冬の雑草たち【畑は小さな大自然vol.95】
最終更新日:2021年02月03日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。雑草といえば全てきれいに取り除くものというイメージがありますが、僕は家庭菜園で野菜づくりをするのであれば、むしろある種類の雑草たちは残しておいた方がメリットが大きい場合もあると考えています。特にこの冬の時期に生える雑草たちは野菜の生育を邪魔しにくく、春になると強力な夏の雑草の発生を遅らせてくれるのです。そこで今回は冬の雑草を残すメリットや残す雑草の種類、残す場合の注意点についてご紹介したいと思います。

雑草と野菜が共生する条件

雑草と野菜が共生する条件

雑草を残しておくと土から栄養を奪ってしまい、野菜の生育の邪魔になるというイメージが強いかと思います。しかし条件によっては十分共生できるだけでなく、野菜にとってもメリットになる場合があります。雑草と野菜の共生の条件は主に次の3つがあると考えています。

  1. 野菜が十分に根を広げられるだけ、雑草との距離があること
  2. 有機物主体の土づくりであること
  3. 野菜と相性が良い種類の雑草であること

順に説明していきます。

野菜が十分に根を広げられるだけ、雑草との距離があること

雑草と野菜との間に十分な距離があることが大切です。他の植物が根を張っているスペースには、野菜は根を張ることができません。そのため野菜が根を広げる範囲には雑草が生えないようにしておく必要があります。
野菜の葉が広がっている範囲には根も広がっていると考え、その範囲は雑草がない状態にします。野菜の成長期の場合は、根をどんどん広げていくので、葉が広がっている範囲よりさらに10〜15センチ先まで雑草を刈るようにしています。

有機物主体の土づくりであること

化学肥料のような植物が吸収しやすい形の肥料を主体とした野菜の育て方ですと、求肥力の強い雑草が一気に吸い上げてしまいやすくなります。また土づくりが進んでいない状態だと生命力の高い雑草に野菜が負けやすいです。土の有機質を増やす土づくりを基本とした畑づくりの仕方であることも大切な条件だと考えています。

野菜と相性が良い種類の雑草であること

雑草とひとくくりに言っても、実はさまざまな種類があり、種類ごとに野菜と相性が良いものもあれば悪いものもあります。冬の雑草の中には野菜と相性が良いものが多くあります。

冬型一年草は野菜と相性が良い

白菜&ホトケノザ

冬型一年草のホトケノザと共に育つ白菜

多年草は野菜の栽培と相性が悪い

畑に生える雑草は大きく分けるとまずハコベやホトケノザのような一年草と、ヨモギやスギナなどのような多年草に分かれます。
一年草は一年の間に芽が出て花が咲き、種を落とし枯れていくというサイクルを持つ雑草です。多年草は冬の間地上部は枯れますが、地下部に栄養を蓄える場所があり、また次の春には芽を出して再生し、数年間生き続ける雑草です。
一年草は地上部を刈ればそのまま枯れていきますが、多年草は地下部が残っているとまたすぐに再生し、地下部からは他の植物の生育を阻害する物質を出す種類も多いため、野菜との相性が悪く、優先して取り除きたいものになります。

冬型一年草が野菜の生育を邪魔しない理由

さらに一年草は、大きく分けると春から秋にかけて繁殖する夏型一年草と、秋から春にかけて繁殖する冬型一年草に分かれます。例えば畑に多い雑草のうちエノコログサやメヒシバ、ツユクサなどは夏型一年草、ハコベ、ホトケノザ、オオイヌノフグリなどは冬型一年草に当たります。
冬型一年草は夏型のものに比べ、背が高くなりにくく、根の張りも強くないものが多いのが特徴で、野菜の生育に邪魔になりにくいのです。また冬型一年草は春の時期に小さな花をたくさん咲かせますので、ミツバチやハナアブなどの植物の受粉を助けるような虫たちを呼び寄せてくれます。

ハコベ

冬型一年草の中でも野菜との相性が良いハコベ

ホトケノザ

冬型一年草のホトケノザ

冬型一年草を残すメリットとは?

ハコベとナス、ツルミドリ

畝の周囲に広がっているハコベ。夏の暑い時期まで残って夏型一年草の発生を抑制してくれる

冬型一年草は野菜と相性が良いという点以外にも、残しておくことで得られるメリットが主に2つありますのでご紹介します。

冬の間、土の凍結・乾燥を防ぐ

まず1つ目のメリットは土の凍結や乾燥を防いでくれるという点です。冬型一年草は冷たい空気にさらされるのを避けて地を低くはうように地表を覆う植物が多いため、これらを最大限残しておけば、土が凍ったり乾燥したりすることがないのです。
土が凍結・乾燥してしまうと土の有機物が分解され、土壌が風化し、微生物の活動も極端に低下してしまうため、特に有機農法、自然農法など土の中の有機物や微生物を最大限に生かす農法を行う場合は、土の凍結・乾燥対策が重要になると考えています。凍結・乾燥により土壌の力が衰えると春夏野菜を生育させるために大量の堆肥(たいひ)の投入が必要になります。春以降の畑仕事の効率を考えても、冬型一年草は残しておきましょう。

夏型一年草の発生を抑制できる

2つ目のメリットは夏型一年草の発生を抑制できるという点です。冬型一年草が生えている場所では、他の植物が生えることはできません。冬型一年草は春の時点で花を咲かせ、あとは枯れていくだけなので、春の時期から成長していく野菜たちと競合することがないのです。ところがこの冬型一年草をきれいに取り除いてしまうと、夏型の一年草が一気に生え出し、春夏野菜との競争になってしまいます。

冬型一年草の残し方

畝の端の雑草は残す

白菜を植えている畝。赤い線で囲っている畝の端の部分は雑草を残している

冬型一年草をどのように残すかですが、僕の場合、具体的には野菜の生育の邪魔にならない畝の端の部分のみ残しておくようにしています。80センチほどの畝幅であれば、端の方の雑草は残しておいても野菜の生育の邪魔になるようなことはほとんどありません。もし雑草の背が高くなりすぎて日陰になったり風通しが悪くなったりする場合は、雑草の上の部分だけ刈り込みます。堆肥を入れたい場合などは畝の端の冬型一年草が生えている部分はそのままに、中の野菜を植えるスペースだけクワで耕して堆肥を混ぜ込みます。ですので畝はそのまま立て直さずに使い続けるような形になります。このやり方ですと畑全体を耕して堆肥をまく必要がないので、耕運機なども必要ありませんし、堆肥の量も節約できます。

雑草を生かすという選択肢を

今までは「雑草は抜く」という選択肢しかない人が多かったと思います。確かに最初は雑草の見分けがつかなかったり、勝手が分からない部分もたくさんあるかと思いますが、どうせ雑草を根絶するのはほぼ不可能ですし、野菜づくりをしていくのであれば長い付き合いとなります。そうであればこの機会に「雑草を生かす」という選択肢も新たに追加してみてはいかがでしょうか。

雑草特集の他の記事をチェック!
2月特集:雑草~雑草とのたたかい方・つきあい方
2月特集:雑草~雑草とのたたかい方・つきあい方
上手な雑草防除の方法とともに、雑草を活用した栽培方法や土づくり、雑草の6次化などについてもお伝えします。
関連記事
生える雑草を意図的に変える! 雑草の法則を知ろう【畑は小さな大自然vol.92】
生える雑草を意図的に変える! 雑草の法則を知ろう【畑は小さな大自然vol.92】
こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。雑草というと場所を選ばず生えてくるようなイメージがあるかもしれませんが、実は雑草の生え方にも法則性があり、環境の変化によって生える雑草の種類も変わっていきます。特に畑は人の手が入り…

関連記事

タイアップ企画

カテゴリー一覧