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栽培方法によって選ぶべき田植機は違う! 田植機の正しい選び方とメンテナンス

栽培方法によって選ぶべき田植機は違う! 田植機の正しい選び方とメンテナンス

昔は人の手で地道に行っていた田植えですが、田植機を使って作業効率を上げることが可能になってからはずいぶんと楽になりました。そして現在は田植機自体の種類も増えて、植え方や育て方なども選べるようになり、稲作の可能性がぐんと広がっています。今回は田植機の購入を考えている新規就農者をはじめとする農家向けに、わかりやすく田植機についてお伝えしていきます。

田植機とは?

田植機は苗を水田に植え付けるための農機具です。前進しながら進み、後部についた植え付けアームが動いて苗を植え付けていきます。
昔は、苗を一本一本水田に植えていた田植えも、田植機の誕生により時間と労力を大幅にカットできるようになりました。また、各メーカーが独自の田植機を開発することで、植え方や苗の育て方などの種類も増え、それぞれに合ったものを選べるようにもなりました。
田んぼの広さや、コスト面、苗の育成なども踏まえて、どんな植え方が自分に合っているのかを見極め、田植機を購入しましょう。

歩行型と乗用型

田植機は大きく分けると、歩行型と乗用型に分けることができます。
歩行型は手押し車のようなスタイルで、手で押しながら田植えをしていきます。稲の列は「条」という単位を使います(1列を1条と数えます)が、歩行型は一度に2〜3条植えが可能です。所有する田んぼの面積が小さく、大きな田植機ほどは必要ないけど……という人には歩行型がオススメです。

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歩行型は、乗用型の田植機を持ち込めないような、小さく狭い田んぼに最適

乗用型は人が乗って使うタイプの田植機です。一度に4〜6条ほど植え付けることができます。広大な田んぼには欠かせない必需品と言えるでしょう。最も大きなもので10条までの植え付けが可能です。

田植機を使って田植えをする様子

田植機を使って田植えをする様子

苗の植え方や栽培方法から田植機を選ぼう

乗用型の田植機には、実はいくつかの種類があります。「田植機って田んぼに苗を植える農機でしょ?」と思っていたらきっとびっくりするかもしれません。田植機自体に、稲作にかかるコストが抑えられるような設計が施されていたり、苗を育てる段階から特殊なやり方を採用していたりと、田植機ひとつとってもそれぞれ特徴が異なります。
ここで注意しなければならないのは、苗の栽培方法や植え方によって、使える田植機が変わってくるということ。苗と田植機があれば、ここで紹介するどんな植え方でもできるわけではないのです。田植機を購入する際には、必ず対応する植え方を確認して、やってみたい植え方ができる田植機を購入しましょう。

疎植(そしょく)

疎植栽培とは、苗と苗の間隔を広げて植えることで、苗の数を減らし、コストを削減するやり方です。
明確な決まりはありませんが、慣行では15〜18センチくらいだった苗と苗の距離を、24〜28センチ程度に広げます。倍近く広げることで風通しがぐんとよくなり、一つ一つの苗に太陽をたっぷり浴びせることができるため1株の穂数が増えます。そのため通常の植え方と変わらない量の収穫が見込めるのです。しかも使用する苗は40〜50%も削減できます。
苗を栽培している人は、ハウスの面積が半分で済み、播種(はしゅ)作業や管理作業の手間を大きく省けます。苗を購入する場合も、代金が半減するためかなりのコストダウンが見込めます。
また田植えの際の苗の補充回数が半分に減り、作業効率もアップ。米の品質は慣行と変わりません。

このようなメリットから、疎植栽培は現在の稲作においては多くの農家が採用している方法です。
近年の田植機は、疎植栽培の設定ができるものが多く、1坪に何株の苗を植えられるかの設定が自分でできるようになっています。多くのメーカーが疎植栽培対応の田植機を販売しており、疎植栽培が現在の稲作の中でもメジャーな栽培方法になっていることがうかがえます。

しかしながら疎植栽培が広まったのは10年ほど前からなので、古い田植機にはこの機能が搭載されていません。疎植栽培を検討している人で、中古の田植機を購入する際はあらかじめチェックするようにしましょう。

密苗(みつなえ)

通常、苗は育苗箱に種をまいて育てられます。このときにぎっしりと苗が密集するように種をまき、育てるのが密苗という新しい栽培方法です。種の量は通常の2〜2.5倍と言われており、そうすることで育苗箱の数を慣行の約半分まで減らすことができます。苗を育てるためには、ハウスを作ったり、またそれを維持し続けたりしなければいけません。育苗にも大きな費用がかかるため、育苗箱の減少はコスト削減につながります。

密苗の特徴は、慣行のやり方とほぼ同じでいいという点。特別な技術や新しい知識は不要です。同じ作業内容で、育苗箱の数を約半分に減らせるため、播種や苗運搬の時間も3分の1程度までになると言われており、体への負担軽減もかなり期待できます。

密苗栽培された苗を田んぼに植えるためには、密苗用の田植機を使います。他の田植機では密集して植えられた苗を一本一本取ることができないため、密苗用に開発された田植機が必須なのです。ただし、密苗は疎植よりも新しい栽培方法のため、2021年2月現在対応するメーカーはヤンマーとイセキのみとなっています。

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紙マルチ

紙マルチを用いた田植えの様子

紙マルチを用いた田植えの様子(画像提供:三菱マヒンドラ農機株式会社)

三菱マヒンドラ農機が開発した紙マルチ田植機も画期的です。紙マルチ田植機では、田植えと同時に専用の再生紙マルチを田んぼの表面に敷き詰めていきます。これにより、苗以外には日光が当たらなくなるため雑草が生えるのを抑制することができます。約40〜50日でシートは自然と分解され溶けていくのですが、その頃には稲が成長して田んぼの表面に日光が当たらなくなり雑草が抑制できるという仕組み。田植えから約1カ月程度は除草剤を使わなくて済み、必然的に除草剤の散布を減らすことができるので、環境にも優しい田植機と言えます。

無農薬や減農薬でのコメの栽培は除草に大変な手間がかかるため、規模拡大が難しいのが実情。そのため、無農薬・減農薬の栽培をあきらめる人も多かったと思います。
しかし紙マルチ田植機を使えば、労力を減らしながら有機栽培でのコメ作りができます。有機栽培で育てられたということで、米の付加価値を上げることもできるでしょう。

直播(ちょくはん)

鉄コーティング直播機

鉄コーティング直播(じかまき)機(画像提供:株式会社クボタ)

苗を育てるために育苗箱に種をまき、またそれをハウスで育てるなどの手間をかける必要があるなら、どうして田んぼに直接種をまかないのだろう?と考える人もいるかもしれません。実は、種を田んぼに直接まくことはかなりのリスクを伴います。鳥が食べてしまったり、きちんと育たなかったりといった問題が多々あるからです。

しかしその問題を払拭(ふっしょく)し直播を実現したのが、クボタが開発した田植機本体に装着して使用する鉄コーティング直播機です。種を特殊な鉄でコーティングすることで、鳥害などから守ります。また直接田んぼにまくことで、育苗設備が不要になり、資材の削減ができます。さらに育苗や移植に関わる作業が省略されることで、播種作業を一人で行うことも可能に。必須作業も減るため規模拡大ができ、さらには高齢者にも優しい方法であると言われています。

自分でできるメンテナンス

田植え機

清掃し、適切な環境で保管しましょう。定期的なプロによるメンテナンスもおすすめです

田植機は使う期間がとても短い農機具です。1年のうち1日だけ、さらには数時間だけの出番ということもあるでしょう。使用時間が短いので、適切なメンテナンスをすれば長く使うことができます。保管期間の方が長いからこそ、正しいメンテナンスをしておきましょう。

しっかり水洗い

泥の中で使うため、タイヤや爪、車体は泥で汚れます。使った後はしっかり泥を落としましょう。ブラシなどを使って落とし忘れがないようにしっかり洗ってください。電装部分には水をかけないように注意しましょう。故障の原因になることがあります。

保管は風通しのよいところで

長期間保管するため、野ざらしは禁物です。また屋外にブルーシートをかけて保管するのも湿気がこもるので農機具に悪影響を与えてしまいます。
風通しがよく、ネズミなどの被害の心配がない屋内や、屋根のある屋外に置きましょう。

使用する前に余裕を持って点検を

いざ田植えをしようと田植機を動かしてみようとすると、不具合があって動かない、ということがよくあります。「明日使いたいのにどうしよう!」とならないよう、使う1〜2週間前には実際に動かしてみるなどして、動作確認をしましょう。
広大な田んぼを所有していて、使用時間も長いという場合は、5年に一度くらいはプロに点検してもらうことをオススメします。

注油作業

動作確認の前には注油口キャップを外し、注油することを忘れずに行ってください

まとめ

農作業は体力仕事であり、また費用もかかってしまいます。そのため、農機具を導入することで、農作業における労力がどれだけ削減されるか、どのくらい作業効率を上げられるか、収入アップを見込めるか、というのは大きな課題であり、永遠のテーマかもしれません。
田植えももちろんそのひとつであり、各メーカーがいろんな田植機を発売しています。今では田植えの種類も増え、栽培方法や植え方ひとつで、作業効率アップが図れたり、さらにはコストダウン、人件費削減、体力温存なども可能になりました。
これから稲作を始めようと思う皆さんは、まずは植え方や苗の栽培方法から勉強してみましょう!

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