ローズマリーとは?
ローズマリー(和名:マンネンソウ)は、地中海沿岸地方を原産地とするシソ科の常緑性低木です。ローズマリーという名前は、ラテン語の「海のしずく」を意味する「ros(露)marinus(海の)」に由来。温暖な気候を好み、乾燥した地域でも強く繁茂することで知られています。また、11月から5月にかけて紫色や淡いブルーの小さな花を咲かせる特徴もあります。
ローズマリーの特性
ローズマリーは常緑で、冬の間も葉が茂っています。そういった植物には共通の特徴なのですが、極端な寒さ(長期間氷点下が持続する環境)には弱いです。とはいえ東北地方の露地でも栽培されることもあるので、関東以西では気にしすぎる必要はありません。できるだけ家の南面の日当たりが良い軒下などで栽培し、北風が直撃するような場所、霜が降りる場所は避けた方がよいでしょう。

ローズマリーの種類
茎が立ち上がる立性タイプと地をはうように伸びるほふく性タイプに分かれており、立性であれば、地植えだと1メートルを超える高さになります(鉢植えだと小さいまま)。ほふく性のものは、立ち上がらない性質を利用して、ハンギングバスケットや、花壇から垂らすなどの仕立て方を楽しむ人が多いようです。
「若返りのハーブ」と呼ばれる理由と効果・効能
ローズマリーには抗酸化作用のあるカフェ酸やロズマリン酸があることで知られ、これらの成分が体内での酸化ダメージを軽減し、細胞の老化を抑えると言われています。このため、肌のエイジングケアや美容の分野で注目されています。「若返りのハーブ」として古くから親しまれてきた背景には、こうした健康・美容効果が関係していると考えられます。
ローズマリーの栽培の基本
ローズマリーの栽培歴

10〜5月の間は開花時期となり、あまり管理作業は必要ありません。ほふく性のローズマリーは夏の時期も開花することがありますが、同じタイミングで管理しましょう。
最適な環境と土壌条件
ローズマリーを育てる上では、日当たりの良い場所が最適です。太陽光は葉の成長を促進するだけでなく、ローズマリー特有の豊かな香りを引き出してくれます。
土壌は水はけが良いことが重要。重たい粘土質の土は避け、砂混じりの軽めの土が適しています。また、弱アルカリ性から中性のpHを好むため、市販のハーブ用培養土を使用するのも良いでしょう。必要に応じて、腐葉土やパーライトを混ぜて、根が伸びやすい環境を整えることがポイントです。
ローズマリーの種まき
数株だけの栽培であれば、すでに苗として販売しているものを購入して植え付けることをおすすめします。しかし、大量に栽培したい場合は種まきからおこなうことになるでしょう。
最も適した時期は5月。春の大型連休を利用して種まきをおこないましょう。
ポットに3粒ずつ播種(はしゅ)し、1センチほど覆土して、毎日水やりをすれば、1〜2週間(おおよそ10日くらい)で発芽してきます。
しばらくは水やり管理をして、背丈が2〜3センチ頃になったら1カ所1本に間引きして独り立ちさせましょう。
ローズマリーの挿し木
ローズマリーの増殖では、種まきをする方法よりも、この挿し木による繁殖の方が選択されることが多いです。
すでにローズマリーを育てている人、鉢が根詰まりしてきたので新しく植え直したいという人も、この方法で容易に増殖が可能です。

ローズマリーのできるだけ新しい枝を10センチほど切り取り、葉を半分以上落としてから水に挿します。葉を全部つけたままだと、葉の表面から水分が蒸散して枯れやすくなるため、減らしておくことが肝心です。かといって少なすぎても良くないので、半分は残しておきましょう。
1時間ほど水に挿したら、あとはポットの土に挿し替えて、毎日水やりをします。乾かさなければ必ず発根するので、乾燥させないようにしましょう。
川砂や赤土のような肥料成分の全くない用土の方が、肥料を求めて根が張りやすいのですが、市販の培養土で問題なく発根します。発根までには2〜3週間ほどを要します。
ローズマリーの摘心・収穫
ローズマリーは、枝を茂らせることでたくさんの葉や花を鑑賞したり収穫したりできるようになります。
そのためには枝がたくさん分岐して広がった方がよいのですが、枝を分岐させるためにやっておくとよいのが摘心という作業です。

言葉だけ聞くと難しそうですが、7月に先端をチョキンと切り詰めるだけです。こうすることで枝が分岐して発生しやすくなります。
植え付け1〜2年目の、枝を増やしたい栽培初期段階では何度か実施するとよいでしょう。株が大きくなってからは、逆に枝が増えすぎて困ることも多いので必要はありません。
意識していなくても、収穫のたびに先端10センチを切り取っていれば、それはそのまま摘心作業になっていきます。
収穫後は、生のまま冷蔵保存するのがおすすめです。湿らせたペーパータオルで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保存すると、新鮮さが長もちします。
ローズマリーの剪定(せんてい)
ローズマリーは年に2回、刈り込むタイミングがあります。春の5月と、秋の9月頃。その他の時期でも、収穫という意味で少しずつ切り取っていくのですが、大きく刈り込むのはこの時期にしましょう。

特に気候が安定している5月は一気に刈り込むチャンスです。花が終わってすぐに、花が咲いていた位置の少し下で全部の枝を切ってしまいましょう。その時に緑色の葉っぱを残しておくことが大切です。木質化した(何年も経って茶色くなった)枝には葉も花もつきません。毎年刈り込んで、若い葉を出してあげましょう。
刈り込まずに先端だけ切って形を整えるだけだと、茂りすぎたり樹勢が弱くなっていったりします。
他にも、伸びすぎた枝を切り詰めたり、混みすぎている部分の枝を間引いて透かせてあげたりし、弱々しくなった枝も切ってしまいます。
木質化した部分も、高さを抑えたいのであれば真ん中に立っているものを、横幅を抑えたいのであれば横に広がった枝を切りますが、必ず二股に分かれている根元から切り落としてください。

株元の木質化した部分の切り方
また、木質部は、切り落としすぎるとダメージが大きいので1回で1〜2カ所まで。それ以上切るのは次回の剪定に回してください。切らなくてよければ切らない方がよいです。
ローズマリーの冬越し
ローズマリーは寒さに弱い植物です。冒頭で、「関東以西の露地植えで気にしすぎる必要はない」と書きはしましたが、やはり-5℃を長時間下回ると枯れる可能性があります。
地面に植えていれば、土の下は意外と暖かいので枯れにくい傾向にありますが、ハンギングバスケットなどで匍匐性(ほふくせい)のローズマリーを植えている場合は大変枯れやすいのです。
なぜかと言うと、まず傾向として立ち木性のローズマリーよりも匍匐性のローズマリーの方が寒さに弱いことが多く、品種特性として極寒に耐えられないということが一つ、そして何よりも、地面から離して鉢に植えてある状態は、土中の温度が外気温と同じくらいまで下がってしまうのが第二の理由です。
地上部が寒さで枯れたとしても、根っこや地際が生きていれば翌年復活の可能性がありますが、根まで枯れてしまうともう救いようがありません。
室内に持ち込めるのであれば持ち込み、厳寒期を外で過ごさないようにします。それができないのであれば、断熱素材で鉢を巻いてあげるなどして鉢が冷えないようにしましょう。
「こも」と呼ばれるワラを編んだもので木を包んでいるのを見たことある方もいるかもしれません。あれも極寒期に植物を守るためのものです。現代ではワラをふんだんに入手できる人は減ってしまったかもしれませんが、何かしらの断熱素材で寒さから根を守る必要があります。直接寒風が吹き付けないだけでもかなりの防寒対策になります。
ローズマリーの肥料
ローズマリーはあまり肥料を要求しません。地植えであれば毎年1回、根元に牛ふん堆肥(たいひ)を敷いてあげる程度でもすくすく育ちます。鉢植えの場合は、3月と10月に小さじ1杯程度の化成肥料を与えるか、葉色が薄くなってきたな、と思ったら水やりの時に液肥を混ぜて散布するくらいでも大丈夫です。
ローズマリーの鉢上げ
ローズマリーに限らず、鉢植え栽培では、徐々に根が鉢の中で詰まってしまって弱ることがあります。その時は根鉢を取り出し、表面の土をほぐして、新しい土を入れてひとまわり大きな鉢に植え替えましょう。
ローズマリーによく見られる病害虫
ローズマリーの害虫でよくあるのはカイガラムシという、木にこびりついている白い虫です。最初は一見すると虫だと気付かないかもしれませんが、白い物体がこびりついていたらガリガリ削って落としましょう。一度削り落とされると死滅します。
また、カミキリムシが入ると枯れてしまう可能性もあります。根元の木質部に幼虫が入り込み、木の中をむしゃむしゃ食べてしまいます。枝が一部枯れ込んでいたら、枯れた部分の根元まで切って、中にいる幼虫を捕殺、もしくは穴に殺虫剤を流し込みましょう。
まとめ
以上がローズマリーの栽培です。
ローズマリーを育てる上では、特に「根腐れ」に注意。特に水の与え過ぎや、水はけの悪い土壌が原因となるため、土が乾いてから水を与えることを意識しましょう。過湿を防ぐため、鉢底石を使ったり、風通しを確保することも重要です。
前述のように、カイガラムシをはじめとした害虫対策もぬかりなく!定期的に葉の様子を確認し、害虫を見つけた際には、薬剤やしゅう酸石けん水で対処してください。また、葉にホコリがたまらないよう、定期的に水で軽く洗い流すのも効果的です。
適切な環境の維持と予防的なケアに努めれば、ローズマリーは初心者でも簡単に楽しめる魅力的なハーブとして、日々の生活を豊かにしてくれるでしょう。



















