オリーブの木の栽培において気になること第1位は、なんと言っても根の弱さでしょう。
地中海地方が原産であるため、雨の多い日本においては加湿が問題になりやすいのです。
だからといって乾燥しているのが良いかというとそうでもなく、大変浅根の性質があり、あまり深く根を張らないため、地表面の乾燥に強く影響を受けやすいのです。育ってきたオリーブが台風で倒れてしまうなども、よくある失敗例の一つです。
また、他の多くの果樹でもそうですが、果実を収穫したい場合は違う品種のオリーブをもう一本植えていないと受粉して結実できません。近所ですでにオリーブの木が植えてあるといった場合でなければ、2本以上の作付け、もしくは一本の木に2品種を接ぎ木することを検討しましょう。
オリーブの植え付け
オリーブの木の根は浅いと言いましたが、植え付けの際にはしっかり土作りをしておきましょう。植え付け1カ月前にできるだけ広く掘り起こしておき、掘り上げた土に堆肥(たいひ)20キロと苦土石灰1キロを混ぜておきます。
植え付け時期は2月下旬〜4月上旬が最も適しています。秋植えが推奨されることもあるのですが、あまり雨が降らず乾燥しやすいため、春植えの方が成功しやすいでしょう。
掘っておいた植え穴の真ん中を高くしてしっかりとした支柱を挿し(オリーブは倒れやすいので必ず!)、埋め戻します。
できるだけ浅く植え付け、深くしすぎないようにしましょう。
オリーブの水やり
オリーブの栽培においては、水やりを意識しておきましょう。
鉢植えの場合はもちろんですが、露地であっても1週間以上雨が降らないようであれば水やりをするようにしましょう。ある程度大きく育つまでは、夏場に乾燥が続くと、オリーブが全然育たないという相談が相次ぎます。
オリーブの肥料
オリーブの施肥時期は、3月、6月、10月の3回です。
1年目は植え付け時に春肥は入れているので、6月下旬〜7月上旬に一度追肥を与えます。
そして10月下旬〜11月中旬頃にお礼肥(おれいごえ、おれいひ)として追肥します。
3年目以降から果実が結実し始めます。結実し始めてからも同様に年3回の肥料でよいのですが、全く結実しなかった年に関しては、最後の10月の肥料は見送りましょう。あくまでお礼肥とは、実をならすことで消耗した体力を回復させる役割です。疲れていないのに与えてしまうと過剰になりかねません。
オリーブの木の剪定(せんてい)
オリーブの剪定は3月。他の常緑樹(ミカンなど)に比べるとたくさん枝を切ってしまってもあまり問題になりませんが、それでも落葉樹(ウメやリンゴなど)ほどズバズバ切ってもよいというわけではありません。
基本的には間を透かして風通しを良くすること。ちょっと寂しいかなと思うくらい切ってしまっても、すぐに新しい枝で茂ります。
高さを抑えたい場合と横幅を抑えたい場合で樹形は大きく変わります。
枝を伸ばしたい方向と反対方向、つまり木の内側に伸びている枝(内向枝・逆向枝)を切るだけでも木の形はまとまっていくでしょう。また、横に広げている枝の上部から立ち上がっている強い枝(徒長枝)も基本的には切除することで樹形が乱れません。
オリーブの病害虫防除
オリーブ栽培で問題になる病害虫は、なんと言ってもゾウムシでしょう。オリーブアナアキゾウムシというなんだかアナーキーな名前のゾウムシです。この虫の幼虫がオリーブの木の中を食べ尽くして枯らしてしまいます。
果実の収穫をする場合は、炭疽(たんそ)病という、黒くしわになる病気に注意が必要です。水はけの悪い畑や、過剰に施肥している畑に発生しやすいです。また、剪定で風通し良く管理しておくことも防除のためには重要です。
オリーブの収穫
オリーブの収穫時期は11月〜12月中旬頃。黒紫色に熟したものから収穫していきます。全ての果実が着色しなかったとしても年内には全てとり終えてしまいましょう。完熟に比べると風味は落ちてしまいますが……、全滅するよりは良いでしょう。市販されているものはほとんど完熟せずに収穫されています。
油用の場合は下にシートを敷いてバラバラと落としたものをまとめるだけでもよいですが、ピクルスなどの用途であれば一個一個手で収穫した方がよいでしょう。
以上がオリーブの栽培になります。お庭のシンボルツリーとして人気のオリーブ。見て楽しむだけでなく、果実を使ったピクルスや自家製オリーブオイルなども楽しんでみましょう。