担当者の多くは65歳以上。作業負担の軽減が課題に
手取川扇状地に広がる加賀の穀倉地帯で57haの圃場を管理する有限会社クリエートファーム松任。1989年の圃場整備事業以降、2つの集落営農の協業体制が1つにまとまり、2003年から特定農業法人として地域の圃場を一手に担って管理しています。
運営するのは、役員・社員5人と繁忙期限定のパートスタッフ4人。水管理を担当するスタッフの多くは65歳以上であり、高齢化と人手不足が今後へ向けた深刻な課題です。
「少子高齢化が進みこの辺りも人手不足。従業員は65歳の定年を迎えてから農業に従事した人が多く、70代後半の人もいます。作業負担を軽減できないか、少ない人員でも水管理ができないかと5年ほど前から考えてきました」(代表取締役/北野正介さん)
そんな時にJAを通じて知ったのが、北菱電興株式会社が開発した水田用自動給水機『Aquaport(アクアポート)』でした。
「このまま何もしないでいてもしょうがない。自動給水機は高価格のイメージでしたが、アクアポートは3万円台。これなら試験的に導入してもいいかなと思いました」(北野さん)
設置も操作も簡単。見回りが不要に!?
2020年、試験的に3台導入したアクアポートの効果について北野さんは話します。
「本当に楽になったねぇ。ここらへんは海側で水が十分じゃないから水の見回りは1日に何度かするのが当たり前。だけれども、アクアポートを設置した圃場は、極端なことを言えば見に行かなくても良いくらいです。センサーがついているので上限以上の水は入らず、必要なだけ水が入るように自動で水位を管理してくれます」
従来は、軽トラックから乗り降りして水の見回りと給止水の作業をしていましたが、アクアポートを設置した圃場は車から降りずに目視で圃場の水位を確認するだけで済むので、作業負担も減り、水の見回り時間も短くなりました。
「通信機能などを搭載した他製品もありますが、工事や基地局も必要で高価ですし、月々の通信料もかかってくるため、まとまった台数を導入するうえではあまり現実的ではないと感じていました。その点アクアポートは本体価格が安く、単一電池4本でワンシーズン持つため維持費も少なくて済みます」と北野さん。
取り付けも至って簡単です。塩ビ管があれば特別な工事は必要なく、誰でも簡単に数分程度で取り付けることができます。軽量かつコンパクトで持ち運びがしやすいことも、スタッフに好評だそう。
「昨年(2020年)、初めて使って故障もトラブルもなかったです。野晒しで使うものなので、雨風に耐えられれば十分です。複雑な機械だと壊れた時に修理するのも大変だから、やっぱりシンプルなのがいいね」(北野さん)
2021年度に向けてアクアポートを20台追加購入。クリエートファーム松任は省力化を加速させています。
「低価格で手軽な製品だからこそ、このようにまとまった数を導入する決断ができました。とはいえ自動給水機を入れた圃場はまだ数%ほどです。毎年、少しずつ増やしていけば、水管理の負担はもっと楽になるんじゃないかな」と北野さんは期待を込めます。
「今までのやり方だけではやっていけない時代」機器の導入で省力化を目指す。
クリエートファーム松任では、アクアポートのほかにも作業効率を上げる機器の導入に積極的です。2年前には農業用ドローンを購入し、農薬や肥料の散布に活用しています。
「これまでのやり方を見直して、できるだけ生産コストを下げて、採算性を考えた経営にしていかないといけない時代。収支のバランスを見極めながらですが、ドローンやアクアポートのような新しい機器を導入して省力化を図ることが、これからますます必要でしょうね」(北野さん)
同社では、「コシヒカリ」「ひゃくまん穀」「ゆめみづほ」「白山もち」の4品種に加えて、今年から新たに業務用米の「つきあかり」「ほしじるし」の2品種も栽培します。
北野社長は、「これからは問屋に欲しいと思われ、高く売れる品種を作り、世の中のニーズに応えた農業をしていかないと存続できない」と話し、新しい機械の操作に長けた若手とベテラン世代が入り混じった体制で、日々、情報収集をしながらこれからの地域の農業のありかたを模索しています。
お試しで導入するのにぴったり。手頃な価格で手軽に水管理を
水田用自動給水機「Aquaport(アクアポート)」は、水管理に負担を感じている農家の声を反映し、手頃な価格で手軽に使える製品として誕生しました。水管理に必要な機能に絞り込んだシンプルな設計で、上限用センサーと下限用センサーの2つのセンサーで水位を感知し、自動でゲートを開閉して給止水するしくみです。
取り付けに係る特別な工事は必要なく、着脱も簡単に行えるため、転作地や借地にも安心して使用することが可能です。初期設定や操作にパソコンやスマートフォンを必要とせず、誰でも使用できる「わかりやすさ」も特長です。
アクアポートは作業負担の軽減はもちろん、省力化することによって生産性の向上にも貢献します。また、猛暑や豪雨時の見廻りを減らすことで従業員の安全管理にもつながります。
価格は3万円台(メーカー小売希望価格)と低価格で、設置も容易で誰でも使えるシンプルな機能。「自動給水機に興味がある」「使ってみたいけれど、高すぎる製品はちょっと…」「使いこなせるか心配」という方も、お試しで導入しやすい製品です。この機会にぜひ一度導入をご検討してみてはいかがでしょうか。
水田用自動給水機『Aquaport(アクアポート)』は全国のJAで順次取り扱い開始となっております。詳細については、お近くのJAへお問い合わせください。
【取材協力】
クリエートファーム松任
〒924-0028 石川県白山市相川新町2137−2
【製造元】
北菱電興株式会社
〒924-0004 石川県白山市旭丘3-11
TEL 076-275-8191 FAX 076-275-8190
https://www.hokuryodenko.co.jp/aquaport/