マンション売却の前にシミュレーションすべき税金の一覧
まず、マンション売却時にかかる税金について確認しておきましょう。
具体的には以下の4つです。
- 譲渡所得税
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税
それぞれについて解説します。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、マンションを売却したとき利益額に課される税金のことで、所得税と住民税、復興特別所得税が含まれます。
譲渡所得税は、以下の計算式で求められます。
- 課税譲渡所得 = 売却額 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除
納税額 = 課税譲渡所得 × 税率
また、税率は売却する不動産の所有期間によって以下のように変わります。
※復興特別所得税は所得税に含めています(復興特別所得税=所得税×2.1%)
印紙税
マンションの売却時には不動産売買契約を締結し、契約書が交付されますが、その契約書には印紙を貼って印紙税を納める必要があります。
印紙税は、契約書に記載された金額によって以下のように定められています。
登録免許税
マンションの売却時に登記を行う必要がある場合は、登記の際に登録免許税を納めなければなりません。
一般的に、マンション売買時の所有権移転登記費用は買主が負担します。
売却するマンションに住宅ローンの抵当権が残っている場合、売主側は抵当権抹消登記を行う必要があります。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、1筆につき1,000円です。
消費税
マンションの売却代金に消費税はかかりませんが、売却の際に不動産会社に支払う仲介手数料や、登記を司法書士に委託する場合の司法書士報酬には消費税がかかります。
消費税の税率は10%です。
売却時の税金をシミュレーションする際に必要なマンションの情報とは
次に、売却時の税金をシミュレーションする際に必要なマンションの情報について見ていきましょう。
マンションの売却価格
まず、マンションの売却価格を把握する必要があります。
あくまでも予想額となりますが、路線価や近隣で売りに出されている物件情報を調べることで相場を知ることができるでしょう。
また、マンションの売却価格は不動産会社に査定を依頼することでより正確に推定できます。
その際は不動産一括査定サイトを利用して、複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
中でもリビンマッチは、最短45秒で査定結果がわかるのでおすすめです。
マンションの売却価格を査定してもらう際は、リビンマッチの利用を検討するとよいでしょう。
取得費を調べる
マンション売却時の税金の中でも大きくなりやすいのが、譲渡所得税です。
譲渡所得税の計算では、取得費を差し引くことができます。
取得費とは、売却するマンションを取得したときに要した費用のことで、購入時の売買契約書や領収書が必要になります。
所有している間にリフォームを行った場合は、リフォーム工事の契約書も用意しておきましょう。
売買契約書の紛失によって取得費がわからない場合は、売却額の5%を取得費として計上する(概算法)ことになります。
ただし、この場合は納税額が大きくなってしまうため、できるだけ売買契約書を用意するようにしましょう。
その他に必要となる情報
その他に必要となる情報の1つに、取得してからの年数が挙げられます。
冒頭でお伝えしたとおり、譲渡所得税の税率は売却するマンションの所有期間によって変わります。
売買契約書や登記簿謄本など、マンションの所有期間がわかる書類を用意しておきましょう。
ちなみに相続したマンションの場合は、亡くなった方が所有していた期間も所有期間に含めることができます。
相続した不動産の売却に関することは、以下の記事で詳しく紹介しています。
関連リンク:遺産相続した土地はすぐに売却すべき!理由や方法を解説
マンション売却にかかる税金の具体的なシミュレーション
最後に、マンション売却にかかる税金を具体的にシミュレーションしてみましょう。
ここでは、以下のような物件を売却すると仮定します。
- 所有期間…………30年
- 取得時の価格……3,000万円
- 売却額……………6,000万円
- 譲渡費用…………300万円
課税譲渡所得の計算
まずは、売却時の税金の中で大きくなりやすい譲渡所得税を計算してみましょう。
譲渡所得税の計算では、最初に課税譲渡所得を算出します。
-
課税譲渡所得 = ①売却額 - ②取得費 - ③譲渡費用 - 特別控除
①売却額
売却額は、マンションの売買契約書に記載されている金額と考えてよいでしょう。
ただし売却時に固定資産税の清算金を受け取った場合は、その額も加算する必要があります。
固定資産税は毎年1月1日の所有者に対して課されるため、マンションを売却しても納付書は売主のもとに届きます。
売却日以降の分については、買主に日割り計算で支払ってもらうのが一般的です。このとき買主から受け取るのが固定資産税の清算金です。
例えば固定資産税額が15万円で、4月30日に売却した場合、5月1日から12月31日までの8ヵ月分は買主が負担します。
よって、固定資産税の清算金の計算は以下のように行います。
-
15万円 × 8ヵ月分/12ヵ月分 = 10万円
固定資産税の清算金は売却額に加算する必要があるため、この場合の売却額は以下のとおりです。
-
売却額……6,010万円
②取得費
取得費とは、売却したマンションを取得したときに要した費用のことで、マンションの購入価格や取得時の仲介手数料などが該当します。
ただしマンションの建物部分については、年数の経過に応じて減価償却されます。
3,000万円で購入したマンションですが、そのうち2,000万円を建物部分とし、30年経過で1,500万円が減価償却されている場合、取得費は1,500万円になります。
-
取得費……1,500万円
③譲渡費用
譲渡費用は、マンションを売却する際に要した仲介手数料や測量費、登記費用などの諸経費です。ここでは300万円としています。
-
譲渡費用……300万円
ここまでの課税譲渡所得は以下のように計算できます。

特例措置を適用する
課税譲渡所得の計算では、一定の要件を満たすと特別控除の適用を受けることができます。
例えば3,000万円特別控除は、「売却するマンションがマイホームである」「売主と買主が親子や夫婦などの特別な関係でない」など一定の要件を満たした場合に受けられる特例で、その名のとおり課税譲渡所得から3,000万円を控除できます。
先ほど課税譲渡所得を4,210万円と計算しましたが、3,000万円特別控除の適用を受けられれば、課税譲渡所得は1,210万円になります。
また、マイホームで所有期間が10年超であれば、課税譲渡所得6,000万円以下の部分については税率が14.21%となる10年超所有軽減税率の特例もあります。
この特例は、3,000万円特別控除と併用できるのが特徴です。
どちらも売却するマンションがマイホーム(自己居住用)という要件がありますが、非常に節税効果が高い特例のため、利用できるかどうか確認しておきましょう。
また相続したマンションを売却する場合は、相続から3年10ヵ月以内であれば相続税を取得費に加算できる取得費加算の特例もあります。
こちらの特例には期限があるため、相続したマンションを売却する際は早めに検討することをおすすめします。
税額の決定
課税譲渡所得を求めたら、税率を当てはめて納税額を算出してみましょう。
前述のとおり、課税譲渡所得の税率は所有期間に応じて以下のように定められています。
売却するマンションがマイホームで、3,000万円特別控除と10年超所有の軽減税率特例の適用を受けられたとすると、税額は以下のようになります。
-
6,010万円 - 1,500万円 - 300万円 - 3,000万円 = 1,210万円(課税譲渡所得)
1,210万円(課税譲渡所得)× 14.21%(軽減税率)= 171万9,410円(納税額)
シミュレーション結果
最後に、印紙税や登録免許税、消費税も加えたシミュレーション結果を見てみましょう。
6,000万円のマンションを売却する際の印紙税は、3万円です。
建物と土地(2筆分)の抵当権抹消登記の登録免許税は、2,000円です。
消費税については、仲介手数料と司法書士報酬にかかる税金を計算します。
仲介手数料の上限は「売買価格×3%+6万円」と定められているので、仮に上限額を支払ったとすると以下の金額です。
-
6,000万円 × 3% + 6万円 = 186万円
司法書士報酬は依頼する司法書士によって変わりますが、抵当権抹消登記の相場は1万円です。
よって、消費税額は以下のように計算できます。
-
( 186万円 + 1万円 ) × 10% = 18.7万円
以上をまとめると、この取引でかかった税金の合計額は以下のようになります。
不動産一括査定サイトを活用してマンション売却の税金を正確に把握しよう
今回は、マンション売却時の税金をシミュレーションしました。
マンション売却時には、売却額によっては多額の税金を支払うこともあります。
「納税資金が足りない」ということがないように、事前にシミュレーションしておくことが大切です。
特に多額になるケースが多い譲渡所得税を正確に求めるためには、まずはマンションの売却額を知っておく必要があります。
その際は、一度に複数の不動産会社に査定を依頼できる不動産一括査定サイトを利用すると便利です。
中でも、リビンマッチは全国1,700社の不動産会社と提携しており、売却するマンションにマッチした会社を複数紹介してもらえます。
マンション売却時の税金をシミュレーションする際は、リビンマッチを利用してみてはいかがでしょうか。