早期播種で収量・作業効率UP! いもち病に強いイタリアンライグラスが新登場

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早期播種で収量・作業効率UP! いもち病に強いイタリアンライグラスが新登場

早期播種で収量・作業効率UP! いもち病に強いイタリアンライグラスが新登場
最終更新日:2021年03月30日

牧草の中でも栄養価が高く、牛の嗜好性も高い「イタリアンライグラス」は和牛の繁殖・肥育農家や酪農家にとって必要不可欠な牧草の一つです。発芽から生育までが早く、短期間で多収が得られることが最大のメリットですが、年内収穫を可能とする9月中旬から10月上旬までの早播きは”いもち病”のリスクが高まるため、生産者にとって大きなジレンマになっていました。そんないもち病への高い抵抗性を持つ品種が『はやまき18』です。鹿児島県肝付町のコントラクター「肝付アグリ」の成功事例とともに、国産粗飼料生産の現場をご紹介します。

理想は年内収穫。温暖化によるいもち病リスクが障壁に

畜産の盛んな地域として知られる鹿児島県大隈半島。そのほぼ中央に位置する肝付(きもつき)町では、豊かな自然の中で黒牛や黒豚が育てられています。上質な肉の旨みは2017年、和牛のオリンピックともいわれる「第11回全国和牛能力共進会」において日本一に輝きました。

同町で地域の畜産維持と発展のため、肉用牛生産者のニーズに沿った飼料の安定供給を担っているのが「肝付アグリ」です。

肝付アグリの圃場。同町でも有数の圃場面積を誇ります

肝付アグリの圃場。同町でも有数の圃場面積を誇ります

高齢化や後継者不足が深刻化する肝付町では、休耕田や耕作放棄地が増加傾向にありました。そんな寂しい景色を前に、なんとか地域の農業を活性化させたいと立ち上がった同社は、牧草など飼料用作物の播種や収穫を行うコントラクターとして2006年に創業。以来、きめ細かな対応で高品質な牧草を生産者に供給し続け、地域の農業振興に一役買っています。

約100ヘクタールもの広大なほ場で生育が早い「イタリアンライグラス」や、播種期の幅が広い「えん麦」などの飼料用作物を栽培する同社。しかし、イタリアンライグラスの栽培には長年、ジレンマを抱えてきたと肝付アグリの鶴田健一さんは話します。

肝付アグリの皆さん。中央が鶴田健一さん

肝付アグリの皆さん。中央が鶴田健一さん

「品種、栽培地域の気候などによって違いはありますが、イタリアンライグラスを8月下旬〜9月にかけて早播き(夏播き)をすれば、年内に刈り取ることができ、作業の分散につながります。ところが、この時期に種まきをすると、”いもち病”による立枯れの発生リスクが高まってしまいます。枯れたイタリアンライグラスは栄養価が低く、牛も好んで食べないため、早播きは諦めざるを得ないというのが現状でした」(鶴田さん)

同社をはじめ多くのコントラクターにとって、イタリアンライグラスの早播きは鬼門。輸入粗飼料や穀物の価格高騰により、国産粗飼料のニーズが高まる昨今、いもち病の抵抗性に優れた早生品種の開発はコントラクターはもちろん、生産者にとっても切実な願いでした。

こうした現状を打開するべく開発されたのが、イタリアンライグラス早生品種では唯一、いもち病抵抗性”強”を持つ『はやまき18』です。

いもち病耐性をクリア。作業の省力化にも貢献

種子販売を開始する1年前、2016年に肝付アグリの圃場で『はやまき18』とえん麦を組み合わせた混播栽培を試験的に実施。『はやまき18』はいもち病にかかることなく、無事に収穫することができました。

8月下旬播種の各早生品種の10月初旬時点での生育状況。赤枠内はいもち病が発生した箇所。多くの品種でいもち病が確認された中、『はやまき18』では被害が見られませんでした

8月下旬播種の各早生品種の10月初旬時点での生育状況。赤枠内はいもち病が発生した箇所。多くの品種でいもち病が確認された中、『はやまき18』では被害が見られませんでした

「いもち病の発生リスクを気にすることなく9月に早播きをできるようになったことが何よりの収穫です。このことにより年間の作付け期間の幅が広がり、播種や造成作業の効率が上がったことで、一定の収量をより安定して確保することができました」と、鶴田さんは『はやまき18』のいもち病抵抗性を高く評価します。

さらに、鶴田さんは『はやまき18』の刈り取りを2回に分けることで、より高品質な作物を多く収穫できるようになるといいます。

「『はやまき18』とえん麦を混播した草地の刈り取りは12月〜1月にかけて行います。えん麦は1回の刈り取りで終了となりますが、再生力が強い『はやまき18』は、4月に再び刈り取ることができます。つまり、1回の播種で2回収穫ができるため、作業効率が格段にアップするというわけです。また、春に大きく育ったイタリアンライグラスは春先の強風の影響を受け、倒伏しやすいことが悩みでしたが、『はやまき18』の場合、1回目の刈り取りで残った株からの元気なわき芽が、倒伏しにくい形に生育するという特徴もありがたいです」(鶴田さん)

刈り取った牧草はロールベールで梱包。各生産者に届けられます

刈り取った牧草はロールベールで梱包。各生産者に届けられます

肝付アグリのように大規模なほ場では、播種や刈り取り時期が集中すると、それだけ作業効率が悪くなり、刈り遅れによる品質の低下が生じます。

「播種期や刈り取りの適期が異なる品種の牧草を栽培し、年間の作業を平準化させることが省力化や効率化のカギに。今後は秋播きや冬播きと組み合わせながら、高品質・高収量を目指していきたいですね」と、鶴田さんは今後の目標を語ります。

育成牛から肥育牛まで国産粗飼料で飼育。真の「和牛」を目指す

飼料穀物のほとんどを輸入に依存している日本では、円安や世界的な需給のひっ迫から国内の生産者への飼料の安定供給が課題となっています。安定した品質と量の餌を栽培し、肉用牛の生産基盤を守るべく、鶴田さんは育成牛から肥育牛まで、全ての粗飼料及び濃厚飼料を国産で賄っていきたいと展望を語ります。

乾燥させた『はやまき18』を食む牛たち

乾燥させた『はやまき18』を食む牛たち

「育成期間は栄養価の高いものを、肥育期間は効率よく大きくするために、それぞれ適した粗飼料または濃厚飼料を与えます。『はやまき18』によってイタリアンライグラスの収量増加が実現した今、今後は刈り取り時期によって異なる栄養価や、牛の嗜好性、他の牧草品種との組み合わせなどをデータ化。そのデータをもとに、農家さんや牛の好み、目指す肉牛にするための飼料の供給を個別に対応していくことが今後の目標です」(鶴田さん)

いもち病の発生リスクから“不可能”と思われてきたイタリアンライグラスの早播き。『はやまき18』の登場によって、さらなる作付け拡大、そして粗飼料の国産化を後押しすることでしょう。

取材時(3月初旬)の『はやまき18』。春先の2回目の収穫に向け、順調に生育しています

取材時(3月初旬)の『はやまき18』。春先の2回目の収穫に向け、順調に生育しています

【取材協力】
株式会社肝付アグリ
鹿児島県肝属郡肝付町前田4984

『はやまき18』についての問い合わせ

一般社団法人日本草地畜産種子協会 種子部 
東京都千代田区神田紺屋町8 NCO神田紺屋町ビル4F
Tel:03-3251-6501
Fax:03-3251-6507
『はやまき18』詳細はこちら

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