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東京日野市で就農して3年目。地産地消、SDGsをキーワードに思い描く未来

東京日野市で就農して3年目。地産地消、SDGsをキーワードに思い描く未来

京王線の高幡不動駅から歩いて5分ほどの住宅街に小さな農園「ネイバーズファーム」があります。面積2,000㎡の農地には、野菜の畑と真新しいトマトハウスが1棟。その庭先では摘みたてのトマトと季節の野菜が売られ、道行く人が足を止めて買っていく穏やかな日常の風景があります。ここでトマト作りたいと東京・日野市に独立就農して3年目。代表の川名桂さんにトマト栽培のこだわりと都市農業の面白さ、地域への思いを聞きました。

この街でトマトを作ったらみんなハッピーになるはず

「ネイバーズファーム」のコンセプトはその名のとおり「お隣さんの農園」。代表の川名桂さんは、「一生なくならない仕事がしたい」と大学は農学部へ進学。卒業後に就職した農業系の会社でトマト栽培の面白さに目覚め、お客様の顔が見える農業をしようと実家がある東京都日野市で独立へと踏み出しました。

「実家に戻ると周囲には意外と畑が多くあり、直売所にたくさんの人が並んでいるのを見て、ここで美味しいトマトを作ったらみんなハッピーになるのではと思いました」と笑顔で話す川名さん。

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しかし、都内で農地を見つけるまでが最大の困難。東京都農業会議所に相談してから今の土地の地主とめぐり合うまで2年がかり。「一生見つからないかも」と諦めかけたこともありましたが、辛抱して待ち、ついに見つかった農地は驚くほど川名さんの妄想どおりでした。

農業師匠の下、2年間の研修でトマト栽培を学び直して2019年3月に独立。トマト施設導入の助成金が下りるまでのつなぎとして土耕栽培した野菜が近隣のお客様に喜ばれ、念願のトマトハウスが建った今も、カブ、菜の花、ルッコラ、ナス、ズッキーニなど、季節野菜を少量多品目で作り続けています。

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都市農業はいかに効率よく経営を成り立たせるかが重要

トマトハウスの面積は712㎡。2020年12月に2000本の苗を定植して、翌年3月に初収穫を迎えました。栽培品種は、千果、イエローミミ、サングリーンなどのミニトマト品種をメインに中玉のフルティカ、大玉の桃太郎などさまざま。収穫の4割は庭先で、あとはJAと民間の直売所へ持ち込み、ほんの少しを市内の飲食店に届けるなど、ほぼすべて生産者直売の地産地消です。

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「都市農業は狭い面積でいかに効率よく経営を成り立たせるかが重要です。大量には作れないので味を重視して、お客様への届け方として買いやすい形にアレンジすることを意識しています」と経営のこだわりを語る川名さん。

作りたいのは、味の濃いトマト。そのためには、甘さだけではなく酸味と旨みがなければなりません。川名さんは、水ストレスを与えて甘みを出すやり方とは逆に、環境制御で樹の生命力をみなぎらせるやり方を選びました。ポイントは、いかに多く光合成をさせるか。あらゆるデータを記録し、温度や潅水をモニタリングして最適値を計算。時間ごとにトマトを観察して手作業で設定していきます。

「トマトは一年に1作なのでやり直したくても1年待たなければなりません。一生で30から40回しか作れないと思うと、やめられないほど難しくて楽しいです」

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作ったものを食べる人へ直接届けるのも、川名さんが独立就農でやりたかったことです。赤黄緑の3色のミニトマトをパッケージしたり、新たに開設したオンラインショップではトマトに季節の野菜を添えて販売するなど、商品に買う人が楽しくなる工夫をしています。

ハウスは食べ物を作る場所なので土足厳禁。衛生環境も整えています。
「一番は病害虫を持ち込まないためですが、きれいで整理整頓されたハウスだと作業効率がすごくよくなると思うんですよ。二人でやっているのでムダな動きは極力なくしたいです」と川名さん。きれいなハウスは「良い栽培」の大前提です。

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環境負荷の少ない農業でSDGsに貢献

川名さんたちは、子どもの頃から環境問題を意識して育った世代。農業でSDGsに貢献したいと考えています。

「地産地消はSDGsの一つだと思います。都市農業は流通過程を経ないので輸送の燃料や資材がかからず環境負荷はすごく少ないですよね」と川名さんは語ります。

いろいろな農業の形を見てきた中で、大量生産と対極にあると感じたのが都市農業でした。廃棄物はできるだけ出したくないし出せる場所もありません。トマトの培土は畑に返せるココヤシ殻を選び、トマトの樹はシーズンが終わったらチップにしてブルーベリー畑に敷く予定です。

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ただトマトを周年栽培するにはどうしても夜間暖房を使う必要があります。二酸化炭素を与えるために日中灯油をたくのは非効率に思えてなりません。
勉強会で訪れた愛知県の種苗会社の研究農場でフタバ産業のCO2貯留・供給装置『アグリーフ』を見た川名さん。「考えた人は天才的だと思いました」と、その時の気持ちを語ってくれました。

「アグリーフ」は、夜間暖房で発生する排気ガスからCO2だけを貯留して日中に植物に局所施用する装置。すぐに見積もりを取ると燃焼式の二酸化炭素供給装置とほぼ同じ価格。ランニングコストの灯油代はかかりません。環境やコストを気にして天窓の開閉の度にCO2値の設定を変える必要もないため、考えることの多い環境管理の一つが楽になるのは大きなメリット。ハウスの仕様を決める最終段階でアグリーフ導入を決めました。

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住宅街での農業は近隣への配慮が大切。例えば、土が付いた長靴で公道に出ないこともその一つ。トラブルになりやすい騒音も、運転音が静かな『アグリーフ』は気になりません。

「CO2が効いているトマトの葉は厚く緑が濃く艶があるんですよ」と川名さん。きれいなハウスの中ではトマトの樹がたくましく育っています。

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農業でずっと住みたくなる街づくり

日野市で農業を始めてみると、近隣の人々が「頑張って」と応援してくれることがうれしかったという川名さん。「見られているから環境を整え、見てもらえるようにSNSで農園の様子を発信しています」と、コミュニケーションでも地域との信頼を築いています。

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「地域とのつながりを求めている人はきっとたくさんいると思うので、日野市への地元愛が生まれるような商品づくりをしたり、この地域に長く住みたいと思える取り組みを農業からやっていきたですね」とこれからの展望を語る川名さん。市内の飲食店とコラボして加工品のプロジェクトを進行中。特産品や飲食店をPRする活動を始めています。

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「都市農業はニッチで簡単な就農場所ではないけれど、農業には多様性があり必ずその人に合う働き方があると思います。地方なのか街中なのか、法人就農か独立就農か、それともパートタイムなのか。ぜひ農業と関わってください」と、新規就農を希望する人にメッセージを送ってくれました。

【取材協力】
Neighbor’s Farm(ネイバーズファーム)
東京都日野市新井870
Instagramアカウントページはこちら

【問い合わせ】
フタバ産業株式会社
愛知県額田郡幸田町大字長嶺字柳沢1番1
TEL:0564-56-0506

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