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安全対策の徹底には、当事者意識が不可欠!社員が「ヒヤリ・ハット」を共有しやすい仕組化を推進

安全対策の徹底には、当事者意識が不可欠!社員が「ヒヤリ・ハット」を共有しやすい仕組化を推進

「一にも二にも安全が全て!」と話す中森農産株式会社の中森剛志さんは、新進気鋭の農業経営者。非農家出身の就農6年目で、圃場面積が150haと異色の存在です。そんな中森さんは規模を拡大しながらも「農作業の安全対策」に力を注いでいます。中森農産が取り組んでいる安全管理のルール作りやヒヤリ・ハットの情報共有と改善への取り組みについて取材しました。

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農地を守らなければと強い決意で就農

「農業に貢献したい」という一心で、中山間地域の活性化のために現場へ足しげく通い、東京農業大学の在学中に東京で青果店を開業した中森さんですが、「このままでは、日本の食料安全保障をどう守るのか…という本質的な課題の解決には至らない」との焦燥感に駆られ、25歳の時に就農への意志を固めます。

「農業界が抱えている課題の本質は、意欲ある担い手がいないことです。担い手が大規模化していけば、日本の農業は良くなっていくと考えていましたが、可能性の高い平野部でさえ大規模化は遅々として進んでいません。日本の食料安全保障を考えたら、真っ先に首都圏の約3500万人を抱える関東の穀倉地帯の維持に取り組まなければ…」と、中森さんは東京の事業を整理して埼玉県加須市に移住。

株式会社クボタ

同市の有限会社早川農場で1年半の研修を受け、水稲10haで2016年に就農を果たします。翌年には法人化し、圃場面積も毎年大きく拡大。就農6年目の現在は、10名の社員とともに圃場面積150ha(作付面積200ha)の農地で、米7品種(酒米・飼料米を含む)、小麦、大豆、サツマイモの栽培に取り組み、生産性を重視しながら有機栽培にも挑戦し、競争力のある農業を模索しています。

一気呵成の規模拡大については、「若者を農業界に連れて来るためには、雇用の受け皿となる強い組織が必要だ」と、その理由を明快に話す中森さん。今は農地が広い範囲に点在して移動や管理が大変だと笑いますが、750枚にも及ぶ田畑を『KSAS(クボタ スマートアグリシステム)』で管理して生産性の向上に努めています。

株式会社クボタ

安全対策の徹底には、当事者意識が不可欠

今回の取材時もそうですが、「安全ベスト」の印象が強い中森さん。ヘルメットや安全ベストの着用を自発的に始めたのは、中森農産を設立した就農2年目から。先輩農家や自治体の職員からは「事故?工事??」と聞かれるほど周囲でも着用する人はいなかったと話します。

株式会社クボタ

「未来を担う若者に来てもらうなら、最低限、農業を安全な産業にしなければ、どんな改善も価値がありません。それができなければ、日本の農業を根本的に変えることなどできるはずがありません」と、ここでも大きな課題に対して自らの対策をブレずに進める中森さん。

社員が4~5人に増えた時点でヘルメットを義務化しましたが、「すんなりと受け入れられないのは予想どおり。自分は大丈夫だからとか、暑いとか、髪型が崩れるから…などの言い訳で譲る訳にはいきません」と苦笑い。

「農作業事故はいつ起こるか分からないので、ヘルメットはずっと被っておけよ…と小姑のように言い続けましたね」と振り返ります。その甲斐あって今では当たり前のこととして浸透しています。

株式会社クボタ

安全対策の徹底には、当事者意識が欠かせません。

中森農産では、安全管理のルール作りに「GAP(Good Agricultural Practices:農業生産工程管理)」の枠組みを活用しています。管理項目ごとに責任者を置き、危険物取扱者やJGAP指導員などの必要な資格を取らせ、社員の話し合いによって仕組化を推進。

「GAPの認証取得作業は大変だと思うかもしれませんが、それ以上に安全管理などの仕組みをゼロから作るのは時間と労力がかかります。僕らからすればGAPのおかげでスピード感を持って進めることができました」と話す中森さん自身は、認証の作業にはほとんど関わっていません。

2020年3月に埼玉県のSGAP、10月にはJGAPの認証を取得。現在はASIAGAPの認証を進めており、それらの取り組みが「社員自ら農場の課題を見つけ、自分たちで考え、改善していくキッカケになっている」といいます。

株式会社クボタ

毎日のヒヤリ・ハットはDB化、KY活動が熱い!

「事故を起こさないために原因を潰していこう!」と、中森さんは社員に対してヒヤリ・ハットの情報を集めるように指示を出しています。

現場で起こったヒヤリ・ハットは、各自のスマートフォンから情報を入力してもらい、『Googleドライブ』を活用してデータベース化。退勤前の15分間を「報告のための時間」として業務に組み込んでいます。ヒヤリ・ハットの内容は、農道が狭くて車幅がギリギリだった、脱輪した、パレットの積み方が危ない、フォークリフトの爪が乾燥機に当たりそうだった…などさまざま。写真付きで報告されるものもあります。

株式会社クボタ

集められたヒヤリ・ハットは、毎月行うKY活動(K危険・Y予知・Tトレーニング)の日に一番危なかった事例をテーマに、それが実際に起きたと仮定して原因と解決策を全員で考えるという製造業さながらの取り組みが行われています。

「農業も製造業や建設業が歩んできた道をなぞっていかないと産業として同じレベルには到達できません」と熱く語る中森さん。ヒヤリ・ハットは、改善して初めて意味があると社員からの改善提案もデータベース化しています。優先順位の高いものから、全体会議で誰がいつまでにやるかを決めて、ビジネス版LINEの『LINE WORKS』でタスク管理をして、できる限りの対応を進めています。

更に、危険が認められた場所には『KSAS』のマップ上にピンを立て、危険度や種類を色分けし、ピンをクリックすれば注意事項などがチェックできるなど、その日作業する圃場を確認する際に起こりうる危険を意識できるようにしています。

株式会社クボタ

また、プログラミングが得意な社員が『LINE WORKS』に作ったBOT(自動化するプログラム)で、気温が上昇する10時頃には頑張りすぎないように「休憩を取りましょう」、視界が悪くなったり、疲れが出たりして事故が起こりやすくなる夕方には「運転注意!」などのメッセージを自動的に発信。BOTだけでなく、社員も必ず1日1回、それぞれの作業で危険だと感じたことなどを『LINE WORKS』で共有しているといいます。

株式会社クボタ

規模拡大や生産性の向上は、雇用環境の改善に直結

「農業の安全対策が難しいのは、建設現場のように常に危険が伴う緊張感のある仕事ではなく、農作業の大部分が安全な仕事だからだと思います。気の緩み、疲れ、圃場のちょっとした傾斜、天候といった複合的な要因もあり、安全だと思う作業にも不意に危険が入り込むのが農業の仕事で、そこがマニュアル化の難しいところです。これは栽培も同じことで、その年の気象条件で肥培管理は変わり、マニュアル通りにはいきません。生産者の経験値を生かしてこそ、期待値の収量に近づけます。農業はマニュアル化が難しいから、人を大切に育てる必要があると思うんです」と話す中森さん。

株式会社クボタ

人を育てるためには、快適に働いてもらう必要があります。中森さんにとっての規模拡大は、「生産性を上げて社員の待遇を良くするための手段」だといい、「生産性が向上すれば、時間や心にゆとりができ、更なる安全性につながる」とも話します。

社員が安全意識を常に持てる仕組みが何重にも運用され、聞けば聞くほど、中森さんの安全に対する執念に圧倒されます。

全ては人づくりのため。飛ぶ鳥を落とす勢いで規模拡大を進める真意が理解できました。

<取材協力>
中森農産株式会社
〒347-0051 埼玉県加須市戸川797−1
ホームページはこちら
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株式会社クボタ

<提供>
株式会社クボタ 農機国内営業部
〒556-8601 大阪市浪速区敷津東1丁目2番47号

日本の食を支える農業者のみなさまが、安心・安全に農作業をしていただけるように、クボタでは農林水産省と連携した、農作業安全の取り組みを推進しています。

◆安全作業の呼びかけ
事故を未然に防ぐためのポイントをまとめたリーフレットの配布やWebでの情報発信を行っています。
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◆点検整備のご提案
安全確保には、日頃の農機の管理、点検整備も重要です。
セルフメンテナンス・クボタの点検整備の情報はこちら

◆トラクタの安全フレーム・シートベルトキットの復刻販売
後付け可能な型式のトラクタを対象に、1990年代に販売していた後付け用安全フレーム・シートベルトのキットを復刻販売し、装着を促進しています。
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