コンバインでできること
コンバインとは、バインダーと呼ばれる刈取機と脱穀機を組み合わせた収穫機械で、収穫、脱穀、選別を1台でカバーできる農機です。
稲作において最も手間がかかるのが田植えと収穫と言われているほど、収穫作業には労力がかかります。それを少しでも軽減しようと、欧米で生まれ1960年代に国内メーカーが次々と開発したコンバインは、農業界に大きなムーブメントを起こしました。それ以来、麦や米を育てる農家にとって、なくてはならない必需品となっています。
コンバインには大きく分けて二つの種類があります。
それが以下の普通型と自脱型です。
普通型
普通型と呼ばれるコンバインは、コンバインハーベスターとも呼ばれ、主にアメリカやヨーロッパで広く使われています。刈り取った作物の茎や葉も含む全体が脱穀機を通過し、穀粒だけが残る仕組みです。この構造のため、稲やわらが使えなくなってしまうこと、また大きなボディーが日本の水田には適さないことが、普通型が日本の稲作において広がらなかった理由と言われています。普通型は日本ではソバの収穫などに使われています。
自脱型
そんな中、日本で開発され、日本の米や麦の収穫に使われているのが、自脱型と呼ばれるコンバイン。この記事でいうコンバインは、自脱型を指します。
作物全体が脱穀機を通過する普通型と違って、自脱型は、穂先のみが脱穀機を通過して脱穀、選別される構造で、自脱型が開発されて以降は、国内で爆発的な勢いで普及していくようになります。
コンバインの選び方
さて次は、コンバインのタイプについてです。コンバインと一口で言っても、大きさやパワーなどいろんな選び方があります。
条
田植機の中にも「○条植え」という単位がありますが、コンバインにも「○条刈り」と呼ばれる単位があります。田んぼの条というのは、列のこと。つまりコンバインの2条刈りは、2列ぶんの稲穂を一度に刈ることができるという意味です。
最小2条、最大で7条刈りのコンバインが販売されています。もちろん条が増えるごとにボディーは大きくなり、パワーもアップ。一度に刈れる量は増えますが、その分価格帯も上がります。
馬力
コンバインは条の数だけでなく、馬力でも分けられます。条の数が少ないものは馬力も低く、条の数が上がるとそれだけ馬力も大きくなります。
しかし、同じ条刈りの中でも馬力の幅があり(2条刈りで10.5〜12.5馬力など)、同様に価格帯にも幅があります。
袋取り式
脱穀した穀物を袋に入れ、袋がいっぱいになると交換していくのが袋取り式です。昔の手法ですが、今でも2条刈りなどの小さいタイプのコンバインの中には袋取り式を採用するものもあります。
グレンタンク式
グレンタンク式は、コンバインにオーガと呼ばれる煙突のような部位がついていて、刈り取ったもみをトラックなどの荷台に直接入れることができます。もみ運びの負担が減り、作業効率もアップ。近年の主流がこちらのタイプです。
袋取り式と比べて、排出作業の頻度が下がるので作業を長く続けられ、また重いもみ袋を運搬する手間も省けます。
中古コンバインを導入しよう
新規就農者の皆さんがコンバインを購入する際に、新品を買うか、中古を買うかで悩んでいる人もいるかもしれません。コンバインはとても高価な農機で、大きなものになると新品で1000万円以上のものもあります。そのため、まずは中古コンバインを導入して使用してみるのがオススメです。
中古コンバインのメリット
価格の安さは中古ならではです。新品に比べて半分以下の価格で売りに出されているものもたくさんあります。
そのため新規就農者の導入機としても中古はおすすめです。
中でも2条刈りクラスは中古でお得に購入できるというメリットがあります。というのも2条刈りは、コンバインの中で最も小さなタイプで、一般農家でよく使われています。そのためアワーメーターがあまり進んでいないことが多く、いい状態のものが売りに出されているのです。
中古コンバインのデメリット
コンバインは一台で収穫、脱穀、選別を担う機械であることから、その構造はとても複雑です。だからこそ失敗するケースも少なくありません。
エンジン、走行は問題なくても、実際に使用してみたら脱穀ができない、ということも。購入する際は必ず整備状況や稼働状況もきちんとチェックするようにしましょう。
特に5、6条刈りなどの大型コンバインは、広大な田んぼで使用されていることが多く、見た目ではわからない内部の部品が消耗していることがよくあるため、注意が必要です。
中古コンバインを購入するときの注意
前述の通り、複雑な構造であるコンバインを中古で買う際には、どんな状態のものなのかをきちんと把握して買わなければなりません。
そのため、実機を見ることができる店舗や、農機メーカー正規代理店での購入がおすすめです。
メンテナンスが行えるプロのスタッフがいることも大事なポイントですね。
メンテナンスは入念に
コンバインの耐用年数は10年、稼働時間は1000時間と言われていますが、高価なコンバインだからこそ少しでも長く使いたいものです。そのためにはやはり忘れてはいけないのがメンテナンス。
使用した後は、きちんと掃除をすること。清潔に保つことは、使用しない間にネズミなどの害獣や害虫が入り込んだり、水分を含んだわらなどの作物が腐食して機械を傷めてしまうことを防ぎます。
その他、自分でできるメンテナンスはこちらを参考にしてください。
またコンバインは農機の中でも複雑な構造であることから、きちんと専門家にメンテナンスを依頼することも大切です。
まとめ
コンバインは麦作や稲作を行う農家にとっては必需品の一つです。新規就農者にとって高価なコンバインだからこそ、中古を賢く取り入れることをオススメします。購入後はきちんとメンテナンスをして、より長く使えるように大切に使用していきましょう。