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農作業の相棒「管理機」を長持ちさせるには? 日々のメンテナンスのコツ

農作業の相棒「管理機」を長持ちさせるには? 日々のメンテナンスのコツ

趣味の家庭菜園から農家の畑まで、幅広く活躍しているのが農作業用の管理機。決して安い買い物ではないので、大事に使って長持ちさせたいですよね。そんな農業機械を日常的に使っている、埼玉県所沢市の野菜農園「月野原農園」の樽谷慎二(たるや・しんじ)さんに、日々のメンテナンスについて教えてもらいました。40年来のバイクマニアで機械いじりが得意な樽谷さんは、どのようなメンテナンスをしているのでしょうか?

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日々のメンテナンスが管理機の寿命を延ばすカギ

樽谷さんは、ホンダの「こまめ F220」という小型耕運機を管理機としても使っています。車軸にロータリーが直接付いている「車軸ロータリータイプ」なので小回りが利き、小さな面積を耕すほか、畝づくりや土寄せ、除草などに利用しています。

樽谷さんの「こまめ」はだいぶ年季が入っていて、すでに10年以上愛用しているそうです。操作が簡単な上にコンパクトであることが特長で、樽谷さんも「軽くて移動させやすいので重宝している」とか。多品目を育てる野菜農家さんには、小型の管理機が欠かせないようです。

「基本的なメンテはきちんとやっているので、10年経っても順調に動いていますよ」(樽谷さん)。基本的なメンテナンスとは、どのようなことなのでしょうか。あまり機械が得意ではない人にもできる内容なのかどうか、聞いてみました。

農作業前にやっておきたいメンテナンス

管理機を使う前に必ず点検するのは、燃料であるガソリンの残量のほか、エンジンオイルとエアクリーナー。エンジンオイルが適正な量でなかったり汚れていたりすると、エンジンの寿命が短くなってしまうからです。またエアクリーナーの汚れは、エンジンの出力不足や、燃料消費量増加の原因につながります。

エンジンオイルのチェック

エンジンオイルの給油口

まず機器を平らな場所に置き、エンジンオイルの給油口キャップを外して中身をチェックします。機器によって適正な量は多少違うので、マニュアルなどを参照してください。「こまめ」の場合は、給油口の近くに目安を示すイラストがあります。エンジンオイルが少ない場合は追加、多い場合は減らします。

エンジンオイルの液面を確認!

もしエンジンオイルが汚れていると感じたら、交換します。自身で行うのが不安であれば、農機具屋さんなどにお願いしましょう。ちなみに「こまめ」のエンジンオイル交換の推奨時期は半年ごと、または100時間ほど使用した後です。

エアクリーナー部のチェック

エアクリーナー部のふた

つぎにエアクリーナー部のふたを外し、エアフィルターに汚れがつまっていないかを確認します。ちょっとした汚れであれば、エアフィルターを外してはたいて落とせます。不燃タイプのエアダスターなどを使ってもよいでしょう。樽谷さんはエアコンプレッサーを持っているので、それで汚れを吹き飛ばすそうです。

エアフィルターの清掃

エアフィルターの汚れが落ちないときは、新品に交換するタイミングです。使う環境や使用頻度によって交換時期は変わってきますが、「こまめ」のエアフィルター交換の推奨時期は1年ごと、または300時間ほど使用した後になっています。

ボルトやワイヤーのチェック

クラッチレバー付近のメンテナンス

できればもうひとつやっておきたい点検は、各部ボルトやワイヤーのゆるみの確認です。日々のメンテナンスでは、目視で確認できる範囲で行えば大丈夫。樽谷さんは、クラッチレバーやギア部分の「動きが悪いな」と感じたら、ホームセンターなどでも購入できる防さび潤滑スプレーを使います。

農作業後のメンテナンスと注意事項

管理機を使い終わった後も、基本的なメンテナンスは必要。作業前に点検したエンジンオイルのほか、ガソリンの管理も大切です。もし1カ月以上使用しない予定であれば、残っているガソリンは完全に抜くべき。ガソリンが劣化し、キャブレターに詰まってエンジンがかからなくなるからです。

ここにチューブを取り付けてコックを「出」にすれば、タンク内のガソリンが排出できます

また「回転軸に草などが絡み付いていたら、きれいに取り除いてください」と樽谷さん。回転軸のオイル漏れを防いだり、異物混入を防いだりする部品であるオイルシールの変形を防ぐためです。清掃しないで使い続けると、オイルが漏れて故障の原因となってしまいます。

さらに「耕運爪」「培土器」「畝立て器」、除草作業用の「スパイラルローター」などに土や泥がついたまま放置するとさびてしまうことがあるので、きれいに落としておきます。ブラシなどでこすり落としてから水拭きするなど、汚れ具合によって清掃道具を選んでください。

アタッチメントの培土器など。作業後は土を落としましょう

そのほか、新品の場合や特殊な環境で使用した場合の注意事項を、管理機メーカーのマニュアルなどから3つ挙げておきます。

  • 機器を購入して1カ月または20時間ほど運転した後に、エンジンオイルを交換する
  • 高負荷や高温で使用したときは、50時間ほどでエンジンオイルを交換する
  • ホコリが多い場所で使用したときは、10時間ごとにエアフィルターの清掃をする

また管理機の保管に関しては、屋根付きのガレージなど、日が当たらない雨風をしのげる場所を確保しましょう。これは、管理機を長持ちさせたいのであれば大切なこと。さらにシートをかけるのであれば、管理機が熱をもっていない状態になってからです。

まとめ:毎日の快適な農作業のために

今回は、畑仕事に欠かせない「管理機」を長持ちさせるための、日々のメンテナンスについて教えてもらいました。

まず管理機を使う前は、

  • ガソリンの残量、エンジンオイルとエアクリーナーのチェック
  • 各部ボルトやワイヤーのゆるみを確認

つぎに使い終わった後は、

  • 1カ月以上使用しない場合はガソリン抜き
  • 回転軸まわり、耕運爪や畝立て器などの清掃

さらに保管場所は屋根付きのガレージなどを確保すべきで、カバーをしたとしても雨ざらしにならないようにしましょう。

日々のメンテナンスについては、機械が苦手な人でもできそうな内容だと思いました。管理機を長く愛用するために、ぜひ実践してみてください!

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