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少量多品目で2000万円、売り上げを支える栽培技術と「余白の時間」

連載企画:農業経営のヒント

少量多品目で2000万円、売り上げを支える栽培技術と「余白の時間」

農薬や化学肥料を使わない有機農法で、野菜を中心にさまざまな農産物を少量多品目栽培する。いまや新規就農の典型的なパターンの一つだが、実際にやってみてその難しさを痛感している人も多いのではないだろうか。どうすれば営農を軌道に乗せることができるのか。茨城県常陸太田市の山間部で木の里農園を運営する布施大樹(ふせ・たいき)さんに取材した。

銀行からの借り入れ無し、ローンに頼らずに家を建てる

布施さんは現在、50歳。2.2ヘクタールの農地で、野菜を中心にコメや麦、大豆もつくっている。品目数は約60。近所でもらってきた薪(まき)を暖房や風呂に使うなど、食べるものを軸に自給的な暮らしをしている。

主力商品は個人向けの野菜セット。顧客の多くは車で1時間の範囲内に住んでおり、大半は宅配に頼らずに配達している。顧客と「顔の見える関係」になっていることは、販売の安定にとって大きな意味を持つ。

出身は東京。林業に興味を持ち、関連のコースがある東京農工大に進んだ。だが卒業後の進路は林野庁の職員など公務員が中心ということを知り、気持ちが変化した。そんなとき、沖縄の波照間島にサトウキビの収穫のアルバイトに行き、「自分のやりたい仕事は農業だ」と思うようになった。

「歌を歌いながら作業をし、疲れたらパラソルの下で昼寝をする。夕方に仕事が終わったら海に潜って魚を取り、夜は泡盛で酒盛りをする」。布施さんはバイトで知り合った農家たちの暮らしをそう表現する。農家の一人は酒を飲みながら「おれたちは自分の力だけで生きている」と語ったという。

薪

暖房や風呂に使っている薪

こうして布施さんは農業に強い憧れを抱いて大学を卒業し、有機栽培の研修農場で3年半栽培技術を学んだうえで就農した。1998年のことだ。

有機栽培を選んだのは、学生時代に農家に話を聞こうと思ったとき、受け入れてくれた人の多くが有機農家だったからだ。環境破壊に強く反発していた布施さんにとって、有機農家たちの姿は「輝いて見えた」という。

常陸太田市の山間部を就農場所にしたのは、カメラマンをしていた父親が家を借りて活動の拠点にしていたことが理由の一つ。もともと林業に興味があり、山の中で農業をしたいと思っていたことも影響した。

妻の美木(みき)さんと結婚したのは2000年。布施さんが参加した新規就農がテーマのシンポジウムを、美木さんが聴きに行ったことがきっかけだ。美木さんはタイの山岳地帯に住む少数民族を支援する活動に参加したことがあり、山の暮らしを守りたいという点で思いは共通だった。

布施さんが就農して20年余り。野菜セットを購入する個人顧客は約200人で、年間の売上高は2000万円にのぼる。筆者はこれまで少量多品目の農家を何人も取材してきたが、その中で売り上げが最も多い部類に入る。

子どもは大学生と高校生、中学生の3人。銀行などからの借り入れはなく、家もローンに頼らずに建てた。専業農家として生活が成り立っている点について、美木さんは「私たちはそれを自負しています」と語った。

布施大樹さんと美木さん

布施大樹さんと美木さん(2011年8月撮影)

農作業以外に充てる余白の時間を持つことで顧客を増やす

では布施さんは栽培と販売のそれぞれで、どんなことに力を入れているのだろうか。

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