研修生、里親農家インタビュー【1組目】
(左から)
■第3期研修生:梅原直樹さん(37歳)
■里親農家:山田正義さん(57歳)
地域を支える桃梨農家になる【研修生インタビュー】
一人目の研修生、梅原直樹さんは愛知県みよし市の出身です。名古屋市で会社員をしていましたが、農業を仕事にしようと情報収集する中で豊田市の「桃・梨専門コース」を見つけました。
「果樹栽培を希望していたのでこれはチャンスだと思い、すぐに応募しました」と話す梅原さん。独立後のことも考えて豊田市に移住して研修に打ち込んでいます。
研修の進め方は里親農家に委ねられていますが、概ね1年目は、枝の剪定、草刈り、消毒、施肥、摘花、摘蕾(てきらい)、袋がけ、収穫など、年間の管理作業を実習します。梅原さんは、平日週4日、里親農家の元でその時々の作業を覚え、休憩を兼ねた座学で管理のポイントを教わります。週1~2日、愛知県立農業大学校で受ける講義が復習になると言います。
花が咲き、実が着き、葉が茂り、圃場の変化は毎日新鮮ですが、作業を待ってはくれません。「大きな木に一日がかりで約400袋をかけたのは大変でしたが、一つひとつの作業をしっかりやって実が大きくなるのは楽しいです」と達成感を語ってくれました。
研修2年目は、地域の梨桃農家の方々が研修生のために苗木を植えて準備した管理圃場で栽培管理を実践します。今年(2021年)独立した1期生が近くで営農している姿を見るのが、梅原さんたちの励みと目標になります。
「研修修了後は圃場を大きくして桃・梨で生計を立てていきたい。里親農家や自治体のみなさんが支えてくれているので、将来は僕らが地域を支えたいですね」と梅原さん。気持ちはもう豊田市の桃・梨農家の一員です。
若手を迎えて互いに勉強。産地活性を目指す【里親農家インタビュー】
梅原さんの里親農家、山田正義さんは果樹栽培歴35年の大ベテラン。親から受け継いだ2haの園地は桃と梨が半々の割合。桃の栽培品種は、日川白鳳、白鳳、本白桃などで6月中旬から9月末までリレー出荷しています。
「ここは消費地の名古屋も近いので、完熟に近い味の良いものを出しています。産地がブランドになってきたので、若い人の考え方を吸収しながらお互いに勉強して、もっとPRできる産地にしたいですね」と、里親農家としての抱負を語る山田さん。
1年目は慣れてもらうことが大事。秋には肥料入れと剪定をして1年間のサイクルを覚えてもらう予定だそう。研修時間は9時から17時のため早朝作業の収穫は、来年、研修生の管理圃場で実践することになります。
「桃は3年で実がなるけど4年目までは辛抱強く木を育て、5年目から儲けにしていってほしい。梅原くんたち研修生には産地で仲間をつくって中心になってやってほしいですね。教えがいがありますよ」とエールを送る山田さん。
本来なら2年で独立は難しい桃と梨。失敗もするかもしれないけれど、研修生の圃場は目の届くところにあり、みんなで応援するのが「とよた」式です。
研修生、里親農家インタビュー【2組目】
(左から)
■第3期研修生:髙橋啓さん(33歳)
■里親農家:加藤吉裕さん(54歳)
桃・梨農家を目指してUターン【研修生インタビュー】
二人目の研修生、髙橋啓さんは愛知県一宮市の出身。大阪で空港職員をしていましたが、桃・梨農家を目指してUターンしました。
「以前から農業に興味がありましたが、非農家出身なので独立就農には少しハードルが高く感じていました。豊田市の研修コースは、2年間の研修後もJAの部会で出荷先が確保され、技術指導も継続してもらえるので、とても魅力に感じました」と話す髙橋さん。窓口の農ライフ創生センターで丁寧な説明を受け、産地での体験日が設けられ、農家の方々から直接話を聞けたことで不安が払拭されました。
現在、住まいのある名古屋市内から里親農家の元へ通い、桃と梨の栽培管理を並行して学んでいます。桃は、受粉、摘花、袋がけなどの作業、梨は摘花と翌年に向けた枝の誘引を終えたところ。できることは精一杯やって、教わったことは残さずメモを取っているそうです。
「一日中同じ作業が続きますが、自分にはそれが合っているのか没頭して一日があっという間です。慣れない姿勢は腰にきますが、早くコツを掴んで里親農家の加藤さんの圧倒的なスピードに追いつけるように頑張りたいです」と、ここまでの研修の感想を語ってくれました。
JA梨部会の目揃え会の見学では、地域の農家のつながりが感じられました。
「将来は部会員として他の農家と情報交換しながら、とよたの桃・梨をみんなで盛り上げることに微力ながら貢献していきたいです」と抱負を語る髙橋さん。農家になるという目標が、研修を通して一段アップしたようです。
産地活性のためなら、技術は惜しみなく教える【里親農家インタビュー】
髙橋さんの里親農家は、果樹栽培歴34年の加藤吉裕さん。桃1ha、梨2haで営農しています。豊田の梨は7月末から12月まで出荷され、特産品「愛宕」はJAジャンボ梨コンテストで全国1位を獲得した生産者がいるほどの名産地です。
「僕らが農業をやり始めた頃は若い人も多かったけど、その後は継ぐ人が少なくなり、畑を手放す人も増えて生産量が減っています。技術力が高い生産者が揃っているので、産地を守っていくために、農家の息子だけでなく、外からやる気のある人たちが来てくれたらうれしいね」と、里親農家を買って出た加藤さん。
農業の中でも難しい果樹栽培の技術を、ゼロからスタートする研修生に教えるために一年目は慣れてもらうことがテーマ。2年ですべてを教え切ることはできなくても、わからないことはいつでも聞ける関係性をつくります。豊田産の果物は市場評価が高いだけに、確かな技術を持つ農家を育てる責任を感じているといいます。
「一緒に産地を盛り上げてくれる人に技術は惜しみなく教えます。農家は個人経営だけど横の繋がりはとても大事。部会には情報を共有して自分が勉強したことはみんなに広めていいものをつくろうという文化があります。だから雰囲気がすごくいいんですよ」と加藤さん。仲間と助け合うチームプレイが「とよた」の農業の強みです。
お忙しい中取材対応頂きありがとうございました。
第4期生の募集がスタート!
豊田市では現在、2022年4月研修開始の4期生を募集中。経験や知識は必要ありません。「豊田市で桃・梨農家になる」という意欲があれば、県外からの応募も大歓迎。応募前に体験や見学することも可能です。
応募要件や研修に関する各種サポート内容は以下のとおりとなっています。果樹農家への興味がある方は、ぜひ一度、問い合わせてみてはいかがでしょうか。
募集人員:1~2名程度
応募要件:昭和49年4月3日以降に生まれた人
桃・梨を慣行農法(豊田市内の多くの生産者が実施している一般的な農法)で栽培する意欲のある人
研修修了後豊田市内で就農する人など
〇研修期間中
・研修期間中は国の制度である農業次世代人材投資事業(準備型)により年間最大150万円を交付(要件あり)
・損害賠償保険の加入
・経営開始に向けた相談窓口の開設
〇研修修了後(豊田市内で独立自営を開始)
・就農時に必要となる農業資材の購入等に要する費用の一部を補助(要件あり)
・国の制度である農業次世代人材投資事業(経営開始型)により年間最大150万円を交付(要件あり)
・農業経営や果樹園の紹介等の相談窓口の開設
【問い合わせ先】
愛知県豊田市 産業部 農ライフ創生センター
TEL 0565-43-0340 FAX 0565-43-0341
E-mail nou-life@city.toyota.aichi.jp