大雪山連峰に囲まれた自然あふれる旭川市西神楽
人口およそ34万人が暮らす旭川市は、札幌に次ぐ北海道第二のマチ。北海道のほぼ中央に位置し、雄大な大雪山連峰に抱かれ、石狩川と多くの支流が合流することから、肥沃な盆地が広がります。令和2年産のお米は、道内1位となる38,100トンの収量を誇ります。
今回、農業研修を実施する西神楽(にしかぐら)地区は美しい山々に囲まれ、北海道らしい景観が広がりますが、旭川市の中心部からは車で約20分。旭川空港までは約15分。バスだけではなくJRの駅もある交通のアクセスが大変良いエリアです。仕事は大自然の中で、休日は都会でというバランスの取れた生活ができます。
西神楽地区は旭川市の中でも広い農地を有する米農家が多いエリア。恵まれた生産地でありながらも、全国的に問題視される高齢化や後継者不足、離農などが課題です。
そんな西神楽地区で農業をやりたい方に楽しさを伝え、新規就農者をサポートするのが、研修生の受け入れ窓口となるNPO法人グラウンドワーク西神楽です。平成13年に地域の農家が主体となり結成され、現在は80名が活動に参加しています。農業だけでなく、パークゴルフ場や民泊を運営するなど、積極的にまちづくりに参加し、地域活性化に取り組んでいるのも特徴です。
2020年には旭川から富良野へと向かう道沿いにゆったりと過ごせるスポットを新設。コーヒーやアップルパイの販売ショップを展開し、人気を集めています。全国的に高齢化が進む農業組織の中でも、若者が多く参加し、活発な団体といえます。
どんな農業をやりたいのか要望を聴いて実習先を選定
西神楽地区ではお米を中心に、トマトやビート、小麦に大豆などあらゆる作物が栽培されています。また、加工品を得意とした農園や、家族経営から法人化された大規模農園など、経営の方法も多岐にわたります。
「お米だけでなく、最近では色とりどりのハーブを栽培する農家や、海外に販路を拡大する農家など、グローバルに活躍する人も増えてきました」と武田さん。具体的に育てたい作物が決まっている人、農薬に頼らない農業がしたい人、加工品のために作物を栽培したい人など、研修先は要望を聴いた上で決まるので、自分の目指す農業をピンポイントで経験できることが大きな魅力です。
移住研修は農業研修(5日間)、地域課題研修(5日間)の二本立て。休日2日を含めた12日間で実施されます。
研修受け入れの時期は10月上旬で、繁忙期を過ぎ、少し落ち着いていることが予想されます。残った収穫作業をしっかりと学べるだけでなく、農業や将来に関する悩みごとも相談できそうです。
地域課題研修は、座学が2日間、廃校を利用したたい肥作りの作業体験が3日間という構成になっています。地域とかかわりながら農業を営む西神楽での生活を、「お試し」体験することができます。
前職は上場企業!全くの異業種からトマト農家として新規就農
17年前に北海道へ移住し、西神楽で新規就農して15年目を迎えた里木さん。神戸の出身で、化学系の大学院を卒業後、上場企業のメーカーで会社員として働いてきました。30歳を過ぎた頃から、どんなに頑張っても会社の歯車であり、やりがいを感じづらいことに悩んでいました。
ペンションやコンビニの経営も頭をよぎる中、転機が。趣味で始めた家庭菜園で作ったピーマンを食べたお子さんが「お父さんの作った野菜はおいしい」と笑顔になったそうです。その時に第二の人生は「生産者の顔が見えるものづくり」がしたいと思い、北海道への移住を決意されました。
現在は1.2haの土地にハウス8棟を建て、大玉トマトの『桃太郎』を栽培。農協は通さずに自分で販路を開拓し、市内のスーパーのご当地野菜コーナーに生産量の8割、残りをネット通販などで販売しています。
西神楽は朝と夜の寒暖の差が大きいため、甘みが強く、酸味とのバランスの良いトマトが栽培できます。生産者と消費者の関係も近いので、直接「美味しい」という言葉をもらえる日々にやりがいを感じると話します。
先輩農家の元での農業体験をきっかけに、本格的に就農を目指した里木さん。農作業を教えてもらうのはもちろんですが、将来設計をどのように立てたらよいのか、何から始めるべきなのか、色々なアドバイスを受けたそうです。
「農業をする中で、本当の田舎暮らしではなく、都会の旭川というところが精神的にも良かった」と振り返ります。学校も病院もスーパーも車で20分圏内に揃う西神楽は、里木さんのように家族と一緒に移住を考える方にも安心できる環境です。
「旭川はなんでも揃うので生活に困ったことはありません。就農を検討される方は、いきなり田舎の生活に飛び込むよりも、これくらいの地域の方が安心だと思います」と里木さん。
里木さんのトマト農園も今回の研修の受け入れ先の一つです。作物の栽培だけでなく、先輩移住者として、移住するにあたってのさまざまな疑問や不安も相談できるでしょう。
身体を動かすだけが農業じゃない!数字や経営知識で地域を支える
これからの農業は身体を使うだけではなく、頭も使わなければならないと理事長の武田さん。「農家さんは作物の栽培で大忙し。数字を管理できる人も必要だ」と話します。
経営や事務に関わってきた方も大歓迎です。組織をマネジメントした経験のある方や、販路拡大の知識がある方、ブランディングを得意としてきた方など、これまでの経験を農業という舞台で生かしてみたい方にもおすすめです。北海道西神楽の農業を一緒に支え、地域を元気にしたいという仲間も募集します。早期退職者や、北海道で第二の人生を歩みたい方もお気軽にお問い合わせください。
研修の要綱・問い合わせ
研修要綱※西神楽地区の研修募集は終了しました※
日程 :2021年10月4日(月)から2021年10月15日(金)
研修場所:北海道旭川市西神楽地区
宿泊場所:民宿にしかぐら(北海道旭川市西神楽2線16号278番3)ほか近隣の宿泊施設
※宿泊費は1泊4500円(素泊まり)
持ち物 :長靴・作業用の汚れても良い服・寝間着・軍手
応募条件:60歳未満で、農業など一次産業に関心を持ち、研修の全日程に参加できる方
補助 :現地までの往復の旅費、1日あたり1万円の宿泊手当、農業研修時の手当(研修地域の最低賃金の半額程度を目安に稼働時間分)
備考 :昼食の提供あり(有料)
研修概要
本研修は、農林水産省の令和3年度農山漁村振興交付金(地域活性化対策(人材発掘事業))の一環として、一般社団法人全国農協観光協会が主体となって企画している研修プログラム「アグとり」のひとつです。
「アグとり」とは、農業体験や地域の課題解決に向けたワークや取り組みなどを通じて地域の生活を体感し、その土地に移住したり関わって生きていったりするきっかけを作る、短期研修プログラムです。プログラムを通し、農あるくらしで関係人口を創出し、持続できる地域づくりを目指していくことが目標です。
研修先は、経済産業省や農林水産省などが定めた全国津々浦々の「スマート定住条件強化型モデル地区」を中心に全国10地区から選べます。各地域が抱える課題の解決に向け、多様な取り組みを積極的に行っているエリアであるのが特徴です。研修内容も就農研修がメインだったり、地域課題を解決する研修があったりと地域の実情に応じてさまざまです。
「地方に移住したいけれど実際どんな地域なのかわからず不安」「新規就農したいけれどどこで何をすればいいかわからない」、そんな方におすすめのプログラムです。
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