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今こそ外国人雇用を 採用や定着のポイントを解説

今こそ外国人雇用を 採用や定着のポイントを解説

慢性的な人材不足を抱える農業界では、もはや外国人労働者はなくてはならない存在となっています。私の経営する朝霧メイプルファームでは、10年以上にわたって技能実習生をはじめ、多くの外国人を雇用してきました。本記事では実習生にとって働きやすく、より多くの労働者に働き口として選ばれる職場づくりのノウハウのほか、農場経営にとってプラスとなるような仕組みづくりについて紹介していきます。
(書き手 朝霧メイプルファーム社長・丸山純)

技能実習生・特定技能外国人を採用する意義

朝霧メイプルファームは、乳牛を450頭、肉用子牛を100頭ほど飼養する酪農牧場です。直近の売上高は7億5000万円ほどで、中~大規模の部類に属するかと思います。従業員は日本人が12人程度働いていますが、このほかに技能実習生も6人います。

おかげさまで当社への志望者はそれなりにいるので、スタッフ全員を日本人にすることもできますが、メイプルファームの運営には技能実習生の存在が欠かせません。理由を交えながら外国人を雇用するメリットについて説明します。

簡単に辞めない

まず第一に、簡単に辞める人が少ないという点です。日本人を雇用する上で、1年も持たずに離職してしまいせっかくの教育が無駄になってしまった、という話はよく耳にします。当社でも3年以内の離職率はゼロではありません。一方、今まで当社で働いてくれた外国人は、ごくまれに職場との相性が極端に悪いケースを除いて、満期まで頑張ってくれる人がほとんどでした。経営者としては、3年ないし5年間継続して活躍してくれるとあって、労力の計算もしやすいです。

元々当社では、先代社長が朝霧メイプルファームを法人化する際に、労働力を補うために海外実習生を採用しました。日本人スタッフがなかなか集まらない地域でも実習生なら来てくれる。そういう話もよく聞きます。

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朝霧メイプルファームではインドネシア実習生が活躍しています!

日本人スタッフのサポート役として活躍

朝霧メイプルファームのスタッフの1日の労働時間は8~9時間程度です。生き物を相手にする仕事ですが、残業はごくまれにしかありません。
技能実習生は時給制、日本人スタッフは月給制をとっています。その違いが日本人スタッフの残業をなくすことの調整に一役買っています。

技能実習生は日本人スタッフよりも早く仕事が終わるような仕事量になっています。基本的には搾乳や掃除などの担い手として活躍してもらっていますが、そのなかで例えば分娩(ぶんべん)が相次ぐなど、作業が多そうな日は長く働いてもらうことで、日本人をサポートしてもらっています。

私が思う、技能実習生のいいところ

私個人の思い込みを多分に含みますが、実習生のいいところはその「エネルギー」にあると思います。
彼・彼女らはみな発展の真っただ中にある国からやってきます。かつての日本がそうだったように、人口増加に伴う経済発展は、国全体にダイナミズムを生み、特に若者は野心や希望に満ちているように思います。先述した簡単に辞めないという話とも重なりますが、ちょっとくらいの苦労はものともしません。日々の仕事でも、重いものもどんどん運んでしまいます。

日本という国では、そういう熱はすでに失われつつあるように思います。それ自体を批判しているのではありません。日本には成熟した国ならではの良さがありますが、実習生の突き抜けるような元気さを見ていると、時々うらやましくなります。

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ベッド掃除を丁寧にやってくれています

限りのある雇用期間

これは大事です。単純作業はいずれ機械に置き換わります。この流れは進むことはあっても逆行はしないはずです。すでにロボット化は始まっていますが、将来搾乳ロボットの普及率は限りなく100%に近付くでしょう。もし仮に単純作業がすべて機械に置き換わったら、経営者が作業者を解雇するという流れが生まれてくるかもしれません。

そういう意味では、雇用期間が限られる特定技能外国人や技能実習生を担い手として雇用するメリットは大きいです。彼ら彼女らにとっても、お金を稼ぎながら、技術の研さんや経験を積む。母国に帰って技術や経験を還元する。手にしたお金を元手にビジネスに挑戦するなど、双方にとってメリットは大きいと思います。

実習生雇用のポイント

外国人を雇用しようにも、うまくいっていないケースは少なくありません。
ここからは実際に、朝霧メイプルファームの経験に基づくアドバイスをしていきます。

生活環境、労働環境を整備する

当然のことですが、劣悪な環境の職場に実習生は来ません。まれに人権をないがしろにするようなブラックな農場で、奴隷のように働かされる、といったニュースを目にすることもありますが、それはごく一部で、そしていずれ淘汰(とうた)されていくことでしょう。なぜならそういったネガティブな情報はすぐに拡散されるからです。ネットやSNSを通じて、すべての情報は筒抜けになっています。悪い噂がたつ会社には志望者は集まりません。

逆もしかりです。いい環境の農場だと実習生から本国の仲間に知れ渡れば、志望者が増え、採用でもより良い人材を選ぶことができます。

直感的に伝わるマニュアルを作る

言葉でのコミュニケーションに難しさを感じる場面も多いでしょう。そうした場合は作業のポイントを伝えるために、直感的に伝わる写真のマニュアルをできるだけ用意しましょう。

例えば当社では、作業における危険な状況などを説明する、危険防止マニュアルを用意しています。

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どこに手を入れると危険か示したマニュアル

作業のチェックリストをつくる

言葉で伝える部分が多く、マニュアルにできないものであれば、何を覚えてもらえばいいかポイントをリスト化し、それができているかどうか研修後にチェックする、という方法もあります。これなら日本人スタッフ向けのマニュアルをそのまま流用できます。

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搾乳作業におけるポイントを示したチェックリスト。回数などが具体的に示されている

チャットツールでコミュニケーション

社内コミュニケーションはチャットツールのLINE WORKS(ラインワークス)を利用しています。海外実習生にもアカウントを発行しており、連絡などをすることができます。

翻訳機能もあるので、日本人スタッフ間で話していることをある程度理解することもできます。
チャットツールは記録が残るので指示漏れを確認することもできますし、顔を見て言いにくいことを相談しやすくなるという利点もあります。ぜひ検討してみて下さい。

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連絡事項はチャットツールを通じて行います

実習生を評価する

朝霧メイプルファームでは、実習生を評価することも大切にしています。
社内チャットツールに実習生を評価するトークルームが用意され、そこでは日ごろの作業で実習生が頑張ったこと、良かったこと、あるいは指導したことを報告します。
そういった情報を2カ月ごとに集計し、評価面談を行っています。
更にその成績に応じて、新たな仕事を覚えてもらったり、責任のある管理的業務についてもらうなど、インセンティブがつくようにしています。

かつてはどんなに指導しても仕事に対して不真面目な実習生もいて、大変手を焼きました。しかしこれらの仕組みを始めてから徐々に、減点ばかりだった彼が、どんどんと褒められることが増えていきました。
大切なことは指導することだけじゃない。どんなに小さいことでも、たとえ強引でも褒める場所を探す。それを形に残し、伝えることが成長の鍵なのだと、気づかされたように思います。

優秀な実習生を採用するために

大前提として、働く環境を整えることが大切。不当賃金など言語道断です。

採用面談で心がけているのは、農場で今働いている実習生を面接官の一人として使う、ということです。同じ環境で密に暮らす中で、スタッフ間の相性は大切です。現スタッフの声は大事にしたほうがいいでしょう。

これは個人的な話になりますが、20代のとき、技能実習生と一緒に仲間として働けたことは大きな財産になりました。国も宗教も文化も違う人間と、同じ職場で働けたことが、私の人間としての幅を大きく広げてくれたのです。研修を修了した実習生の家を訪ねて、ネパールとインドネシアに旅をすることになりました。

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ジャワ島にて。とてもあたたかく迎えてくれました

特に若い経営者や農場スタッフには、海外実習生と仲良くなることをおススメします。彼らのエネルギーをもらうことで、自分自身の成長にもつながると思います。

本音で語り合いましょう。そしたら国境なんてなくなります!

外国人を雇用するうえでは、このような受け入れ側が抑えておくべきポイントや、知っておくべきことが多数あります。マイナビグローバルでは、農業で外国人採用を検討する農業経営者や採用担当者へ向けて、外国人材紹介や支援サービスについての説明資料をお送りしています。採用に関する相談にも応じておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

資料請求・採用のご相談はこちら

【筆者プロフィール】

丸山 純
大学卒業後映像制作会社に勤務。牛に一切かかわらないまま父親の経営する牧場に就職。10年にわたる酪農修行を経て、現在は朝霧メイプルファーム社長に就任。富士山と酪農の魅力を世界中に届けるべく、日々邁進中。
著書「こうすれば農場はもっとうまく回る」等、DairyJapan社から数冊上梓。
http://www.maplefarm.jp/

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