トイレの維持管理費を削減し、カーボン・オフセットにも貢献
桑名市の北部に位置する多度山。標高は403mと低山だがその眺望はすばらしく、広大な濃尾平野を一望できる。麓から多度山上公園まで登山道が整備され、徒歩で約1時間とあって、年間で約13万人が訪れる人気の山だ。しかし、近年、山上公園に設置された水洗トイレの老朽化が問題になっていた。
桑名市産業振興部観光課・課長の黒田法雄さんによれば、市が水洗トイレを設置したのは1980年頃。近年はコロナ禍でアウトドアレジャーのニーズが高まり、多度山の登山客も増加したが、排泄物を押し流すのに使う水の供給が追い付かず、業者に頼んで何回も水を運搬していた。「週に2、3回、麓から山上まで軽トラックに水を入れたポリタンクを満載して1日3往復。ゴールデンウィークなど長期休暇の際にはそれでは全然間に合わず、半日から1日かけて何度も往復してもらいましたし、トイレに関する苦情のメールをいただくこともありました」と黒田さん。多度山のトイレは環境面でも維持管理の面でも、市にとって大きな課題になっていた。
バイオトイレなどの導入も検討されたが、遠隔地にあるため薬品や菌類などの定期的な添加が難しく、メンテナンスや維持費などの費用対効果を考えた場合、メリットを見出すことができなかった。
完全循環式トイレ『エコノワユニット』はイニシャルコストはかかるものの、基礎工事や下水道の設備は不要。ランニングコストやメンテナンス費用もほぼかからず、維持管理費が年間で約370万円削減されるとあってメリットは非常に大きい上、電力は全て太陽光と風力による自然エネルギーでまかなわれ、コストがかからない。『エコノワユニット』導入により、ライフサイクルCO₂の排出量は年間で約0.9tの削減が見込まれている。黒田さんは「カーボン・オフセットに貢献できるトイレを導入することは、昨年桑名市が行った『ゼロカーボンシティ宣言』にも合致すると考えました」という。
設置された『エコノワユニット』は多度山の自然に溶け込むような、ボタニカルで楽しげなデザインだ。2基のコンテナを連結した大容量タイプには男性用トイレと男女兼用トイレ(処理能力:200回程度/1日)、コンテナ1基分の標準タイプには女性用トイレ(処理能力:60回程度/1日)が搭載され、広さも一般家庭用の水洗トイレとほぼ変わらない。
処理槽にはボルカナイトと呼ばれる高性能の排水処理ろ材が入っている。天然成分の黒墨土を主体としたボルカナイトは、表面に大小多数の穴が開いており、住み着いた原生動物やバクテリアにより汚濁物が分解される仕組みだ。再処理後の洗浄水は無色・無臭で大腸菌も検出基準未満。水はリサイクルして使うことができるため給水の必要はない。
デジタルサイネージの活用で環境と経済の好循環を創出
トイレの側面にはデジタルサイネージが取り付けられ、QRコードを読み取ることで、地元の商店や飲食店、天然温泉などで使えるクーポンが取得できる。
黒田さんは「『エコノワユニット』の導入は、市が抱えていた環境・経済両方の課題を解決していくきっかけとなりました。これまで地元にお金を落とさないといわれてきた登山客をデジタルサイネージで商店街に呼び込み、地域経済が潤うようになれば、その一部を多度山の環境整備費として還元していただき、経済と環境の好循環を生み出すことができます。将来的には地域の事業者と連携して『多度山グリーン好循環創出事業』を更に拡大していきたいと思います」と期待を寄せる。
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