雑草対策に防草シートを使うわけ
農家であれば、誰もが畑の「雑草」に頭を悩ませているのではないでしょうか。皆さん、いろいろな対策をしていると思いますが、タケイファームで行っている雑草対策は4つ。
- 手刈り
- 刈払機
- 乗用草刈り機
- 防草シート
これら4つの対策を、栽培している作物や場所、時期によって使い分けています。
1~3は、生えてきた雑草を処理する作業なので、いずれも労力と時間がかかります。除草剤という方法もありますが、今まで使ったことがないので、タケイファームの雑草対策からは外しています。
いずれにしても、草刈りは大変な作業です。やはり「雑草を生えないようにするのが一番!」と考えると、4の防草シートという選択にならざるを得ません。
防草シートのメリットが、雑草を防ぐことだけではないというのも選択の理由です。通路を歩きやすくすることができるので、収穫などの作業効率のアップにもつながります。
防草シートを使う場所
ホームセンターなどで手軽に入手できる防草シートは、幅がだいたい1メートルなので、畝間が1メートルくらいの作物に適しています。タケイファームで使用している防草シートは、幅1メートル、長さ50メートルのもの。使う場所の畝の長さはほとんど決まっているので、その長さに合わせて切ってしまえば何回も使うことができます。余った分は切らずに巻いたまま畑に置いておいても問題ありません。新規就農者など自分の畑の栽培計画が安定していない人は、切らずに巻いておいた方が安心かもしれません。
タケイファームでは苗作りの際、防草シートの上に苗を置いています。
雑草を防ぐことで虫対策にもなります。
防草シートを使わないほうが良い場合もある
少量多品目農家の場合、いろいろな野菜を栽培しているため、全ての作物に使うことは難しいかもしれません。タケイファームでは、畝間が1メートルよりも狭い、サボイキャベツやカーボロネロに使うことはできませんし、土寄せが必要なネギにも使うことはできません。また、タケイファームのスペシャリテ(代表的野菜)でもあるアーティチョークは、畝間が2メートルあることと栽培面積が広すぎることから、これも使うことができません。幅が2メートルの防草シートも販売はされていますが、コスト的に合わないという理由で使っていません。
冬場の防草シートの使用には注意が必要
防草シートは雑草を防ぐためのものですので、あまり雑草が生えない冬場には使わなくてもよいでしょう。しかし、栽培期間が長く冬を越す品目の場合は、敷きっぱなしにしています。
タケイファームではビーツを栽培する際、9月の播種(はしゅ)の前にマルチと防草シートを張ります。12月ごろに収穫期を迎えますが全てを収穫せず、一部を残して4月まで育ててトウ立ちさせます。そして、ビーツの葉のわき芽を「ビーツの穂先」として販売しています。このように栽培期間が半年以上になりますが、防草シートのおかげで草取りという作業のストレスから解放されています。
しかし、冬の間、霜が降りるとシートを押さえているUピンが浮いてくるので、毎日確認し、浮いたUピンを見つけたら挿し直す必要があります。
半年以上栽培期間がある野菜といえば、スナップエンドウやグリーンピースがあります。露地栽培では、10月後半~11月前半に種まきをし、収穫は4月後半以降。冬に草は生えにくいのですが、長期間にわたる栽培で収穫時には草が生えてくることを想定して防草シートを使いたくなるところです。結論から言うと、やめておきましょう。
スナップエンドウやグリーンピースは、草丈が10センチほどで越冬させます。ビーツのところでも書きましたが、冬は、霜が降りて防草シートを留めてあるUピンが持ち上がり、風が吹くと防草シートがすぐにめくれてしまいます。めくれてしまった防草シートは風にあおられ、幼苗を傷めてしまいます。張るのであれば、霜が降りない時期になってからです。
これは私が実際に経験した失敗です。
防草シートのコスパは?
現在使っている防草シートは、ホームセンターで購入したものです。幅1メートル、長さ50メートルのサイズで5580円のものを6巻購入したので、33480円。これに防草シートを留めるための、Uピンが必要となります。Uピンは、長さ30センチのものが50本1780円(価格は全て税別)、これを5セットほど購入。「高耐久防草シート」というネーミングで使用目安は5年と書かれていますので、4年は大丈夫、少なく見積もっても3年は使えるのではないでしょうか。
6巻分の購入価格33480円があれば、刈払機を購入することができます。もっと安いものもあるので、そっちのほうが良いという考えの人もいるかもしれません。しかし私個人の考えでは、刈払機にはその都度燃料が必要となりますし、何より労力と時間が取られますので、圧倒的な差で防草シートに軍配が上がります。
敷き方の3つのコツ
私が防草シートを敷くときに気を付けていることは、次の3つです。
1. 敷く前にしっかりと除草する
タケイファームでは、マルチを張るときに一緒に防草シートを張るパターンが多いので、基本的に事前にトラクターで耕すため雑草の処理は済んでいます。
2. 隙間(すきま)を作らない
防草シートのつなぎ目などに隙間ができると、その隙間から雑草が生えてきますので、つなぎ目は必ず10センチ以上重ねることが重要です。
3. 地面にしっかりと固定する
防草シートを固定するためにUピンを使いますが、強風であおられたりしないように、地面との隙間ができないように固定します。
Uピンをケチったせいで起きた大きなミス
シートも大事なのですが、それを固定するピンもとても大事です。
初めて防草シートを張った時の話です。シートを固定するピンを選んでいた時、いろいろな種類の中から、値段を優先し安いピンを選んで大失敗をしました。
長さ15センチの釘のような形状のものを購入したのです。「硬い土壌にも打ち込めます」などと表記されていて安心していたのですが、防草シートを張り終えた瞬間、強風が吹いて釘が抜け防草シートは剝がれてしまいました。
後で調べたら、Uピンでは曲がってしまう硬い土壌向けに作られているようで、タケイファームのふかふかの土には合わなかったのです。庭の雑草対策で張る防草シートを押さえるのに向いているのかもしれません。
現在は30センチの長さのUピンを使用しています。一般的なUピンを打つ間隔は50センチに1本のようですが、経費の節減もあり、私の場合は1メートルに1本の間隔で打っています。この間隔で台風がきても防草シートは飛ばされませんでしたので、多分ギリギリの間隔だと思います。心配な人は50センチで打ちましょう。
大切なところなので念を押しますが、防草シートの間に隙間ができると雑草が生えてきます。それを防ぐために、隙間を作らず、強風でシートが飛ばされたりしないように、畑にしっかりとシートを固定する必要があります。ここをしっかりやることで、雑草のストレスから解放されます。
農作業と切っても切れない雑草。その対策にはいろいろな手段がありますが、ただでさえやることが多い少量多品目農家。草取りというストレスと労力を省力化して、そのエネルギーを販売に向けたり、ブランディングに向けてみてはどうでしょうか。とりあえず、畝1本、防草シートを試してみることをおすすめします。