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ビニールハウスの高温対策 小規模農家の小さなハウスでもできる

伊藤 雄大

ライター:

ビニールハウスの高温対策 小規模農家の小さなハウスでもできる

真夏の強烈な太陽光を浴びて灼熱の空間と化すビニールハウス。植物のためにも、人間のためにもできるだけ涼しくしたいものです。現在は、ハウスの温度対策に関わるさまざまな方法や設備がありますが、今回は小さな農家でもできるような、あまりコストのかからない対策を紹介します。

小さなハウスほど暑くなる

40度付近の温度計

真夏日は、小さいハウスだと午前10時の時点ですでに40度近くまで上がる

真夏の強い直射日光で暖められたビニールハウスの中は一気に温度が上昇します。
たとえば、筆者のハウスの場合。入り口を全開にし、サイドのビニールを限界まで開いて万全に換気をしても、午前中には40度以上に、正午には45度付近まで温度が上がります。
人間からすると作業どころではありませんし、そんな環境では野菜や育苗中の苗なども当然、弱ってしまいます。

筆者が育苗ハウスとして使っているビニールハウスは、間口5.5メートルで長さ10メートルというとても小さなものです。
大きなハウスや、面積の大きい連棟ハウスよりも暑くなりやすく、真夏の7月上旬〜8月上旬にかけてタネまきをする秋野菜の育苗には苦労してきました。カリフラワーやブロッコリーなどのアブラナ科は発芽適温が25度程度と夏場にしては低く、そのなかでもキャベツのような高温では発芽しにくいものはうまくいきませんでした。
そこで、わが家のハウスではいくつかの工夫をしています。取り組みやすいものから順に紹介していきましょう。

夏育苗には白のセルトレイ

白いセルトレイ

白いセルトレイにまいたカリフラワー

秋野菜の夏まきには、ふつうの黒色ではなく、白色のセルトレイ(タキイの「根巻防止セルトレイ」)を使っています。

「ただ、色が違う」というだけですが、その効果は侮れず、夏の育苗の場合はこれで発芽率がぐんと上がりました。真夏の畑で使う白マルチと同じように、白色が太陽光を反射し、セルトレイ内の「地温上昇」を抑えてくれるからです。

タネまき後は、セルトレイの底を地面から浮かせて置くことも肝心です。日光で温まった地温の影響を受けないうえ、底を吹き抜ける風によって、かん水時に濡れた地面の水分が蒸発する際に地熱を奪います。つまり、打ち水の要領で苗を冷やしてくれるのです。

なお、白色のセルトレイは、黒色のものよりも直射日光によって劣化しやすいように思います。保管する際は日陰に置くなど、扱いには気をつけてください。

熱だまりを抜く空動扇

空調扇外側

栽培中のトマトハウス。天井についている黒い煙突のようなものが空動扇

ハウス内の温度そのものを下げるためには、換気をできるだけしっかりするように気を使っています。

ビニールハウス内で暖まった空気は、天井のほうへ昇り、ハウス内を暖めていきます。停滞した暖気を抜くには入り口やサイドを全開放するだけでは不十分で、天窓や妻窓といった天井の換気設備を設置するのがふつうです。

空動扇内側

空動扇。温度が一定以上になると、ハウスの内側にあるフタが開いて換気を始める

筆者のハウスで使っているのが「空動扇」という煙突型の換気扇です。この道具の素晴らしい点は、電気が必要ないところ。つまり、付近に電源がないハウスでも使えるのです。

空動扇は、金属が熱によって一定程度緩むと、自動でフタが開いてファンが回転し、天井の暖気を煙突のように排出してくれる仕組みです。開閉用の金具をいじることで、フタが開閉する(換気をする)温度をある程度調整することができます。

単純な構造なので、天窓や妻窓よりも比較的安価で購入できるうえ、天井のビニールを少し切って、ズボッとはめこむだけなので、設置も簡単です。1台当たり30分もかかりません。わが家のハウスには2台設置していますが、必要な台数はハウスの大きさや高さ、目標とする温度によって変わるので、注意が必要です。

入り口から天井へ、という空気の流れが生まれたことで、特別暑い日以外は外気温より少し高いくらいに抑えられるようになりました。

夏場にハウスでメロンを栽培しているご近所さんは、遮光シートを使わず、循環扇と肩換気だけで暑さ対策をしています。原理は空動扇と一緒で、天井にたまる熱だまりを循環扇(大型の扇風機)で崩しつつ、肩換気(ハウスの「肩」より上のビニールを開閉する装置)で抜く、という方法です。そのハウスは外よりも涼しく、ただ換気をすることで、ここまでハウスは涼しくなるのか、と驚きました。

最後の手段で、遮光シート

わが家ではビニールハウスを育苗ハウスとして使っているため、育苗中の苗の徒長を抑えるために、遮光シートを張るのは最後の手段としています。徒長した苗を畑に植えると、日照環境が劇的に変化するため活着しにくく、根付くまで何度もかん水するはめになるからです。

それでも猛暑日が続き、キャベツの播種(はしゅ)から芽出しまでの期間とどうしても重なる場合は、ハウスの天井を外側から覆う外張り用の遮光シートで覆います。温度抑制効果は素晴らしく、遮光率40パーセントのシートだと、外気温とほぼ同等までハウス内の温度を下げられ、仕事をするにも快適です。

ハウスでの果菜類の抑制栽培など、育苗するのが目的でなければ、遮光シートは手っ取り早く温度を下げられます。

ただ、外張りは設置作業が少し大変で、張るために無風の日を選んだり、人手を集めたりしないといけないので、気軽には取り外しができません。

その点、ハウスの内側に遮光シートを張る「内張り」は、ハウスの骨組みを工夫することでカーテンのように気軽に開閉できるところが特徴です。日照量に合わせて遮光したいという人にはこちらのほうがオススメです。

このように、ビニールハウスを涼しくするにも、簡単なものから大掛かりなものまで、さまざまな方法があります。それぞれの実情に合わせて、まずは簡単なことから始めてみてはどうでしょうか?

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