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マンゴーをおいしく食べるには手間をかけて栽培! 育てやすい仕立て方でとれたてを楽しもう

マンゴーをおいしく食べるには手間をかけて栽培! 育てやすい仕立て方でとれたてを楽しもう

味質と香りが抜群に良いマンゴー。夏の果実の代名詞とも言える。そのおいしさに魅了されて、食べるだけではなく栽培したい!という人もいるのではないだろうか。実は、マンゴーは完熟収穫されることが多いため、流通にかかる日数分、食味が落ちてしまう。マンゴー本来のとれたてのおいしさを堪能するためには、自分で栽培するのが一番だろう。そこで今回は、マンゴーの基本的な性質や栽培方法、そしてより生育がうまくいくためのポイントを紹介する。

マンゴー栽培は手はかかるが楽しい!

木にぶら下がる玉文(ぎょくぶん)種は大玉になることで知られる。筆者が手に持っているのは流通量の多いアーウィン種。比較すると一目瞭然

マンゴーの栽培というとどのようなイメージがあるだろうか。
他の果樹と比べて難しそうとか、手がかかりそうとかいう人も多いのかもしれない。
確かに、マンゴーにつく病害虫などは一般的な果樹よりも種類が多く、防除に手がかかる。また、木自体の生育スピードも早いため、管理を怠ると枝が自由に伸長し、果実収穫をするための樹形を作ることが大変だ、ということも言われている。このように厄介な性質もあるが、一方で、マンゴーの性質を十分に知って栽培すると、かなり楽しく育てられる。
また鉢植え栽培も可能であるため、ある程度のスペースがあればベランダでの栽培もできる。市場に流通しているのはアーウィン種が多いが、実は品種はとてもたくさんあるため、自分で育てることで多様な品種の味を楽しめるはずだ。ぜひ、マンゴーの栽培に挑戦してほしい。

マンゴーの基本的特性

低く仕立てられたマンゴーの木(キーツ種)

マンゴーは、ウルシ科の仲間であり、果肉や果皮に触れるとまれに皮膚炎を起こす人もいる。漆アレルギーを持つ人や、接触性皮膚炎などを経験したことのある人は、注意が必要だ。また、マンゴーは熱帯国原産であり、低温には弱い。基本的に冬季は5℃以下にならないように管理をする必要がある。その他、受粉には虫が必要であり、雨に直接当てない栽培を行う必要もある。ただ、マンゴーは1本でも結実するため、複数の木や特定の受粉樹などは必要ではない。

雨に直接当てないために、屋根は必要不可欠

筆者らの育てるマンゴーのビニールハウス

一般的に、マンゴーの栽培を有利に進めていこうと思うのであれば、ビニールハウスを活用することが求められる。ビニールハウスの目的は、雨が木に直接当たることを防ぐということと、冬季の加温である。

沖縄県だと、全方位を囲うビニールハウスは必要不可欠ではないが、雨が直接当たらないような簡易的な屋根やバリアはほしい。鉢植えなどで栽培している場合は、ホームセンターなどで販売されているパイプなどを使用して簡易的な枠組みを作り、上面にビニールシートなどを張って雨をしのいでもよい。雨が木に直接当たると問題になるのは、炭疽(たんそ)病などの病気と、開花時期の受粉不良である。炭疽病などは、カビが原因で発生するため、直接雨が当たると防ぐのが難しい。
また、マンゴーの花は、将来的に果実を太陽光にしっかり当てるため、花の段階で葉よりも上につるしていることも多い。そのため雨が直接当たると脱落してしまったり、花粉が機能しなかったりすることがある。

本土での栽培の場合、無加温だと冬の低温で枯れてしまう可能性が大きいので、5℃以下にならないような空間が保てる環境が必要である。沖縄県や南西諸島では無加温のビニールハウスで、宮崎県や鹿児島県本土では、加温ハウスで栽培が行われている。

苗を用意して植え付ける

苗木は、品種がはっきりとわかる接ぎ木苗を用意する。沖縄県ではホームセンターや種苗店で販売されていることが多い。本土であれば信用できる業者やインターネット販売をされているところから取り寄せるとよいだろう。
タネからの栽培の場合、開花までに時間がかかり、果実収穫までにかなりの時間がかかるのであまりおすすめはしない。果実を食べた後のタネを植えて、発芽した苗がそこそこ大きくなれば接ぎ木をして、早期に果実をつけるような木を作ることも可能であるが、うまくいくことは少ないので強くおすすめはしない。

接ぎ木苗を植え付ける場合は、pHが5.5から6.5程度の弱酸性土壌を、50センチ程度の高さに盛り上げて定植する。その際、植え付けた苗を支えるための支柱を設けて、苗が動かないようにしっかりと固定する。複数本植える場合は、6×6メートルほど間隔を空けて植え付けを行う。将来的に枝を横に広げていくため、十分な間隔があった方が良い。

苗木は、小さいうちから低木に仕立てる準備をする

木の高さは身長よりも低くすることを目標にする

屋根が必要となると、木は大きくできないため、基本的には低木仕立てになる。
海外では、ビニールハウスを使わずに、樹幹を大きくして、果実を枝葉の上につるさず枝葉で雨風をしのぐこともあるが、それは炭疽病に強い品種であったり、湿度が低い地域だったりと、環境などの条件がそろっている場合だ。日本のように多雨で湿度も高い環境での栽培だと、あまりオススメはできないため、質の良い果実を作るためにも、雨よけを設け、低木に仕立てるのが理想である。

海外のマンゴーの木の一例

低木にしようとすると、早期に枝を剪定(せんてい)したり、整枝をしたりして、ある程度の樹形を完成させる必要がある。マンゴーは熱帯果樹に属し生育スピードが速いため、放っておくとすぐに大きくなって、ビニールハウスの天井についてしまう。
そのため、幼木のうちから、枝をちょっとずつ誘引し、広く、低く仕立てていく必要がある。

低木仕立ての方法

主幹を止めて、低めに仕立てていく

主幹を切らないとどんどん高くなっていくため、30センチ程度のところで主幹を切り、主枝を3本ほど選んで地面と水平よりもやや斜め上向きに誘引する。きっちり水平にしすぎたり、下方にしすぎたりすると、樹勢が鈍り生育が悪くなる。枝の先端は上を向いていた方が良い。
主枝と、そこから出てくる亜主枝は、樹形を作る枝として固定する。

苗が小さい時から樹形を作っていく

上写真の苗木は、最近導入した紅龍(こうりゅう)という品種である。このくらいの幼木から徐々に仕立てていき、最終的に盃状(はいじょう)形を目指していく。この写真は、主幹を止めて、主枝が2本出てきている状況である。これをこれから徐々に曲げていく。

水を入れたペットボトルを使うと、枝の誘引で失敗しにくい

家庭菜園レベルの果樹栽培で誘引をする場合、下方向へ引っ張るひもは、水を入れたペットボトルなどにくくりつけるのがおすすめだ。飲み終えたペットボトルの凹部にひもを巻くだけでよいので、材料費もかからない。持ちやすく、仮に落としたとしても、ペットボトルの素材が柔らかいので、けがも少ない。杭などのようにひもを固定しておらず、オモリであるペットボトルの位置を変えられるため、枝を引っ張るひもの張力や向きを簡単に変えられるし、初心者でも失敗が少ない。

剪定はここに気をつけよう!

節の上と下での剪定の違い

マンゴーの剪定は、新しく枝が出たり、枝が伸長したりして樹形が徐々に変わるたびに、誘引と同時に行っていく。

ただし、マンゴーの剪定は、節を残すかどうかで大変さが変わるため、特に気をつけてほしいのは節部である。なるべくなら、節の下で剪定をした方が管理が楽で良い。節の上で剪定すると、節にある潜芽(休眠状態の芽)が一気に刺激され、多量の新梢(しんしょう、今年伸びた新しい枝)が出てくることが多い。そうなると、枝が混み合ったり、間引き剪定が必要になったりするため、余分な作業が増える。一方、節の下で剪定をすると、ある程度方向の予想できる新梢が出てくるため、管理もしやすい。日頃の枝の管理や、樹形を作っていく際の参考にしてもらいたい。

花が咲いたら花つりと受粉虫の導入

マンゴーの花の開花の様子

マンゴーの花は、品種にもよるが、沖縄県だと1月下旬あたりから徐々に開花してくる。
房状の花序(花のつき方)で、枝に1000程度の小さい花をつける。花の重さで下向きに垂れるので、これを誘引ひもで上向きに引き上げ、つるしておく。後々実る果実をしっかりと太陽光に当てる目的や、重たい果実が地面などにぶつからないように支える目的がある。

受粉のためにハエかハチを活用する

マンゴーの花とキンバエ。キンバエなどの虫が受粉を助ける

マンゴーの花は虫媒花である。小花がたくさん咲くため、基本的に受粉にはハエかハチを利用する。沖縄ではほとんどの農家がキンバエを培養して受粉をさせる。魚のアラや魚粉などを使うと簡単に培養できる。筆者らは、近所の刺身屋さんから魚のアラをもらってきて、バケツに入れてハウス内につるしている。1週間もすると、勝手にハエが発生してくる。

キンバエを培養するための魚のアラ

ベランダで栽培しているときなど、培養が困難な場合は自然に来訪する虫を待つ。全方位にビニールをかけている場合は、側面は開けて虫が花を訪れられるようにしておく。

開花結実時期は、温度に注意する!

マンゴーの生育適温は24~27℃であり、開花して結実してくる3月から4月の時期は、このくらいの温度が理想である。最低でも20℃以上はあった方が良い。この時期に15℃以下の低温になると、胚が形成されずに小さな果実になることがある。また、受粉虫も低温だと活動量が低下し、受粉がうまくいかないこともある。

開花結実時期は、かん水を徹底すること!

マンゴーの花の様子

開花が始まって以降は、かん水はしっかり行うことが必要だ。
土壌が乾いたらたっぷりと水をあげて、なるべく乾燥ストレスをかけないように努める。

マンゴーの根は、太く直根性である。ゴボウの根のように深いところまで伸びているが、養分や水分をよりたくさん吸収する細根は少ない。そのため、しっかりと結実させるために水分管理を行うことが重要なのだ。
鉢植え栽培もほぼ毎日の水やりが必要である。
水分欠乏を起こすと花がしおれてしまい、一旦花がしおれてしまうと、その後かん水をしても元には戻らないので気をつけよう。また、果実肥大時期にも、十分な水分が必要である。

果実が大きくなったら摘果と袋がけ!

袋の中のマンゴーを確認する筆者の父

果実がウズラの卵ほどの大きさになってきたら、害虫や枝葉などとの接触を避けるために、果実の袋がけを行う。小さい果実の方が傷がつきやすいため、早めに袋をかけはじめた方が良い。
また、袋がけと同時に、果実の肥大も確認しながら、摘果も必要に応じて少しずつ行う。果実が実りすぎた場合、「なり疲れ」といって木が極端に衰弱するので、一つ一つの果実の品質を低下させないために摘果は必須だ。目安は葉っぱが100枚に対して果実が1個ほどになれば十分だ。摘果対象になる果実は、傷がついているものや、へこんでいるものから優先的に摘果していこう。

完熟になると木から落ちる

現在市場流通しているマンゴーの品種は「アーウィン」といい、完熟すると木からポトリと落果する性質がある。この時が一番おいしいため、それより先に収穫するのはオススメしない。完熟する前に、袋やネットなどをしっかりと果実がついている枝に固定し、マンゴーが袋の中に落ちても大丈夫なように支えておくことが必要だ。地面に落としてしまうと、強い衝撃で打撲して果肉が傷んでしまう。
一方、キーツ種や玉文種などのように、完熟しても木から落ちず、収穫後1週間程度の追熟を必要とする性質の品種がある。収穫時期を見定めるには若干の経験が必要になるが、果肉の膨らみが十分であることや、果皮色が明るくなってきた頃合いなどで判断するとよい。筆者らも最終的には、試しに収穫し食べてみることを何度か行って、現場の果実の収穫時期を判断している。

収穫した玉文種

果実収穫時期の木は最も疲れている

収穫時期は、木が果実の生成を終え、最も疲れている時である。
この時に、やってはいけないことは「強い剪定」である。
強いというのは、かなりたくさんの枝を落とすような剪定のことをいう。
収穫後は、木をすっきりさせたくて、バサバサ切ってしまいがちであるが、木が果実生成を終えて最も体力がない時であるため、強い剪定をすると、枯れこんでしまったり、虫がついてしまったり、病気になってしまったり、さらには翌年の結実枝を生成しない場合がある。
収穫後は、一旦はこれくらいの剪定でよい(下写真)。

収穫後の剪定は1節程度にする

このように実がなっていた枝を1節程度、短縮させるだけでよい。
つまり軽い剪定(弱い剪定)でよい。その後、剪定した直下の芽から、新梢が3~4本ほど出てきて、元気が出てきたと感じるようであれば、その中でも太いものを1~2本残し、剪定してやる。収穫後はお礼肥(おれいごえ)とかん水も忘れずに施しておくとよい。特に痩せた土や鉢での栽培などであれば、お礼肥を忘れると、樹勢が戻らなくなる場合がある。

* * *

マンゴーの栽培は、他の果樹と比べ、手がかかるかもしれない。ただし、その分自分自身で作るマンゴーはまた格別である。特にアーウィン種であれば、木の上で完熟させて収穫後すぐに食べると、絶頂のうまさだ。ぜひ挑戦していただきたい。

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