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「すごく余裕のある農家」への道を代行。小さな有機農家を価格競争から守れ

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

「すごく余裕のある農家」への道を代行。小さな有機農家を価格競争から守れ

タベモノガタリ株式会社(神戸市)は地下鉄の構内やスーパーで3年近く手がけてきた青果店を、2022年1月にすべて閉じた。事業を拡大する余地はあったにもかかわらず、なぜクローズしたのか。これからどんなサービスを農家に提供しようとしているのか。代表の竹下友里絵(たけした・ゆりえ)さんに聞いた。

事業のリセットへ背中を押した農家の声

タベモノガタリが運営していた青果店の名は「八百屋のタケシタ」。販売するのは竹下さん自身が神戸市内の農家を回って買い付けた味の良い野菜だけ。「形はワルいが、味はイイ。」をキャッチフレーズに展開していた。
まず2019年4月から神戸市営地下鉄の名谷(みょうだに)駅構内の催事用スペースを借り、コンテナを並べて販売を開始、野菜の味の良さから人気の店となった。さらに評判を聞いた地元のスーパーに頼まれ、2020年8月から常設の専用コーナーに出荷した。こちらは最も多いときで7店舗に増えていた。

事業は順調に伸びているかに見えた。ところが竹下さんは、2021年9月から段階的に店を閉め始め、22年1月にすべてクローズした。メデイアで盛んに取り上げられ、注目も集めていた。それなのになぜ店を閉めたのか。

21年夏ごろ、地元スーパーのコーナーをもっと増やすべきかどうか迷ったのがきっかけだ。どんな農家が自分を必要としているのか、自分はどんな農家の農産物を扱いたいのかを、見つめ直したいと思ったのだ。

その気になれば店を増やすことは可能だった。だがそのまま拡大してしまえば、事業の目的があいまいになってしまうと考えた。

10月から12月にかけて仕入れ先の農家を回り、「私は役に立ってますか」と聞いてみた。竹下さんによると「みんな優しいから、『もちろん』と言ってくれた」という。実際、竹下さんを通した売り上げが月30万~50万円に達している農家も中にはいた。

一方で、「いったん店を閉めようと思ってます」と言うと、「それは困るけど、どうにかなるから大丈夫」という反応もあった。

「やっぱりまだその程度の存在にしかなれてないのか」。そう感じた竹下さんは、いったん事業をリセットすべきだと確信したという。もちろん、農業との関わりを断つつもりは全くなかった。

野菜の品質を武器に青果店に挑戦

竹下さんの農業への思いを理解するため、起業までの歩みをたどってみよう。

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