成長するアジア市場がターゲット
伏田さんが輸出を始めたのは2020年。最初の2年間はわずかな量にとどまっていたが、22年はアジア向けに日本食品を輸出する商社と組んで販売が拡大。売り上げは21年の10倍以上の300万~400万円になる見通しだ。
売り先はタイとシンガポールで、品目はコマツナとミズナ、ホウレンソウ。ターゲットは所得が「中の上」で、比較的暮らしに余裕のある層だ。あえて富裕層を狙わないのは、マーケットの広がりに限界があるからだ。
2015年にふしちゃんを設立した当初から、有機栽培を手がけてきた。有機農家の中には、食べる人と直接つながるために、宅配などで個人向けに販売している人が少なくない。これに対し、伏田さんはスーパーや生協などを中心に、市場にも出荷している。そのほうが販売量を拡大できるためだ。
大きなマーケットを狙うという点は、国内外で共通。ただタイとシンガポール向けの輸出は、有機栽培だから増えているわけではない。理由は「日本のものだから」(伏田さん)。日本産の信頼の高さが追い風になっている。
だからこそ、伏田さんはアジア市場の将来性に期待する。いまは「日本産」であるだけで十分強みになっているが、現地の所得がもっと増えれば、食の安全・安心や環境問題への関心が高まり、有機野菜への需要が増えると予想しているのだ。伏田さんは「うちの優位性がより明確になる」と話す。