気候風土に恵まれた山梨県南アルプス市で、ぶどう栽培に取り組む
山梨県の西側に位置する南アルプス市。寒暖差が大きく、土地の水はけが良いなど、生産には好条件が揃っていることから果物大国として知られる山梨県の中でも、とくにおいしい果物が育つといわれています。
JA南アルプス市の果実部会長を務める㓛刀稔(くぬぎみのる)さんは、20年ほど前に家業を継ぎ、約150アールの畑でぶどう、もも、さくらんぼと3種類の果物を栽培しています。
中でも注力しているのがぶどうの栽培。㓛刀さんの畑では、甲斐路(かいじ)を中心に数品種のぶどうを育ててきましたが、人気の高まりに伴い、シャインマスカットの生産量を増やしているそうです。
「ここ数年、シャインマスカットの出荷が好調です。正直作れば作るほど売れますね。さらにシャインマスカットが人気となったことで、ぶどう市場全体が活況を呈しています。南アルプス市は元々ぶどう生産に適した気候風土を備えているので、生産量こそ多くはありませんが、おいしさでは県内随一だと自負しています。」
「一度出たら終わり」べと病・晩腐病の恐ろしさ
市場が好調とはいえ、ぶどう栽培は気軽にできるものではありません。4月に葉が展葉してから収穫が終わる10月までの約半年間、作業に休みはありません。とくに、ぶどうは病気に弱いため、病原菌が蔓延しやすい梅雨期は病害の防除に細心の注意を払う必要があります。
カビ(糸状菌)によって引き起こされるべと病や晩腐病は、病害が一度発生すると葉から果実へと感染することで被害が広範囲に広がり、商品価値が大きく低下します。実際、㓛刀さんは、7〜8年前にべと病・晩腐病の発生で大打撃を受けたそうです。
「あの年は雨の多い年で春先にべと病が、収穫期にも長雨があり晩腐病が発生してしまいました。例年はコンテナで300箱ほど出荷していたのに、最終的に出荷できたのはわずか1桁。経済的な損失はもちろんですが、1年間手塩にかけて育ててきたぶどうがダメになってしまうなんて、すごく悔しいことです。周りの農家の中には営農を諦めてしまった人もいました。改めて防除を徹底することの重要性を痛感しました。」
病害防除の基本は予防です。病気が一度発生し始めると後から薬剤を散布しても抑えることはできません。日頃から予防防除を徹底することが重要なのです。
『ゾーベックエニベル』で、先手を打つ。
そんな㓛刀さんが2年前に出会い、頼りにしているのが『ゾーベックエニベル』です。
「農協が推奨する防除体系(防除暦)に新たに加わったのを知って、すぐに使ってみました。新しいものにはより良い効果が期待できるし、日本有数のぶどう生産地である山梨県の農協の防除体系に採用されたわけですから、使わない理由はありません。ぶどう栽培は絶対に病気を出してはいけないんです。」
㓛刀さんが愛用しているゾーベックエニベルは、べと病・晩腐病に卓効を示す薬剤です。散布後に雨が降っても影響を受けにくい耐雨性が大きな特徴です。さらに、浸透移行性もあることから5月以降の雨の多い時期でも、べと病や晩腐病からぶどうの新葉や幼果を守ります。
防除の前半で予防効果の高い同剤を使用する事で、初期の菌密度を落とし、後半防除の負荷を減らすためにも、展葉初期から小豆大期までの使用が効果的です。
「5~6月はぶどうの葉が伸びる季節です。柔らかな葉は病原菌がつきやすいので、ここでついてしまうともう手遅れ。品質の良いぶどうを収穫するためには、そうなる前に良い剤を使って徹底的に防除することが欠かせません。」と㓛刀さん。
果実部会長として今後の産地の目標を尋ねると、「おいしさではどこにも負けない自信があるので、今後は見た目も含めてより高品質なぶどうを生産していくことが産地PRに重要だと考えています。見た目も良く、かつおいしいとなれば、シャインマスカットの人気が一段落した後も、南アルプス市産のぶどうは売れ続けるはずです。」と笑顔で答えてくれました。
他の剤を圧倒する長い残効性を実感
JA南アルプス市ではぶどうの基幹防除剤として2年前からゾ―ベックエニベルを採用しています。営農指導部の手塚英男さんにお話を伺いました。
「ゾーベックは今まで見た他の剤とはレベルが違いますね。試験散布をしてから4-5日経った頃、気温も下がり、地域でべと病の発生が始まりました。周りの圃場で追加防除をするような状況でも、ゾーベックを使った圃場ではまったくべと病の発生がなく、浸透移行性、残効の長さには驚きました。」
開花直前期の散布で晩腐病・べと病を同時撃退。農作業のゆとり創出に
べと病への高い効果を確認した同JAでは、もう一つの厄介な病気である晩腐病との同時防除を狙い、2023年から5月下旬の開花直前での使用を指導する予定です。
「開花直前頃に使用することで、大豆大期まで残効が期待でき、果粒へのべと病菌の侵入を防ぐことができます。べと病のリスクの高い時期の安心につながるだけでなく、この時期から心配になる晩腐病に対しての同時防除効果も期待できると考えています。
管内ではぶどう以外にも多種多様な果樹が栽培されており、この時期はぶどう以外に、もも・おうとう・かき等でも病害虫防除において大変重要な時期と重なります。ぶどうでいったんべと病が発生してしまった場合、その後追加の防除をしていてはそれ以外の果樹の防除ができなくなってしまい、全て後手後手になってしまいます。ぶどうのべと病への予防効果の高いゾーベックエニベルをこの時期に使用することで、安心して他の農作業ができます。」と、当産地ならではのメリットも感じています。
同年、JA南アルプス市では新たに品種登録した「甲斐ベリー7」の市場出荷も控えています。「甲斐ベリー7」は、シャインマスカットとサニードルチェを掛け合わせた山梨県のオリジナル品種で、豊かな香りと酸味が少なく食べやすいことから、次世代の有力品種としてブランド化を推進していく予定です。ゾ―ベックエニベルが、こうした産地の挑戦をこれからも支え続けることでしょう。
【取材協力】
山梨県南アルプス市 㓛刀稔(くぬぎみのる)さん
JA南アルプス市営農指導部 手塚英男(てづかひでお)さん
【お問い合わせ】
コルテバ・アグリサイエンス日本株式会社
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