嫁は在宅ワーカーが最強説
みなさん、こんにちは! 夫は8年前、私は6年前に宮崎県日南市に移住し、イチゴとズッキーニを生産しています。初めは私も農業を手伝うことを視野に入れて移住しましたが、農作業があまりにも向いておらず2カ月で挫折。そこからは今までのキャリアを生かし、フリーランスとしてデザイナーやコピーライター、4コマ漫画家、カウンセラーなどのお仕事を在宅でしています。
農業事業は5年目に法人化し、現在は私と夫+社員2名で働いています。
結婚生活を6年過ごして思うのは、私があの時農業専業を諦めて、在宅ワーカーに転身したのは英断だったということです。これは私たち夫婦のケースですが、嫁が在宅ワーカーとして働くメリットを三つに分けて紹介します。
メリット1:閑散期と繁忙期に柔軟に働ける
農業には作物によって繁忙期と閑散期があります。そのため、通年でパートを雇うとなると、複数の作物を組み合わせて生産したり、閑散期の長期休暇を承諾してくれる方に働いたりしてもらう必要があります。しかし、それはなかなかハードルの高いものです。
さらに、閑散期といえどスポット的に忙しくなる時期があります。例えばイチゴの場合、定植の時期は、猫の手も借りたくなるほど。そういう時は、嫁の出番というわけです。
メリット2:コスト削減につながる
嫁が在宅ワーカーであることの最大のメリットは、人件費のコスト削減につながる点です。定植以外でも、人を雇うほどでもない片付けやイチゴの発送などの細かい作業が必要な時は、柔軟に働ける私が重宝されます。
メリット3:経済的・精神的自立が達成できる
在宅ワーカーに限らず、嫁が仕事を持つ最大のメリットは、嫁自身の経済的・精神的自立が達成できる点にあると私は考えます。
新規就農の場合、初期投資にお金が必要になり、さらに軌道に乗るまでは数年かかることが当たり前です。その中で、農業の稼ぎだけに頼って生活するのはなかなか不安なものです。私は念のため3年分の生活費を用意してから結婚しましたが、できれば貯金も崩したくありませんでした。
そのため我が家では「農業は夫の収入、家計は私の収入で賄う」と完全にお財布を分けてやりくりしました。
このように生活していると、私自身も「農業に頼らず生きていかねば」という程良いプレッシャーが仕事のモチベーションになり、自分の事業の成功につながりました。仕事があることも、精神的な支えになっています。
これは農業に限った話ではありませんが、女性が経済的に自立できることは、精神的自立につながり、よりよい夫婦生活につながると実感しています。
自分の得意なことで貢献する
夫婦で農業を営む最大の課題は、「四六時中一緒にいても心地よく過ごせるか」という点にあると思います。我が家はこれがダメダメ(笑)。お互いのこだわりがぶつかって、険悪なムードになることがしばしばありました。
そのため、私たちはお互いのテリトリーを邪魔しないために「お互いの得意なことで貢献する」と決め、役割分担を明確にしました。
夫の担当は、農業全般。だから、私は畑の様子を見て気に食わないところがあっても、あまり口出しはしません。
私の担当は農業以外のことです。特に私はデザインまわりが得意なので、HP、看板、イチゴ狩りハウスの空間づくりは私の役割です。
地域付き合いは役割分担
私が移住生活で一番不安だったのは、地域になじめるかどうかということ。私の住む地域は田舎の中の田舎で、どちらかといえば「郷に入っては郷に従え」という雰囲気のある地域です。しかし、私は人付き合いがあまり得意ではありません。
ここでも夫婦の役割分担が鍵となります。夫は人付き合いが得意なので、積極的に消防団やお祭りの獅子舞などにも参加し、地域との関係を築いてくれました。そのおかげで、私は特に顔を出さなくてもなんとかなっています。
一方の私は子育て担当。子育て支援センターに行けば、同年代のママさんともつながることができるので、そこで新しい出会いに恵まれることも多々あります。
苦手なことを克服することも大切ですが、お互いの苦手な部分を補い合う意識も、いい夫婦関係には必要なのではないかと感じています。
自営業で一番大切なのは、夫婦の信頼関係。そのためには、「夫婦の違和感を放置しないこと」だとつくづく思います。伝えたいことは伝えて、その都度きちんと話し合う。その積み重ねが、健全な経営と居心地の良い家庭につながっていくのでしょう。