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CO2の再利用で収量が4倍?農業でカーボンニュートラルの実現に貢献!

CO2の再利用で収量が4倍?農業でカーボンニュートラルの実現に貢献!

私たちが暮らす社会にとって必要不可欠なものであるにも関わらず、つねに「汚い/臭い」といったネガティブなイメージがつきまとい、地域住民から敬遠される「ごみ処理場」。そんな廃棄物焼却施設にパイオニアとしてCCU設備を導入し、排出されるCO2を農業分野で有効活用するなどのバイオマス事業によって、資源循環型社会の創造をめざしているのが佐賀市です。今回は、このバイオマス事業をより多くの市民に知ってもらうために開催された、高校生向けの説明会に密着。「ごみ処理場」に対するイメージに、果たして変化はあったのでしょうか?

※発電や産業活動で排出されるCO2を回収し、活用するための設備

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排ガスから分離回収したCO2を新たな資源に!

佐賀市清掃工場

SDGsやカーボンニュートラルといった言葉が、一人歩きしているようにも見受けられる昨今。もちろん、CO2が地球温暖化の原因のひとつであることは間違いありません。ただし、「二酸化炭素=環境に悪いもの」というのは完全に誤解です。炭酸飲料やドライアイスなど、私たちの生活に身近なものにも二酸化炭素は使われています。また、光合成によって成長する植物の生育にも欠かせません。つまり、大きな問題となっているのは、必要以上のCO2が排出されているということであり、排出されるCO2の量と植物などに吸収される量を同じにすることで、バランスの取れた状態を維持することがカーボンニュートラルなのです。

   

公共施設において、このCO2をもっとも排出していると言われているのが廃棄物焼却施設。いわゆる「ごみ処理場」です。平成の大合併を経て、2012年に佐賀市は1市6町1村に点在していた4つの廃棄物焼却施設を、現在の『佐賀市清掃工場』ひとつに統合することを周辺地域と合意しました。しかし、当時は地域住民からの風当たりが非常に強かったと言います。こうした「ごみ処理場」は、「地域社会にとって必要だということは理解できるが、自分たちの居住地域には建てないでくれ」と言われる公共施設の典型だと言えるでしょう。

そんな迷惑施設だと思われがちな施設を、周辺地域に産業や雇用を呼び込む「価値をもたらす施設」へと転換させることをめざし、佐賀市は全国に先駆けてCCU設備を導入。この先進技術によって廃棄物を焼却する際に発生するガスの一部から二酸化炭素のみを分離回収し、それを農業分野で利活用するというプロジェクトを立ち上げたのです。

初年度でキュウリの収量が全国平均のなんと4倍!?

   

ごみ焼却施設から純度99.5%以上、食品添加物の基準をもクリアしたCO2を分離回収する『佐賀市清掃工場』のCCU設備。そこから、パイプラインを通じて清掃工場周辺に誘致された植物工場や藻類培養施設へとCO2が供給されています。『ゆめファーム全農SAGA』が運営するハウスではキュウリを、株式会社佐電工(本庄ファーム)が運営するハウスではイチゴを栽培。また、株式会社アルビータのハウスでは、化粧品や健康食品などに使われる高付加価値成分、アスタキサンチンを作り出すヘマトコッカス藻を培養しています。

株式会社佐電工(本庄ファーム)のイチゴハウス

その中でも、『JA全農』と『JAさが』、そして佐賀市が連携してキュウリの大規模多収栽培実証に取り組む『ゆめファーム全農SAGA』のハウスでは、10aあたりの収量が土耕区で54.7t、養液区で56.2tを初年度で達成。平均すると10aあたり55.6tとなり、これは全国平均と比べて約4倍もの収量にのぼります。農業分野におけるCO2活用の有効性は、早くも証明されたと言えるでしょう。また、その他にも前述のアルビータ社が培養面積をこれまでの2倍以上に拡張するなど、CCU設備の稼働前の2015年には何もなかった『佐賀市清掃工場』の周辺には、現在、次から次へと新たな産業が集積しているところ。その経済波及効果は、54億円以上にのぼると言われています(2020年 公益財団法人 九州経済調査協会調査)。

佐賀市バイオマス産業推進課 川原田 格さん

そして、「今後はパイプラインを通じたCO2の供給だけではなく、CO2を液化貯留して運搬を可能にすることで周辺エリア以外にも供給していきたい」と、佐賀市バイオマス産業推進課の川原田 格さんは語ります。そうなれば、より広範囲に多収技術を普及させることができるため、佐賀市内全域の農業発展に貢献できることは間違いありません。

敬遠され続けてきた迷惑施設から「地域の誇り」へ。

廃棄物を焼却する際に発生する排ガスからCO2を分離回収し、それを農業分野などで再利用するばかりではなく、『佐賀市清掃工場』ではその焼却熱や循環冷却水を利用して発電をおこない、工場内や市内の公共施設で使う電気として利用しています。

焼却熱や冷却水を利用した発電について説明する川原田さん。清掃工場で冷却水を利用した小水力発電は日本では佐賀市のみ。

また、焼却灰はセメントの材料として活用。さらには、家庭や飲食店などから排出される廃食用油を回収し、バイオディーゼル燃料を精製して、佐賀市営バスやごみ収集車の燃料として有効活用しています。このように、持続可能な仕組みづくりへと全国に先駆けて取り組んでいる佐賀市では、農業分野でもCO2を活用することによる収量の大幅な増加や成育期間の短縮、果実肥大・糖度上昇といった直接的な効果のみならず、「環境にやさしい農法」「日本初の試み」など、農産物のイメージアップが期待されています。

そうなれば、農家の所得向上や農業人口の維持・増加を実現することができ、佐賀市の農業はさらに活性化していくことでしょう。実際、さまざまな企業が農業分野で進出している『佐賀市清掃工場』の周辺では、住宅が増え、それにともない生活環境も年を追うごとに良くなっていると言います。当初は反対の声が多く、風当たりも強かったと言うものの、現在では地域住民の多くが市の取り組みを応援してくれているのだとか。

清掃工場を中心に様々な産業が発展していることが分かる(※佐賀市バイオマス産業推進課作成の資料より引用)

「このプロジェクトの究極の目標は、持続可能な社会づくりを通じてシビックプライドを醸成することです」と川原田さんは語りますが、もしかするとそれは決して遠い未来の話ではないのかもしれません。

数多くの企業からの支援が、プロジェクトの推進力に!

高校生による視察・見学会の様子

今回、高校生たちを招いて説明会をおこなったのも、佐賀市の取り組みをより深く地域の未来を担う若者に伝えるため。参加した高校生たちからは、

Aさん

CO2が農業に利用されているという話を聞き、興味を持って来たけれど、その経済効果がこんなにも大きいと聞いて驚きました。

Bさん

普段見ることのできないスケールの大きな機械(CCU設備)を見ることができて楽しかったです。

といった感想が聞かれました。

日本国内だけでなく、海外のメディアにも数多く取り上げられるなど、佐賀市のバイオマス事業への注目度は着実に高まってきています。企業が地方自治体の取り組みを応援する企業版ふるさと納税は、2021年度には2千万円を超えたそう。バイオマス産業推進課では、視察や講演の依頼も随時受けつけていて、2021年の視察・講演実績は、104件にものぼるのだとか。「この事業についてもっと知りたい!」「佐賀市の取り組みを支援したい!」という企業や自治体の方は、要チェック&お問い合わせしてみてくださいね!

※佐賀市バイオマス産業推進課作成の資料より引用

■お問い合わせ■
佐賀市 バイオマス産業推進課 政策推進係
〒849-0919 佐賀県佐賀市兵庫北三丁目8番36号 佐賀市保健福祉会館 2階
TEL:0952-40-7191 FAX:0952-40-7377
Mail:biomass@city.saga.lg.jp

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