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就農者が経営の軸を定めるヒント、講習会と異業種交流から学ぶ

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

就農者が経営の軸を定めるヒント、講習会と異業種交流から学ぶ

農業を始めた人が課題を解決したいと思ったとき、どんな方法があるだろうか。インターネットなどで情報を集めるのはひとつの手だ。だが経営者の交流会や講習会に出席して得るものはより大きい。山梨県北杜(ほくと)市で就農した果樹農家、下郡浩(しもごおり・ひろし)さんを取材した。

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リンゴのおいしさと景観に引かれて就農

下郡さんは2020年4月に就農した。栽培しているのはリンゴを中心に桃や栗、ブルーベリーなどの果樹類で、販路は北杜市にある道の駅などの農産物直売所。食品工場に委託し、ジュースなどの加工品もつくっている。

画像1)加工品

リンゴのさまざまな加工品

下郡さんはもともと都内で会社勤めをしていたが、10年ほど前に退職。実家を継いで農家になった友人を手伝ったことをきっかけに農業への関心が高まり、若者たちが共同生活をしながら野菜を有機栽培している北杜市の農場に参加した。その後、子ども向けの体験学習を実施している長野県の農業学校でも働いていた。

果樹農家になることを決めたのは、北杜市須玉(すたま)町の津金(つがね)という地域で栽培されたリンゴを食べてみて、おいしさに驚いたからだ。なだらかな斜面地に果樹が並ぶ美しい景観にも引かれた。「津金で農業をやりたい」との思いが募り、2年間地元の農家のもとで栽培技術を学んだ後、独立就農した。

就農した当初から、「どうしたら、自分のつくったものを手に取ってもらえるか」を強く意識していた。加工品をつくることもはじめから考えていた。消費者に覚えてもらうため、友人のイラストレーターに似顔絵を描いてもらい、自身の愛称である「ごんちゃん」というキャラクターのマークもつくった。

画像2)「ごんちゃん」

「ごんちゃん」のマーク

他の多くの農村と同様、津金地域でも高齢農家の引退が増えており、担い手である下郡さんへの期待が高まっている。「地域とつながりながら、農業をやっていきたい」。そう考えた下郡さんは農業経営に関する地元の講習会に参加するとともに、異業種の経営者と積極的に交流することにした

JAバンク山梨の“農業版ビジネススクール”に参加

下郡さんが参加することにしたのは、「JAバンク山梨ニューファーマー育成スクール」だ。経営スキルや経営改革の進め方、経営者としての視点の持ち方などを学び、地域のけん引役の農業者に育ってもらうのを目的に、山梨県信用農業協同組合連合会(JA山梨信連=JAバンク山梨)が2016年から開いている。

農業関係のコンサルタントや社会保険労務士などが講師になり、財務管理や労務管理、販売戦略などをテーマに10回程度授業を開く。受講料はとらない。とくに重要なのが経営改革プランの作成で、現状を分析したうえで、5年後に販売する商品や価格、販路、顧客層などの計画を立てる。

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