悲観的シナリオで水田の3分の1の畑地化が必要
荒幡さんは1978年に農林省(現農林水産省)に入省し、稲作やコメ流通、農地などの各分野を担当した後、96年に岐阜大学の助教授に就任。同教授を経て、2021年度に筑波学院大学の教授に就いた。
筆者はこれまで何度も荒幡さんにインタビューしてきたが、今回は「水田を将来どれだけ畑にすべきか」がテーマ。荒幡さんは緻密なデータ分析と現地調査で積み上げた知見をもとに、畑地化が必要な面積を示してくれた。
結論から紹介しよう。2050年に畑地化が必要になる面積を、「楽観」「標準」「悲観」の3つのシナリオで試算してある。コメの需要を最も大きく見積もったのが楽観的シナリオで28.8万ヘクタール、その逆が悲観的シナリオで75.4万ヘクタール、その間の標準的シナリオでも49.6万ヘクタールを畑にすべきだというのが結論だ。
コメの生産調整のために麦や大豆などをつくっている分を含め、2020年の水田の合計面積は224.8万ヘクタールある。楽観的シナリオでも、その13%を畑にしなければならない計算になる。悲観的なシナリオだと33.5%だ。
しかもこの試算は、畑に転換する水田とは別に、かなりの面積で麦や大豆などとコメの輪作を手がけることが前提になっている。コメの生産を大幅に減らすことがいかに重要かを、荒幡さんの分析は示している。

水田の畑地化が必要になっている
人口減少がコメ需要を下押し
なぜこれほど畑地化が必要になるのか。ここで荒幡さんの精緻な分析のすべてを紹介することはでないので、ポイントをピックアップしてみたい。
畑地化すべき水田の面積は、裏返せばコメの需要がどれだけあるかが左右する。ただし、減り続ける国内消費を反転させるのは現実的ではないので、需要を増やすには海外市場に目を向ける必要がある。輸出だ。