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完全食(完全栄養食)とは? 栄養や種類、メリット・デメリットを徹底解説

完全食(完全栄養食)とは? 栄養や種類、メリット・デメリットを徹底解説

近年メディアや通販サイトでよく目にするようになった「完全食」という言葉。コロナ禍で健康志向の意識が高まり、日本でもベンチャーから大手まで幅広い企業が参入し、さまざまな種類の完全食が開発されています。今後、さらなる市場拡大が見込まれている完全食の概念や種類、メリット・デメリットを、本記事で詳しく解説していきます。

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完全食とは?

完全食は、完全栄養食ともいい、人が健康を維持するために必要な栄養素を全て含んだ加工食品のことです。厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」や「栄養素等表示基準値」に基づいて、1食あたり1日に必要な栄養素の3分の1以上を摂取できるように開発されています。これらの商品の共通点は、普段の食事で摂取過剰になりやすい脂肪、飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、炭水化物、ナトリウムのほか、熱量(カロリー)が抑えられていることが多いということです。

アメリカで完全食が販売され始めた当初は、粉末・液体のドリンクタイプが主流でしたが、日本国内で販売されている商品はパンやパスタ、米飯、麺などの食事タイプのほか、クッキーやグミなどのおやつタイプまでさまざま。通販やコンビニでも売られています。これらを食生活に取り入れることで、1日に必要な栄養素をバランスよく手軽に摂取することができます。

サプリメントとの違い

サプリメント(栄養補助食品)は、各種栄養素を錠剤や粒剤、カプセルなどに凝縮したもので、健康食品に分類されます。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ(薬草)などの成分を含み、食事で不足する栄養素の補給、美容や健康維持、あるいは体調の回復を目的に利用されるものです。

サプリメントは、1日の食事で不足する栄養素とその量を把握して摂取する必要がありますが、完全食は1日に必要な栄養素の約3分の1を計量して1食分が作られているため、食事や間食との置き換えで簡単に栄養を摂ることができます。

完全食が注目を集める理由

完全食は、1日に必要な栄養素を手軽に摂取できることから、仕事や学業に忙しく、趣味やスポーツなどにも集中したい現代人のライフスタイルに合った食事の取り方の一つとして考えられています。近年はリモートワークの浸透などもあり、ライフスタイルが多様化する中で、自身の生活リズムに合わせた食事やダイエットでの利用も増えています。

完全食に含まれる栄養素

完全食には、厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準」に基づいて栄養素がバランスよく含まれています。具体的には下記の34種類について食事摂取基準が定められています。
 

たんぱく質
脂質 脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・n-3系脂肪酸・コレステロール
炭水化物 炭水化物・食物繊維・糖類
ビタミン

 

脂溶性 A・D・E・K
水溶性 B1・B2・ナイアシン・B6・B12・葉酸・パントテン酸・ビオチン・C
ミネラル

 

多量 ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン
微量 鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデン

完全食には、エネルギー源となる三大栄養素「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」と、これらの代謝を助け、からだの調子を整える「ビタミン」13種類、生理作用の調整やからだの構成に使われる「ミネラル」13種類を加えた五大栄養素が含まれます。

これらの栄養素を過不足なく摂取することで、健康の保持・増進に役立ち、生活習慣病の予防につながります。また、高齢者の低栄養やフレイル(虚弱)対策の指標としても用いられています。

完全食のメリット

からだに必要な栄養素が1食にバランスよく含まれた完全食。食生活に取り入れることで得られるメリットを見ていきましょう。

短時間で必要な栄養素を摂取できる

日々忙しい生活を送る中で、栄養バランスのよい食事の献立を考え、食材をそろえ、なおかつ調理するのは労力のいることです。また、外食や中食で栄養バランスをコントロールするのも容易なことではありません。完全食を取り入れることで、どんなに時間がなくても1日に必要な栄養素の3分の1を手軽に摂取することができます。

誰でも簡単に健康的な食事をとることができる

食生活を改善したいと考えていても、仕事の忙しさ、買い物や調理の手間など、実行に移すにはさまざまなハードルがあります。そこで、完全食を利用すれば、誰もが栄養バランスの考えられた健康的な食事を取ることができます。

長期保存が可能な食品は非常食にもなる

完全食の中には、賞味期限が常温保存で1カ月のロングライフパンから、約半年間の即席麺や米飯まで、ストックできる商品が数多くあります。また、レンジで調理する冷凍タイプやレトルトの完全食は非常食を備蓄するローリングストックに役立ちます。

完全食のデメリット

完全食にはメリットゆえのデメリットも考えられます。食生活に取り入れる際に考慮したい項目をまとめました。

あごの筋力が衰える可能性がある

忙しくても短時間で必要な栄養素を摂取できるように開発された完全食は、ドリンクタイプなどの飲み込みやすいものが多くあります。常に柔らかく飲み込みやすいものを食べていると、かむ回数が減り、あご周りの筋肉が衰え、老けた印象の顔になってしまう可能性があります。

「食事を楽しむ」機会が減ってしまう可能性がある

手軽に時短で効率よくからだをつくる栄養素が取れる完全食ですが、そのぶんいわゆる五感(嗅覚、視覚、触覚、味覚、聴覚)で味わう食事の楽しみは減ってしまうでしょう。また、食事にかける時間が短縮されることで、家族との団らん、友人や同僚とのコミュニケーションなどの機会が減ってしまうかもしれません。

比較的価格が高い

完全食の価格は手頃になってきているとはいえ、新しいジャンルの食品であり、開発・製造・原材料のコストがかかるため、一般的な加工食品と比べると単価は高めです。しかし、一つの商品で必要な栄養を過不足なく取れるのでコスパはよいといえるでしょう。

完全食の主な種類

現在、入手できる完全食は利用シーンで大きく分けて、食事タイプ、ドリンクタイプ、おやつタイプがあります。さまざまな種類の完全食が開発されているので、タイプ別に注目商品を紹介します。

食事タイプ

パン、パスタ、麺、米飯(カレー、丼物)、グラノーラなど主食系のものや、みそ汁やスープといった汁物など、普段の食事と置き換えしやすいタイプです。料理としてのおいしさや食べ応えを追求した商品もあります。

おすすめの食事タイプ完全食
・BASE BREAD(ベースフード)
日本発・主食系完全食の開発の先駆けとなったベストフード社は、食事パンと菓子パンをラインナップ。小麦全粒粉、小麦たんぱく、大豆粉などが原料で高たんぱく・糖質オフ。26種のビタミン・ミネラル、食物繊維、必須脂肪酸を含む。
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・BASE PASTA(ベースフード)
平打ちのフェットチーネ、焼きそばに適したアジアンの2種の生麺があり、1〜2分でゆで上がり時短調理が可能。小麦たんぱく・胚芽・全粒粉、大豆粉などが主原料で、26種のビタミン・ミネラル、食物繊維が含まれ、高たんぱく質・低糖質。レンジ調理のソース付きパスタも発売。
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・完全メシ カレーメシ(日清食品)
カップに熱湯を注ぎ、仕上げに調味パウダーとオイルを混ぜるだけの簡単調理で、日本人の食事摂取基の33種類の栄養素が取れるインスタントのカップ飯。カップヌードルの日清食品が栄養バランスと味を追求した完全食。カップ麺商品もある。
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ドリンクタイプ

完全食開発の歴史は、粉末を水に溶かして飲むドリンクタイプから始まりました。以来、各社が研究を重ねています。チョコレート、ミルク、フルーツ、抹茶などさまざまなフレーバーがあり、そのまま飲めるタイプの商品も登場しています。

おすすめのドリンクタイプ完全食
・自然派完全食GoCLN ココア味(フジオーガニックス)
天然サプリメント・プロテインを開発するFuji Organics社が手掛けた完全食は、粉末ドリンクタイプ。放牧牛ホエイ(乳清)、有機ココア、チアシード、海藻、米ぬか、MCTオイル(中鎖脂肪酸油)など、自然由来の栄養素を多く使い、1食あたり202キロカロリーに抑えながら1日に必要な栄養素量の3分の1をカバーしています。
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・Huel ボトルドリンク (HUEL Limited)
英国の完全食メーカーのHUEL社が世界各国で展開するボトル入りドリンクHuel Ready-to-drink(500ml)は、バニラ、ベリー、チョコレートの3種類。動物由来原料は使用せず、グルテンフリーにも対応。農業における環境負荷削減、食品廃棄率低減、地域農家やコミュニティへの支援活動など、サステナビリティにも注目。
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おやつタイプ

クッキー、グミ、チョコレート、アイスなど、小腹がすいたときのおやつでも、完全栄養食のものにすれば栄養が摂取できます。低糖質や低カロリーをコンセプトにした商品が多くあり、カロリーオーバーを招きやすい間食の置き換えに適しています。

おすすめのおやつタイプ完全食
・COMPグミ(COMP)
日本発・バランス栄養食ブランドとして進化し続けるCOMP(コンプ)とUHA味覚糖が共同開発。完全食をコンセプトとするバランスフードに「咀嚼(そしゃく)性」と「携帯性」をプラスしたグミタイプの商品です。
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・andew(アンジュ)タブレット(SpinLife)
現役医師が開発した完全食チョコレート。カカオ豆、アーモンド、きな粉、チアシード、ココナツ、ケシの実、抹茶、 昆布などの食材を使用して栄養価を高め、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど27種類以上の栄養素をバランスよく含んだ商品です。白砂糖、乳化剤、保存料、香料不使用。
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完全食を取り入れるコツ

完全食は、バリエーションが増え、素材にこだわったものもあり、選択肢が増えています。メリットとデメリットを考えてうまく取り入れるポイントを整理しました。

1日1食ほどのペースで置き換える

1商品で1日に必要な栄養素の約3分の1を取ることができる完全食。だからといって毎日3食を完全食に頼っているとあごの筋肉が衰え、食事を楽しむ機会が減り、味気なさも感じるでしょう。1日のうち最も忙しい時間帯や手早く食事を済ませたいときに利用して、他は通常の食事にするなどバランスを取るとよいでしょう。

他の食事と組み合わせた献立にする

完全食の中には、ダイエット目的で脂質・糖質・カロリー(熱量)を抑えた商品も少なくありません。しかし、脂質や糖質はエネルギー源となる欠かせない栄養素です。季節の食材や主菜・副菜が楽しめるように、通常の食事と組み合わせた献立にするのもよいでしょう。

日々のおやつや飲料などを置き換える

ドリンクタイプやおやつタイプの完全食は、日頃食べているお菓子や清涼飲料と置き換えることで、小腹がすいたときの間食の罪悪感もなく、通常の食事では補いきれない栄養素を取ることができます。

現代人の食生活に新たな選択肢

健康を維持するために必要な全ての栄養素が1食に詰まった完全食(完全栄養食)。不足しがちな栄養素を効率的に補えることで注目を集めてきました。カロリー制限や糖質制限などのダイエットのサポートは完全食が得意とする分野ですが、天然素材、食材、味覚や食べ応えを重視した商品なども開発され、多様な食生活のニーズに対応する新たなジャンルの食品として期待が高まっています。今後さらに商品開発が進められ、食生活やライフスタイルの見直しに有用な選択肢の一つになりそうです。

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