日本の生産者と消費者のために歩み、成長を続けた106年の歴史を誇る「トキタ種苗」
トキタ種苗株式会社は、1917年創業。100年以上の歴史を誇るタネの会社です。1949年に研究農場を開設し、以来様々な品種を開発してきました。
いまでは日本全国で当たり前に栽培され、どこのスーパーにも並ぶ食卓の定番『ミニトマト』がこれほど普及した背景にもトキタ種苗の品種開発が関わっています。
また、昨今ではレストランだけでなく、手軽に家庭で楽しめるようになった西洋野菜のケールや、スティック状のカリフラワー『カリフローレ』など、多くの海外野菜や新しい野菜もトキタ種苗が日本向けに開発したもの。
例を挙げればきりがないほど、トキタ種苗の野菜は日本の食文化に大きな影響を与え、私たちの食卓を彩っているのです。
「日本の変化と共にトキタ種苗の開発方針も変わってきました。戦中戦後の祖父の時代は『食べるため』の品種改良。1970年代に2代目となった父は、『流通のため』の品種改良。野菜の生育を平準化し、物流に乗せやすい品種を開発してきました。今では人気野菜となったミニ白菜『娃々菜』はその代表格です」と話すのは、3代目である時田巌(ときた・いわお)代表取締役社長。
時田社長の開発方針は「食べる人のため」の品種改良。世界の野菜を日本へ、そして日本の野菜を世界へと紹介し、各国で栽培しやすいよう品種改良を進めています。
「欧米や日本のように文化が成熟すると、人はより新しい美味しい料理、健康的な食材を求めるようになります。そのニーズに応えたい」と話す時田社長が日本で力を入れているのは『ラディッキオ』というイタリア野菜。
ヴェネツィアのあるヴェネト州を中心とした地方で食べられているスーパーフードで、13年かけて日本で栽培しやすい品種が開発されました。
「食べる人に喜んでもらえる美味しい野菜。生産者さんが栽培しやすい良い品種」
それがトキタ種苗が常に目指しているゴールなのです。
既成概念を覆され、可能性を感じた『ASIA FRUIT LOGISTICA』ならではの展示方法
世界の野菜を日本へ、そして日本の野菜を世界へ紹介しているトキタ種苗。その目は早くから海外のマーケットに向いていたと時田社長は話します。
「1990年には2代目社長の父が中国・青島に合弁会社を設立。その後、私がインド、イタリア、アメリカ、チリにも会社を設立しました。中国・インド・アメリカには日本以上の巨大なマーケットが、イタリア・チリには品種改良や種子生産の可能性を大きく広げる気候風土があります。現在は日本だけではなく、グループ会社が協力して品種開発プロジェクトを展開しています。」
タネの販売は各国の生産者や種苗販売業者らと会話し、実際に試作してもらいながら自社の品種の特徴を売り込むやり方が主流。そのためにはまず生産者と繋がり、商談の機会を持たねばなりません。海外ではその接点作りがハードルになります。
また、実際に現地に赴いたとしても、広い土地を必要とする生産者の拠点はアクセスが良くない郊外にあることが多く、生産者同士の距離も離れているため何度も足を運んで商談をするのは非効率。
そこでトキタ種苗が利用するのが、展示会や見本市といったイベントです。
「ただ“野菜のタネを並べただけ”では、栽培法や味もイメージしづらい。そのため私はイベントへの参加は懐疑的だったのです。でも、2006年に友人の誘いで参加したベルリンの『FRUIT LOGISTICA』でその考えが覆されました」
この時、時田社長が目にしたのは海外種苗メーカーの展示ブース。タネではなく野菜をディスプレイしつつ試食なども実施しており、つい足を止めて見入ってしまったそうです。
「こんなやり方があったんだと、衝撃を受けました。『これならトキタ種苗の野菜の魅力がしっかりと伝えられる。絶対に参加するぞ』とその場で翌年の参加申込書をもらいました」
2007年、トキタ種苗はFRUIT LOGISTICAに出展、以来ほぼ毎年出展を続けています。2008年には日本パビリオンのメンバーとして、香港開催の『ASIA FRUIT LOGISTICA』に参加。中国を中心としたアジア圏のマーケットへの入り口としての可能性を感じ、2010年から2019年の10年間欠かさず出展してきました。イベントでは様々な繋がりが生まれ、成果が出ていると時田社長は話します。
世界規模の『ASIA FRUIT LOGISTICA』には、出逢いとビジネスのチャンスがあふれている
「2007年の初出展では、トキタ種苗が開発した『トマトベリー』を紹介しました。それを食べたバイヤーに『素晴らしい!もっとアピールすべきだ』と絶賛されたのです。そして翌年、そのトマトベリーが『Fruit Logistica Innovation Award』で3位を受賞。アジア圏初の快挙は大きく報じられ、一気に知名度が上がり、問合せが急増しました」
トマトベリー以外でも、グアテマラの生産者がスティックタイプのカリフラワー『カリフローレ』を気に入り、契約が成立。グアテマラ共和国自体は小さな国ですが、実はその生産者は野菜を北米に卸している農業法人に所属していたため、北米全土に一気にカリフローレが広がり、今では大きなビジネスに発展したといいます。
「ASIA FRUIT LOGISTICAもFRUIT LOGISTICAも、最大の魅力は『開催規模』。そこで生まれる繋がりが持つ可能性はとても大きい。トキタ種苗のビジネスは、主にBtoBがメインです。でもBtoCこそが大切なのです。“B”を動かすのは“C”ですから」と時田社長は話します。
レストランで料理を食べるお客様。スーパーで野菜を買って食べる方。消費者であるその人たちが、初めて食べる野菜や果物の美味しさに魅力を感じ『また食べたい』と言ってくれることで、はじめて生産者やバイヤーなどの“B”が動きます。
そのため、トキタ種苗は常に消費者を意識した出展・アピールをしています。例えば、ASIA FRUIT LOGISTICAに出展した際に品種の魅力が最大限に伝わるよう、それぞれの野菜の美味しさが一番引き立つシンプルな方法で料理したものを試食として出しているそうです。
さらにはイベントで来場者に渡す資料には栽培方法だけでなく、レシピという形で調理方法も魅力的に掲載。「食べた人がファンになって美味しさを口コミで広めてくれるはず」「最適な調理を知っていれば、バイヤーもアピールしやすいはず」と消費者を第一としたPRが細部から感じられます。
「毎年ブースの規模も参加スタッフの人数も大きくなっていってます。 それでも全員、休む間もなく常に誰かと商談をしている状態ですし、そこから数千万スケールのビジネスが生まれています。これほど効率の良い営業活動はなかなかないです」と時田社長は精力的にベルリンのFRUIT LOGISTICAや、香港でのASIA FRUIT LOGISTICAに出展する理由を話します。
「人だけでなく世界の野菜や果物、農業機械や包材なども集まります。だから、会場を歩くと最新情報や技術に触れることができ、世界のトレンドが予測できる。それが次の品種改良のヒントをくれるのです」
FRUIT LOGISTICA出展に当たっては、企画や準備に日本のオフィスだけでなくイタリアやアメリカのグループ会社の社員も加わり、TOKITAグループとして取り組みます。また、学びのチャンスがあると思えば、海外担当部署以外の社員も展示会に参加させることがある、と時田社長。自社の野菜が世界のマーケットから注目される様子を目の当たりにすることで、モチベーションが刺激され業務への取り組みも変わるそうです。
「海外のマーケットに興味を持っている方は、まずは私たちのようにイベントに参加するのがよいのではないでしょうか。きっとイベントの既成概念が覆され、たくさんのヒントがつかめると思います。なにより可能性に満ちた新しい繋がりが生まれるはずですよ」と時田社長は話します。
単純な販路拡大やビジネスだけで終わらず、海外展開への第一歩となる『ASIA FRUIT LOGISTICA』。2023年は、9月に香港で開催されるため興味を持たれた方は、まず参加することから始めてみてはいかがでしょうか?
ASIA FRUIT LOGISTICA 開催概要
開催場所:AsiaWorldExpo(香港)
開催日時:2023年9月6日(水)~9月8日(金)
お問合せ先
メッセ・ベルリン日本代表部
〒107-0052 東京都港区赤坂 7-5-56 ドイツ文化会館4階
Tel:03-6426-5628
Mail:mbj@messe-berlin.jp